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地球人スピリット・ジャーナル1.0

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2009年4月1日

地球人スピリット
・ジャーナル2.0


へ引越しました。

2007.11.21
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<再読i>より続く



「世界共和国へ」  <再読ii>


以下ぬきがき

 アントニオ・ネグリとマイケル・ハートは『<帝国>』(2000)のなかで、1999年代、冷戦の終結と湾岸戦争とともに、帝国主義は終わって、<帝国>が出現したといっています。それは、湾岸戦争(1991年)において、アメリカが絶対的な軍事的ヘゲモニーをもちながら、国連の支持を得て動こうとしたことに示される。彼らはそこにローマ帝国に似たものを見いだすのです。p211
 
 このブログこでは「<帝国>」(著書のこと)や<帝国>(新しきグローバルな権力)などについて、統一性をもたせるため、原文と違う表記をしていることを明記しておく。

 ただし、ネグリとハートはアメリカが<帝国>だという意見に固執しているわけではありません。というのも、彼らの意見では、むしろ、<帝国>はとはどこにもない場所であるからです。p212

 ネグリとハートが<帝国>と呼ぶのは「世界市場」のことです。ここでは諸国家は重要ではない。これは、「普遍的交通」の下で、民族や国家の差異は無化されるだろうという1840年代のマルクスの認識と同じです。しかし、これは国家という位相を無視するものです。p213

 この辺では柄谷は、十分にネグリ&ハートを正確に魅力的に紹介してくれているとは思え得ない。「普遍的交通」は、現代的にインターネットやネット社会と読み変えられるべきで、鉄道やハイウェイ、あるいは飛行機がもたらした変化と、全く別な変化が起きているのだ、ということを柄谷は、直視しようとしない。ないし、見えていない。

 ところで、ネグリとハートは<帝国>(世界市場)の下で国民国家は実質的に消滅し、それに対して、「マルチチュード」が対抗するだろうという見通しを語ります。マルチチュードとは、労働者階級だけでなく、マイノリティ、移民、先住民その他の多様な人間集団、いわば有象無象という意味のようです。しかしこれは1840年代にマルクスがもっていた認識、つまり、世界は資本家とプロレタリアという二大階級の決戦になるといった預言と類似するものです。p216

 ここで強引に柄谷が旧態依然としたマルクス主義に類似させたいのは、自らが旧態依然としているからだ。私達現代人がプロレタリアートという言葉でみているものと、マルチチュードという言葉でみているものは、まったく違う。ないし、同じものであったら、これだけ話題にはならないだろうし、私も関心をもちようがない。類似させたい気持ちは分るが、むしろその間にある差異をもっともっと明確していく方向に、ネグリ&ハートの研究があるのではないだろうか。

 実際、ネグリとハートは、マルクスのいうプロレタリアが労働者階級という狭い意味に限定されないということ、それは彼らのいう「マルチチュード」に近いことを強調しているのです。p216

 お互いに綱引きして引っ張り合いしているようで、なんだか滑稽だが、つまり、現在、世界的に見て「労働者階級」という言葉で、何事かをいおうとしていること自体、すでに現実の実体から大きく乖離した議論になってしまっていることに気付かなくてはならない。

 しかし、ネグリとハートは、スピノザからマルチチュードという概念を引き出したというのですが、それは強引な読みかえです。というのは、マルチチュードはもともとホォブズが使った言葉であり、それは自然状態にある多数の個人を意味します。個々人が各自の自然権を国家に譲渡し、マルチチュードの状態を脱することによって、市民あるいは国民になるわけです。p216
 
 誰が先に言ったなんてことは、その数百年後の現在、どちらでもいいことなのではないだろうか。少なくともネグリはことあるごとにスピノザに還っていくのであり、ネグリ=スピノザ・ラインのマルチチュード理解を、敢えて柄谷=ホッブズ流に読みかえようとするのは、むしろ柄谷がすこしでしゃばり過ぎているように思う。

 その点で、スピノザも同じ意見です。ただ、ホッブズよりも国家に譲渡しなくてもよい自然権を広く認めたということが違うだけで、スピノザもまたマルチチュードを肯定していないし、それに期待もしていない。p217

 柄谷は自らの思考の中で、他人を取り込むときに、なんとか自分の理解で対象物を切り刻んで、換骨奪胎しようとしているかに見える。現在、この地球上で進んでいる実態は、実際には、ホッブズやスピノザ、あるいはネグリや柄谷さえ、把握できないうねりの中で進んでいるのであり、あえてその人々が現状を理解しようとすれば、そのような古い概念で理解せざるをえない、ということだけなのであって、順序を間違えている。足にあわせてベットをつくるのか、ベットにあわせて足を切るのか、そこを間違っているのではないだろうか。

 だから、ネグリとハートの考え方は、実際は、プルードンがいったように、深層の「真実社会」---そこには多数的、創造的な民主主義がある---という考えに近い。いいかえれば、これはアナキズムです。そのことは、彼らがプルードンに一切言及しないで、スピノザやマルクスについて語るとしても明白です。p217

 「私は自分の考えの核心を、普通の読者が読んで理解できるようなものにしたいと望んでいた」という柄谷の試みはどこまで成功したのかは不明だが、普通の読者としての私には、なかなか柄谷の、情報社会の中で私が見ている現状を無視した形で、自分の考えを通そうとする姿勢には賛同しかねる。

 ここで、プロレタリアのかわりにマルチチュードといえば、マルチチュードといえば、ネグリハートの考えになります。彼らは要するに、プロレタリアによる同時的な世界革命のかわりに、マルチチュードによる同時的世界革命を唱えているわけです。p217
 
 「普通の読者」でしかなく、門外漢の初学者でしかない私ではあるが、直感的に、この柄谷の捉え方は間違っていると思う。すくなくとも、「マルチチュードによる同時的世界革命」なんてことができるわけないし、それをネグリたちが唱えているとするなら、これほどまでに話題になり期待感を持たれるはずがない。これは柄谷の間違った理解であろうし、もし柄谷が正しかったら、私は、すみやかにこの議論からは遠ざかることとする。

 ネグリとハートは、「現代の地政学に関する議論のほとんどは、グローバル秩序を維持するためには二つの戦略---単独行動主義か多国間協調主義か---のいずれかしかないことを前提としている」という(『マルチチュード』)。

 
<マルチチュードこそが困難に立ち向かい、世界を民主主義に構成する新しい枠組みをうみださなければならない>。<マルチチュードがついに自らを統治する能力を手にするときこそ、民主主義は可能になるのだ>。
 これはマルチチュードの自己疎外としてある諸国家は、マルチチュードが自己統治することによって揚棄されるだろう、というアナキズムの論理です。ここでは、国家の自立性が無視されています。こうしたマルチチュードの反乱は、国家の揚棄よりも、国家の強化に帰結するほかないでしょう。
p218

 とにかく柄谷は、なんとかネグリ&ハートにイッチャモンつけたいんだなぁ。なんとかかんとか否定したい。しかし、ネグリ達の話だって、まだまだ出来上がったものじゃぁない。まだまだ不備だ。あまり古い価値観で、おじいちゃん達がぐちゃぐちゃ言ってもなぁ。情報化社会はまったく別な動きをしてますよ。

 ゆえに、われわれはこの種のアナキズムに対して警戒すべきなのです。 p218
 
 お、ついにでましたね、「われわれ」というお言葉。「専門家にしか通じないような著作」の著者を自認する柄谷が、「普通の読者」に向かって「われわれ」という一人称を使うとき、あまりに「普通の読者」をなめた態度が鼻につき、この本一冊読んだことの疲れがどっとでる。

 とにかく、この人、古いな。とことん。

<4>につづく







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Last updated  2015.11.08 10:27:07
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