|
カテゴリ:文芸
今巻は、清貴が京都を飛び出して海外で大活躍。
Introductionでは、葵と共にジウ・イーリンがコマツ探偵事務所に現れ、 彼女の父親が上海で開催するという美術展示会の展示品鑑定を依頼します。 そして、続く序章『まるたけえびすに、気を付けて』で、 秋人の事務所の後輩、紅子と桜子からの相談を速攻で解決すると、 清貴、円生、小松の3人は上海へと飛び立ち、本編『麗しの上海楼』が始まります。 *** イーリンの父、ジウ・ジーフェイが各国から招いた鑑定士たちが集まる上海博物館で、 清貴たちは、現在、世界に3つしか残存しない漆黒の茶碗・曜変天目の全てを目にする。 上海楼では、イーリンの義母兄、ジウ・シュンエンが、鑑定士たちに曜変天目を披露。 しかし清貴は、それが贋作であることを瞬時に見破る。 そんな清貴のスマホに、菊川史郎から、ニューヨークにいる葵の写真が送られてくる。 史郎は清貴に、美術収集家・高宮が寄託した蘆屋大成の絵画を持ち出すよう要求し、 その絵画が、家頭誠司が贋作であることを見破れなかったものだと知らされる。 清貴は、葵の身の安全を確保し、祖父の汚名を晴らすべく行動を開始するのだった。 *** その後、清貴は高宮に会い、ジウ氏がファンであるアイリー・ヤンに会い、 蘆屋大成の『胎蔵界曼荼羅』『金剛界曼荼羅』という対の作品を目にしますが、 次に、蘆屋大成が描いた中国の街並みの絵を目にした途端、事の真相に気付くのです。 そして、円生に、葵を救うために蘆屋大成の絵を用意して欲しいと頼むのでした。 「『どうがんばっても、俺はお前にはなれない』って気付いたことが最初かな。 それに対してムカつくというより、 『自分には、どんなにがんばっても決してなれないものがあるんだ』 ってことを悟った。それぞれに役割があるっつーか」(中略) 「俺のブレーンはお前だと思ったら、 自分の出来の悪さとかコンプレックスとかなくなったんだよ。 だから、もし、自分にはどうしても解けない課題があった時は、 俺は迷わずにホームズの見解を聞く。そのことにためらいはない。 それは、ホームズという友達がいる俺の力だと思ってる」(p.60) 序章の中で述べた秋人の言葉ですが、 これが見事な伏線となって、 円生の新たな一歩へと繋がっていくのです。 ミステリーの要素も含めて、これまで読んだ中で、シリーズ最高の一冊だと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.07.23 16:05:18
コメント(0) | コメントを書く
[文芸] カテゴリの最新記事
|