「なぜライブドアはフジテレビを乗っ取ろうとしたか！？」
浅井隆 ／戦略経済研究所 2005/03 第二海援隊 単行本 163p
★★☆☆☆
いかにも時事的ニュースを扱った本の足は早く、ライブドアVSフジテレビ、というテーマはわずか2年前の話題だったのに、今や、ネコも跨いで歩くような、古臭いお題目となってしまった。Hモンとギョロメ村上が逮捕起訴されることで、「あの」話題には終止符が打たれたのだが、さてさて、本当のことは何だったのだろうか、と振り返ってみるのも面白かろう。
著者は第二海援隊という団体を作り、この本もそこからでている。この団体名、どこかで「陰謀論」的な本を出していたなぁ、とあやふやな記憶をたどってみたが、「『ユダヤ陰謀論』などは単なるお話しにすぎないと私は考えている」p48ということだから、こちらの勘違いかも知れない。
いまさら読み返して、どうなる本でもないのだが、病院の待合室にあったので、チラッと目を通してみた。確たる論拠があるわけでなく、他の類書よりぬきんでているところがあるわけでもないのだが、「経済改革の三位一体」p47という図式は、このところ「トリニティ」に関心を寄せている身としては、収集しておく意義があるかな、と思う。
中沢新一のトリニティ説にあてはめてみたら、M&A＝父、再生事業＝子、ファンド＝聖霊、となるのだろうか（笑）。聖霊＝貨幣＝ファンド、という繋がりだから、まんざら整合性がないわけでもない。まさに「増殖」こそがその特徴だ。
この本、後半はライブドアから離れて、中小企業向けのビジネス書のような言説に傾いているが、地元商店街の社長さんたちが与太話に引用するには、退屈しのぎには面白いかな。
