テディ・チャールス 『ザ・テディ・チャールズ・テンテット(The Teddy Charles Tentet)』
知性と実験性 テディ・チャールズ(Teddy Charles, 邦盤表記ではテディ・チャールスとも)は、本名セオドア・チャールズ・コーエンといい、1928年にマサチューセッツに生まれ、2012年に亡くなったジャズ・ミュージシャン。演奏者として主にヴィブラフォン(ヴァイブ)奏者として活動したほか、マル・ウォルドロンの『レフト・アローン』などのプロデュースでも知られる。 1950年代は精力的に活動したが、60年代半ばにジャズ界から身を引いてしまったため、決して吹込みは多くないが、本盤『ザ・テディ・チャールズ・テンテット』は、彼の目指していた音楽がよく分かる1枚だと思う。大編成のアンサンブル(本盤では10人組)を組み立て、クロマティック・スケールや不協和音を大胆に取り入れながら、実験的な音楽を作り上げている。作曲および編曲によって“仕組まれた部分”とジャズの“見せ場”であるインプロビゼーションが高度な次元でうまくかみ合っているといった印象を受ける。 こうした特徴とリンクしているのは、7曲すべての編曲者名(一部は作曲者も兼ねる)が記されている点。3.~5.はテディ・チャールズ自身の編曲だが、残りはマル・ウォルドロン(1.)、ジミー・ジェフリー(2.)、ギル・エヴァンス(6.)、ジョージ・ラッセル(7.)となっている。チャールズがそれぞれに依頼し、準備された編曲でもって吹込みに臨んだというわけである。 結果、出来上がったのは、知性と実験性の同居する盤と言えると思う。1.「ヴァイブレーションズ」の精巧な作り、4.「ネイチャー・ボーイ」の緊張感漂うバラード演奏あたりは聴きどころに挙げていいように思うが、忘れてはならないのは、3.「エンペラー」や7.「リディアンM-1」のようなナンバー。知性と実験性を軸にしながらも、体が思わず揺れるわくわく感というか、要はジャズのノリを忘れてはいない所が大きなミソと言えるだろう。[収録曲]1. Vibrations2. The Quiet Time3. The Emperor4. Nature Boy5. Green Blues6. You Go to My Head7. Lydian M-1[パーソネル、録音]2., 4.(1956年1月6日録音)5., 6.(同1月11日録音):Teddy Charles (vib), Peter Urban (tp)*, Don Butterfield (tuba), Gigi Gryce (as), J.R. Monterose (ts), George Barrow (bs), Mal Waldron (p), Jimmy Raney (g), Teddy Kotick (b), Joe Harris (ds)1., 3., 7.(同1月17日録音):Teddy Charles (vib), Peter Urban (tp)*, Don Butterfield (tuba), Gigi Gryce (as), J.R. Monterose (ts), Sol Schlinger (bs), Mal Waldron (p), Jimmy Raney (g), Teddy Kotick (b), Joe Harris (ds) JAZZ BEST COLLECTION 1000::テディ・チャールス・テンテット [ テディ・チャールス ] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓