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加藤正夫『陸軍中野学校―秘密戦士… (読書・コミック)楽天ブログ 【ケータイで見る】 【ログイン】
帝国陸軍好きの読書ノート
五年現役兵の読書ノートと日記

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2007.09.29 楽天プロフィール Add to Google XML

加藤正夫『陸軍中野学校―秘密戦士の実態』(光人社NF文庫,2006) その2 今日どんな本をよみましたか?(198455)」
[ 読書記録(戦史・戦記) ]    

加藤正夫『陸軍中野学校―秘密戦士の実態』(光人社NF文庫,2006) その2

 ◇ メ モ(摘 録)

 ・ 《 》 の内側は私見や所感です
 ・ あくまで備忘録とする為に主観的に気になった点のみをメモしたものです
   内容の要約やあらすじにはなっていません


第一章 陸軍中野学校創設への道

・昭和12年に岩畔豪雄中佐(当時)が参謀本部に「諜報謀略の科学化」という意見を提出したのが端緒p.15


・当時参謀本部は方面はこの動きに冷淡だったため陸軍省の所轄となったp.16
《単に工作などの予算を平時からつけやすいからではないのか?》


・著者と同期の8期は150名程度。出身大学は東大が最多で次が拓殖大と外語大、その他が早稲田、慶応、明治、日大といったところp.18


・陸軍中野学校令によると学生は5種類p.21-

・甲種学生:秘密戦実施経験のある優秀な将校を学生として、企画力を付与するとともに省部関係者と調査研究に当たる(実際には敗戦により活用されず)

・乙種学生:陸士卒業の中尉、大尉、その他の現役の各種将校を推薦により入校させたもの。修業年限2年。昭和17年の1乙から5乙まで

・丙種学生:予備士官学校出身者から試験で採用。修業年限2年(末期には8ヶ月まで短縮)。終戦までに10丙まで存在。二俣分校の遊撃戦幹部要員も丙種学生の区分に属する

・丁種学生:下士官養成。実現せずに敗戦

・戊種学生:下士官候補生出身を試験により採用。修業年限1年


・《丙種学生の選考要領》p.22-

・予備士官学校に推薦を依頼する

・本人の意思が無い場合入校させない。入校後でも本人の意思で身分を取り消し原隊に復帰させるケースもあった


第二章 中野学校の教育と訓練

・学校の存在を秘匿する為、「陸軍省分室」「東部第三十三部隊」と称し現場の門札は「陸軍省分室」「陸軍通信研究所」とされた(中野学校は電信第一聯隊の跡地だったため)p.29


・《昭和20年5月から8月までのカリキュラム-著者の経験と伝聞によるもの》p.30


・教育の第一の主眼は「替わらざる駐在武官を養成する」、第二は「民族解放の戦士―天業恢弘の使徒」になるという自負p.33
《第一はまだしも第二の方は社会主義的なスローガンと人種主義が入り混じった奇妙なものですよね》


第四章 

・《昭和16年12月1日に交わされたタイ駐在武官田村大佐とプリタムシン間の覚書》p.55


・藤原やその部下《藤原機関の要員》は外交官や商社社員やホテルの使用人の身分でタイに入国していたp.58


・《INA(インド国民軍)モハンシン大尉と藤原少佐が定めたINA宣伝班員(潜入工作員)の指示》p.67-

・戦線を離脱し付近の密林に潜伏。指揮官の監視が厳しければ日本軍の突破まで待つ。日本軍に射撃するときは銃を空に向ける
・英軍指揮官が退却を命じてもついていくな。武器を密林に隠匿し、日本軍の第一線部隊通過後白旗をあげて出て来い
・こうした内容を口伝できない場合用にINAの参加勧告文を作成


・藤原少佐に英軍が何万ポンドもの賞金をかけていたp.71
《こんなことをするのは支那くらいのものだと思っていましたが…本当でしょうか》


・インドネシアに関しては当初16軍に11名の中野学校出身者が配属。オランダ軍への工作と占領地行政などが目的だったが、戦局悪化後に軍情報要員と防衛義勇軍の指導要員が追加投入されたp.80


・パレンバン精油所の航空写真を極東捕鯨株式会社の社長から入手し、降下作戦準備の資料となった
《その他にも引き揚げてきた在留邦人の情報は徹底的に活用されています。》

・空挺部隊からの選抜者に対して、中野学校の者が指導して小倉石油保土谷精油所で2日間の特殊教育を実施したp.85


《偽バンドン放送による謀略放送について》p.89-

・傍受によりアナウンサーを含む出演者の声の研究を行い、必要と思われるあらゆる声の代弁者を選考。外国人のほか、現地生まれの日系二世、日本の新聞記者やアナウンサー、商社員から選んだ

・当時のジャワ島の放送はバンドン中央放送のみで、これを各地の支局が中継。蘭印総督はこれを使って行政命令を下していた

・偽バンドン放送はサイゴンから放送。遠方だったが出力が本物より大きい機材を使用


・戦後最初にジャワに進駐してきたのは英印軍のグルカ兵。彼らは現地人や日本人に同情的で日本軍に武器弾薬の保管を任せたが、日本軍の多くがインドネシア側に武装解除され装備が渡ったp.108


・英国統治下のビルマからのビルマ独立党員の海外脱出は日本の海運会社社長の協力により主として日本船によって行われたp.114

・脱出党員の訓練は主として海南島三亜、末期は台湾玉里で実施。三亜の訓練施設は農民訓練所、玉里の訓練所は陸軍兵舎を使用し台湾軍下士官候補者隊を表向きの名称とし陸軍兵長を表向きの身分とした

・海南島では中国戦場での鹵獲兵器、台湾では日本の正式兵器を使用。80ミリ迫撃砲以下の歩兵兵器が対象p.116


・昭和17年1月21日東條首相は議会演説でビルマ独立に言及、2月10日大本営からラングーン攻略前後に独立との指示があったが、その前日には軍政施行に関する作命下令済
《この辺の事情を詳しく書いていないが15軍の軍政部の独断専行かと思われる。南方軍司令部も意見が割れていた模様なので》


・バーモー政権は不評だった。バーモー博士個人に対する素朴な違和感と反日本軍の感情が相互作用しつつ増幅した

・日本軍に対する憎悪は特に憲兵隊に集約して向けられた《理由についての記載はない》p.129


・《インド独立連盟とインド国民軍の初期の確執についての要約》p.139-


・《戦後のインド国民軍将兵に対するデリー軍事法廷とインド独立運動について―多分藤原岩市少佐の回想録をそのままベースにしたものだと思われます。その範囲は多分p.156-171。ただ、そうだとしても藤原氏の著作は現在絶版なので意味はありますね》

・藤原岩市元少佐はインド側の弁護師団の要請に基づき証人として召喚された

・自由インド仮政府は日本、ドイツ、満州国、南京政府の他、タイとフィリピンも承認していた

・昭和21年2月21日、英海軍インド人海軍乗組員の叛乱。ボンベイ、カラチ、カルカッタに帰港した艦船で発生。ボンベイでは旗艦を含む艦船20隻を押さえ兵器庫も占拠。いずれも艦砲に砲弾を装填して鎮圧に出たら砲撃すると宣言。
《このあたり、見境無くチャンスさえあれば何でもやる共産主義者とはちがうなぁ、と思います》

・このため翌日にはボンベイでは全市ストライキに発展し英軍出動。死者210名

・昭和21年3月7日対日戦勝記念日の観閲式がボイコットされる。


・義烈空挺隊(奥山隊)には10名の中野学校出身者が参加。中野出身者の目的はサイパンに潜伏し飛行場の状況を報告することだったが、他の空挺隊員にはこの目的は隠し、一緒に訓練をしながら別に時間を作って計画検討を行っていたp.177
《著者も言うように自分達は生き伸びることが任務であることを隠しながら、決死の覚悟を決めている空挺隊員と生活や訓練をともにするのは精神的に厳しい任務だったと思われます》


・中野出身者としてはじめて23軍(広東)に配属された3名(乙1短)は広東特務機関に配属され、第一線の県連絡官の実務についた。これは他軍には見られない特異なケースp.189


第六章 

・終戦時満州には120人の中野出身者がいたp.195

・ソ連に連行されたのち、中野出身者は対ソ情報勤務者としてマークされ、憲兵、警察および満鉄、電電公社調査部勤務者などとともに容疑者扱いで徹底的な尋問を受けたp.197

・その結果、情報業務に従事したことだけを起訴理由にほとんど全員がソ連国内刑法により25年の判決を受けた


・《馬場嘉光大尉(乙2短)のシベリア抑留記録の要約p.205-220》

・収容所の管理方針で作業を休める人数が就労可能人数の4%と定められていた《毎日平均して生じるわけではないのに、所詮官僚による統制なんてこの程度なのは別に日本に限らないということか》


・《塚本繁大尉(乙2長 光機関員)の敗戦後の回想の要約p.221-》

・敗戦後、サイゴンにいた日本商社及び商社員は残留できるらしいという情報があったので原務少佐(乙1)と相談し、三菱商事、大南公司、岩井産業、南部商会へそれぞれ偽装して入社、戦前から会社勤めのため居住していたことにして関係書類を作成し、商社員として活動開始した

・塚本大尉はベトミンを援助していたので現地人と接触の多い南部商会(サイゴンに寄港する船舶に食料・雑貨を供給する会社)は非常に都合がよかった

・昭和20年11月頃まで順調に勤務していたが参謀総長からの帰国要望が伝えられ、連合軍からも日本人は軍民問わず仏印から即刻退去の命令が出た為、軍に復帰することになり各部隊に転籍した


・《昭和20年8月から3ヶ月間の著者自身の朝鮮南部での警察予備隊勤務の回想p.226-》

・森田芳夫『朝鮮終戦の記録』(巌南堂書店、S39)p.91に「順天で、人民委員会が警察署を占拠したために、同地の日本人署長は、警察部長の了解を得ないで、日本人署員全員とともに引き揚げた。」とあるが誤り。著者自身順天警察予備隊長として任務についており、人民委員会に警察署が占拠されたという事実はないp.228

・全羅南道では警察予備隊というのが順天と光州に編成されて、日本人引揚者の生命財産を守ることになった

・隊員は現地で復員させて民間人とし、武器を持たせて警察署に駐屯させるというもので順天では40余名

・著者が到着を告げると、日本人警官は署長以下家族を連れ全員引き揚げてしまった
《どこにでもこういう卑怯者はいますが内務省関係の公務員には特に多いですね。内務省の腐った体質は現代の厚生労働省に見事に受け継がれていますが》

・順天警察予備隊長に任命された時、現金はもらえなかったが麗水要塞司令部から60キロ入り米袋30袋をもらい、これと物々交換で隊員一同の食料を賄ったがかなり贅沢な生活をさせる事ができた。
《少なくとも南部には肉、魚、野菜は豊富にあったとの事です》

・順天周辺では日本人居留民に対する襲撃より対日協力者だった者と共産主義者の間の抗争が熾烈だった

・朝鮮軍司令部には20年5月に中野学校1期生で教官も勤めた丸崎義男少佐が国内抗戦担当参謀として着任

・敗戦後中野学校出身者は丸崎少佐を中心に著者とともに朝鮮に派遣された30数名が警察官になり本町警察署に分駐した

・治安悪化に伴い米軍が日本軍の一部を動員解除して特別警察隊を編成するように指示。600名ほどの部隊が編成されたが毎日100名ほどが朝鮮人グループに武装解除されて丸腰でかえってくる有様で、いずれも原隊復帰することとなった

《敗戦後の混乱状態の中ではやはり中野学校出身者は強いですね。教育と使命感のおかげでしょうか。やはりイデオロギーに裏打ちされた使命感を持った工作員は強いわけで、イデオロギー教育は工作員養成には必要なのでしょう。ただ、同時に暴走するリスクも増大するので、個人崇拝や党への忠誠とかの方が使う側としては安全なのかとも思います。秘密警察によって支えられている国家が独裁者への個人崇拝を国策として行うのはそういう意味でとても合理的なことだと思います》



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最終更新日  2007.10.01 21:27:08
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Re:加藤正夫『陸軍中野学校―秘密戦士の実態』(光人社NF文庫,2006) その2(09/29)   くれどさん


Re[1]:加藤正夫『陸軍中野学校―秘密戦士の実態』(光人社NF文庫,2006) その2(09/29)   五年現役兵さん

くれどさん

どうも ご無沙汰しておりました
気まぐれな更新にお付き合いいただきありがとうございます

おっしゃるとおり日本では全共闘世代がもう還暦ですので共産党員の高齢化も著しいです

若い世代の取り込みで赤軍派や革マルなどのセクトに遅れを取り共産党は人気がないようですが、あの学歴偏重体質では仕方ないでしょう

既に社民党など実質的にセクトに乗っ取られ、結果福島党首になっているわけで、セクトの方が活動力があるかもしれません

さて、特務機関員ですが、満州にいた関東軍情報部関係者は抑留され洗脳を受けたでしょうが戦後ソ連のエージェントとして活躍したという話は聞かないですね
実際のソ連や共産党の体質を知って絶望したのでしょう

社会主義者、農本主義者、アジア主義者は、人種や出自の偏重、統制経済礼賛など国家社会主義思想と相性がよく革新官僚と相通ずるものがあります

戦後革新官僚が政界に出たときにこうした人士が擦り寄っていったのでしょうが、ごく僅かな例外を除き特務機関出身者はその下で汚れ仕事をするだけでした

基本は官僚・政治家が主で彼らは従の存在だったと思います

また、アメリカのネオコンを見れば左翼からの転向者というのが如何に無教養で始末に終えないものか端的に現れていると思います

能力の有無は個体差があるが、結局世のため人のためにはならない、という評価に尽きるのではないでしょうか(2007.10.02 01:46:33)

なるほど   くれどさん


Re:なるほど(09/29)   五年現役兵さん

くれどさん


はい、彼らは思想的に反自由主義、反資本主義というところで共通しているので時折奇妙な共闘が成立します

(このあたりは私よりもくれどさんの方がお詳しいかと思います)


田中清玄については確かに切れ者で、石油利権の獲得で功績があったように言われていますが、実際のところオイルショック以降30年を見てみると、米国を上回る経済成長を遂げたのは石油利権を持たなかったドイツと日本、自主権益の確保に成功した英国、フランスは米国を下回る経済成長で、為替レートで見ても同様だったと別宮暖朗氏が某所の掲示板で述べていましたがその通りかと思います

国際市場で取引可能な石油の出所を押さえることが国益上必要だと考えるのはやはり官僚的、社会主義的な考え方ではないかと思います

そうした物を輸入できるような自由な国際貿易や投資の枠組みを維持することにこそ腐心すべきで、途上国において権利がきちんと尊重されるようになれば国家ではなく企業がオウンリスクで開発すれば済むことです

オイルショック以来の通産省を中心とした独自利権確保努力は多額の税金をつぎ込みましたが結果をみても明らかなように失敗しています

所有権などの私権の尊重という考えがない国で(国王に女をあてがったりODAで釣って)利権を得ても、更新の都度多額の更新料やODAなどを要求され結果として安定供給源にはなりませんでした

また、石油利権の確保に遅れたドイツと日本で最も優れた自動車が作られているのは偶然とは思えません

有能かもしれないが、結局社会の役には立たない、というのはそういう意味で申し上げております(2007.10.04 21:18:45)

ビルマ独立党員の海外脱出協力社名   菊池さん


Re:ビルマ独立党員の海外脱出協力社名(09/29)   五年現役兵さん


Re[1]:ビルマ独立党員の海外脱出協力社名(09/29)   菊池さん


Re[2]:ビルマ独立党員の海外脱出協力社名(09/29)   五年現役兵さん


Re[3]:ビルマ独立党員の海外脱出協力社名(09/29)   菊池さん


Re[4]:ビルマ独立党員の海外脱出協力社名(09/29)   五年現役兵さん

菊池さま

>拙Webにアクセス感謝です。第一部は拙著で、第二部はITのお陰で旧船友から若干情報が舞い込み追加したものです。第三部は番外余事等・・・今回の南機関がらみコメントをBBSにちょっとアップしてみましたが、恵昭丸関係は目下追跡中で何か手懸かりがありましたらよろしくお願いします。

そういう構成なのですね
興味深いお話ですので時間が出来次第、ゆっくりと再読させていただきたいと思います。

自営で仕事を抱えているもので、人に比べて多い読書量ではないのですが見つけましたらご連絡させていただきたいと思います。

小型艦艇や輸送船は非常に危険な任務についていたにもかかわらず、地味であるためか戦記などの出版点数も少なかったのですが、近年大内建二氏が光人社からいくつか文庫本を出したのが契機となって、比較的軍事関係に興味を持つ人の間にも認識が広がるとともに、昨年から光人社の文庫で海防艦関係の本が2冊も再版されるなど興味を持つ人も増えてきているようですね。

誠に勝手ですがこのブログの右横のブックマークの欄に菊池様のサイトへのリンクを張らせていただきました。

お気に召さないようでしたらその旨ご連絡いただければと思います。(2008.08.12 21:15:27)

Re[5]:ビルマ独立党員の海外脱出協力社名(09/29)   菊池さん


Re:加藤正夫『陸軍中野学校―秘密戦士の実態』(光人社NF文庫,2006) その2(09/29)   菊池さん


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