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地球人スピリット・ジャーナル1.0

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2009年4月1日

地球人スピリット
・ジャーナル2.0


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2007.03.09
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「チベットのモーツァルト」 
中沢新一 2003/4 講談社学術文庫 初版第一刷1983/11せりか書房

 



 図書館から借り出して私が読んだのは、初版本であるが、1995年8月で27刷となっている。なんと「27刷」である。いままでこのブログで読んできた本は500冊程度だと思うが、その中で、27刷を数えているものはないのではないだろうか。とてつもない数である。しかも、2003年にはあらたに講談社から文庫化されている。いかにこの本が異彩を放っているか、という証明でもあるような気がする。

 しかも、この図書館から借り出してきた本が95年8月となっているところが、また、なんとも時代性を感じるではないか。そう、それはあの麻原集団と中沢が関連付けられて盛んにバッシングされた時代である。多分、この時代に中沢本のリクエストが急増したのかも知れない。そんな想像さえしてしまうのである。

 本文はカスタネダの「ドンファンの教え」からスタートする。この本、確か日本では1970年代の中盤から翻訳シリーズがでて、6~7冊のシリーズで出版されたと思う。ただ、それは、次がでるかどうかわからないというようなあやふやな感じで、途中で、出版社や翻訳者、装丁が急に変わって面食らったことがある。

 いずれにせよ、中沢においては、カスタネダの著書は、ネイティブ・アメリカンとチベット密教をつなぐ重要な位置を占めるシリーズとなっているようだ。もともと、このドンファンというヤキ・インディアン(だったかな)は実在するのかどうか、と疑問が持たれており、すべては、カスタネダの作り出したフィクションではないか、とさえ書かれていたことがある。

 後年、たしか北山耕平だったかが、実際にドンファンに会ったというレポートを読んだ覚えがあるが、定かではない。あまりにいきなりドンファンの話がでてきて面食らってしまった。あの
林郁夫、一般病院に勤務しながら、阿含宗の修行をしながら、毎回そのカスタネダの著書の出版を心待ちにしていたという。

 この「チベットのモーツァルト」は81~83年に「現代思想」「思想」「海」などに散発的に発表された文章を一冊にまとめたものである。「あとがき」319pにあるように「1978年にはじまるぼく自身のチベット体験が色濃く反映されている」。そういえば、この時代に私も一年間インドに渡りOshoの元に滞在したのだった。当時としては、それなりの時代背景があり、私は私なりの経緯でインドに渡ったのだが、中沢には中沢の必然があった。

 ぼくは、いわゆる精神世界とも神秘主義ともほとんど無縁の方角から、チベット仏教の世界に出会っていった。とりたててカリフォルニア文化から影響をうけたという記憶もなく、もともと仏教の素養すらあやしいものだったぼくをチベット仏教の世界に押し出していったのは、むしろ構造主義以後の思想的展開がもたらしたインパクトのほうだった。そのため、この本にあらわれている言葉づかいも思考の身振りも、どちらかというとポスト構造主義の思想的コンテクストに属するもののように見える。p319

 この本は、ほとんど中沢のルーツの原点に属するものだが、これよりさらに以前の著書というと、
「虹の階梯」~チベット密教の瞑想修行 (ラマ・ケツン・サンポとの共著 1981.7 平河出版社→中公文庫) がある。この本は、以前より所蔵しているので、近日中に読もうと思っている。95年には「哲学の東北」がでている。これらを総合していくと次第に中沢の全体像が見えてくるだろう。

 この鬼才の繰り出すワールドには、目を見張るものがあるが、特に「マンダラあるいはスピノザ的都市」p205は、このブログとの関連ではなかなか面白い位置を占める一文であると思う。その書き出しはこうだ。

 スピノザの思想が現代知のなかでしめる重要性と異質性は、こんにちますます輝きを増しつつある。イタリアの哲学者アントニオ・ネグりはスピノザ哲学はぼくたちの未来に属する哲学だと書いてその重要性を強調し、またそれを「野性的な異例者」であると呼んで、ほかのどんな西欧哲学の体系にも還元することのできないその異質性に注目している。p205

 また「夢見の技法」という文章の最後はこうまとめられている。

 この地球上にいまだ消え去ることなく伝承されている人間の知恵(その多くは夢見の技法のように身体をなかだちにした知恵である)をつうじて、それを学んでいるぼくたち自身のほうが変わらなければならない。そうでなければ、人類学はいつまでたっても西欧知の一変種にすぎないだろうし、それがかたちづくる循環論から抜け出すことは不可能だろう。人類学というものが、夢見の技法のようにぼくたちの知のあり方をほんとうに変えてしまうことができたrならば、そのときはじめてぼくたちは人類学をつうじて、21世紀の知にめぐり会えるかもしれない。p233

 この四半世紀前に書かれた文が、現在の
「芸術人類学」連なってくるとすれば、興味深い一文である。

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2008/09/08 <再読>






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Last updated  2009.02.01 22:49:04
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