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カテゴリ:アガルタ
「シャンバラの道」 ニコライ・レーリヒ 澤西康史・訳 1996/11 中央アート出版 原書 SHAMBHALA, THE RESPLENDENT 1930,1990 シャンバラといえば必ず登場してくるレーリヒ。画家、著述家、教育者、探検家、考古学者、平和運動家、舞台装置や衣装のデザイナー・・・。ニコライ・レーリヒ美術館のページには、生涯に7000枚書いたとされるレーリヒの絵画の多くが添付されている。神秘家でありながら、科学的思考を持ち、なお芸術家であったレーリヒについて、訳者は書いている。 この「平和の旗」の三つの円のひとつ、「科学」は人間的活動の最も外向的な局面を象徴している。もうひとつの円、「宗教」は人間活動の最も内向的な面を象徴している。そして最後の円、「芸術」はその外向と内向の両面性を併せ持つ、ある種の「架け橋」としての役目を担っている。レーリヒが強く統合を指向したのも、彼が本質において芸術家であったからではないだろうか。絵画も音楽も容易に人種や文化の壁を乗り越えることができる。芸術家のなかに統合への指向が生まれるのも自然なことである。「何かが間違っているとしたらそれは美しくないし、美しくないものは何かが間違っている」という信念は、美の帰依者にのみ許される特権だろう。p401 ともすれば「トンデモ本」の彩りに使われてしまいそうなレーリヒは、実は極めて誠実で単調でしかも透明感の深く、彼の絵そのものの世界と相似形をとっている感じがする。二次的に引用されたレーリヒをいくつも読むよりも、この一冊に込められている源泉を読むことは、より浸透性の強いエネルギーを呑み込んだような感じがする。 あらゆる洞窟の入口が、だれかがすでにそこに入ったことを暗示している。あらゆる小川が---とりわけ地下の水路が---人の幻想を地下の抜け道へといざなう。中央アジアの多くの場所で、アガルタ、地下の人びとの話が語られている。おびただしい数の美しい伝説のなかに、最良の人びとが不実に満ちた地上を見捨てて、隠れた領域に救いを求め、そこで新たな力を獲得して、強力なエネルギーを征服するという大筋では同じ物語が展開される。 p271 何かを知りたい。だけど、知られないままに、不可知のままにあるべきものもある。レーリヒの質問にラマ僧は答える。 「この神秘は口にされるべきではない! 明かされるべきではないことが数多くある。音に結晶化させないほうがよいことは多いのだ。私たちは思考を音声によって顕在化する。私たちは思考を音声によって空間に投影するが、そこから最大の実悪が起こってくるかもしれない。なぜなら、しかるべき期日が来ないうちに漏らされた秘密は、言葉には尽くしがたい弊害をもたらすからだ。そのような軽々しい行為から、最大の破局すら引き起こされかねない。」p16 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.03.31 12:42:54
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