「まわりにいっぱい奇跡が起こる本」
デイビッド・シュパングラー /高橋裕子 2005/10 日本教文社 単行本 307p
原書 Everyday Miracles The inner art of manifestation 1996
Vol.2 No.0027★☆☆☆☆
フィンドホーン関連の主だった本はほとんど読んでしまった(めくっただけの本もあるが)ので、一旦は閉めてしまったドアだったが、忘れた頃に、遠くの図書館から、更に送られてきた一冊が、これだった。あのリストの中でも、最新の部類に属する一冊で、その中でももっとも「イデオローグ」として、「硬派」と目されているディビッド・シュパングラーの「難しい」本という触れ込み(と思っていたが)だったので、ちょっと期待はした。
しかし、この本をもっても、私は一連のフィンドホーン関連本に、まともなコメントをつけることはできない。立花隆であったか、こんなことを言っていたような気がする。「本は、手当たり次第に読むべきだ。しかし10冊読んで10冊お気に入り、なんてことはありえない。そのうちの2冊はつまらない本だろう。そんな本は、すぐやめて次の本にうつるべきだ。面白いところは読んで、引っかからないところは読まなくていい。そんな本が6冊ほどある。そして、どうしても全文読みたくなる本も必ずある。10冊中2冊はそんな本だ。そういう本は熟読すべきだし、再読すべきだ。再読、三読にこそ読書の楽しさがある。」
正確な再現ではないが、まぁ、文意としてはこんなものだっただろうし、私の意見もそれほど遠くない。そして、このフィンドホーンの一連の読書も、10冊中2冊の部類であった、ということをここで告白しておかなくてはならない。もちろん、上の例文でいうところの前者の部類においてだ。
これをニューエイジというなら、私は全くニューエイジに関係のない人間だ。しかしまぁ、こんな本のなにが気にくわなくてバチカンは、フィンドホーンごときに目くじらを立てているのだろうか。わからん。
このシリーズの一連の、まったくの面白く無さに憮然としている私は、ひょっとすると日本の訳者陣がよっぽど偏った訳をしているのではないか、と疑ってみたりしたのだが、それを確かめるために原文を読むほどの魅力も感じない。「Everyday Miracles」 The inner art of manifestation という原題を「まわりにいっぱい奇跡が起こる本」というタイトルに意訳してしまって、本当にいいのだろうか。日本教文社という、一種特殊な宗教団体下にある出版社から出ていること自体、いつもなら、まずは敬遠してしまう私ではあるが、縁のなさそうな本の、そのシリーズをほとんど読んでしまった、というのは、何かの、別なるものの縁か。
なにはともあれ、読んだ(めくった)というメモだけは残しておこう。