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地球人スピリット・ジャーナル1.0

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2009年4月1日

地球人スピリット
・ジャーナル2.0


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2007.11.17
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「芸術人類学」 <再読> 
中沢新一 2006/03 みすず書房 単行本 374p
★★★☆☆

 この本の評価は微妙だ。前半はとにかく反感ばかりわきあがってきて、どうにも腹がおさまらん、という感じがした。こういうものを学問というのなら、私は学問というものを志さなくて、ホントによかった、とさえ思った。この著者について、このブログでもたくさん読んできたのに、いまだになんとも残念だが、ストンと腑におちないところがある。なぜなのだろう。

 人間学、人類学、民族学や、民俗学、などなど類似の学問が所狭しと散らかされているようだが、その大きな震源地の一つとされるレヴィ=ストロールなどを考えてみると、そのプリミティブなネイティブ・ピーポーを見つめるユダヤ人的思考の対比が、わりとはっきりしていて分りやすいところがある。対比の妙味みたいなものがある。

 ところが、この著者がなにかを語る時は、その対比が割りとはっきりしていない。散らかしっぱなしで、片付けが上手でない悪戯坊主のイメージが強い。この人が「芸術」というとき、その単語としての「芸術」以上の広がりがなく、どうも美しくもなく、感動もない。ただただ見とれ、言葉を失い、自分さえも失ってしまった、というような心からの感動がない。

 この人、どこかの誰かたちにアイドルやおもちゃにされているだけで、ちゃんと根付いた学問をしているのだろうか、と眉唾になる。たとえばこの人が「野生の思考」と言ったとしても、言葉としての「野生の思考」以上の広がりが何もない。腹から湧き上がってくる激情とか、天から降ってくる光の中で、無化してしまった透明感とか、そのようなものがすこしも感じられない。

 この人の持っている魅力は、車寅次郎が持っていたようなケンカ売の魅力なのかもしれない。なに売っているものなど二束三文のなにものでもない。価値などあってないような代物ばかり。だが、その語りの面白さで、人々は足を止めてしまう。サクラなどが現れて、一つ二つ売れているのを見ていると、ついつい自分も買ってしまう。そんな安物売りのリズム感のよさなのではないか。

 このブログでも、これまで888冊の本と72本のビディオを見てきた。手当たり次第に手を付けてきたこれら960のサンプリングをただただ放り投げていては、なんとも始末の終えない、ちらかし屋でしかなくなる。途中からその事に気づいたので、なんとかカテゴリでございの、ベスト本でございの、ワーストですの、再読、3冊の、となんやかんやの理由をつけては、分類をし始めている。

 「チェロキー」というカテゴリでは、アメリカン・ピーポーを中心として、さまざまな民族的、あるいは民俗や人類学といわれるものの関連本をすこしづつめくってみた。しかし、現在80をちょっぴり超えたところであるが、なかなかこれが難題で、自分の中ではなかなか整理がつかない。ただただサンプルが増えていくだけだ。このまま尻切れトンボで終わらしてしまおうかな、とも思うし、ひょっとすると、ちょっと大げさではあるが、レヴィ=ストロースの構造人類学的発想で整理すれば、なんとかまとまりがつくかな、という期待感もある。

 いずれにせよ、ここで中沢が「芸術人類学」というジャンルを確立しようとする葛藤はわからないでもないが、まだまだ駄目じゃん、という失望感がつよい。この本、あちこちの講演やら講義を一まとめにしたものだから、濃淡がまちまちなのだが、後半はわりとましな論調になったな、とは思ったけど、前半のお高く宣言した「芸術」とどのようなかかわりがあるのか、杳としてその姿を見失ってしまった。

 単体で読めばそれなりに面白い部分もあるのだが、他のOshoやケン・ウィルバーとのガラガラポンの中で読み進めてみると、どうも旗色が悪い。このたび、「仏国土」派や「極楽浄土」派との比較の中で、著者のこの学問を、便宜上「娑婆世界」派に振り分けてしまったが、まんざら間違いでもなさそうだな、と思う。

 「ブッタ達の心理学」などと、こちらも「学」をつけてカッコつけてしまったが、科学としての積み上げが必要かつ有効なことも多くある。もともとこれでは形容矛盾な面もあるのだが、言わんとするところは学問ではなく、もっと詩的な、アイロニカルなネーミングなのだ。「芸術人類学」なんて学域をつくって、あんまりマジになってはいけない。もともと、この人の持ち味は、ちょっと外した不真面目さにあるのだから。






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Last updated  2009.02.11 19:01:16
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