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音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2009年08月10日
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カテゴリ:ジャズ

『クール・ストラッティン』だけではもったいない、ハード・バップの粋


 1931年ペンシルヴァニア出身のソニー・クラークは、20歳の頃から西海岸で音楽活動を開始する。西海岸での活動で一定の成果を残したあと、彼がニューヨークに出てくるのは1957年4月、25歳の頃だ。1963年1月に急死してしまったため、ニューヨークに出てきてからの活動期間はわずか5年足らず。とはいえ、ニューヨーク到着直後、25歳の彼には勢いがあった。

 ニューヨークに来てわずか数ヶ月、ブルーノートに『ダイアル・S・フォー・ソニー』を吹き込む。その1ヵ月半ほどが経過した9月には本作『ソニーズ・クリブ』を録音。さらには続けて『ソニー・クラーク・トリオ』が録音され、翌58年1月には、かの有名盤『クール・ストラッティン』が制作される。この1年弱の期間の彼はまさに破竹の勢いでレコーディングを重ねた。

 そうした中の一枚が『ソニーズ・クリブ(Sonny's Crib)』である。1.「ウィズ・ア・ソング・イン・マイ・ハート」や4.「ソニーズ・クリブ」(つまりはA面・B面の1曲目)が秀逸である。1.はアルバム1曲目には聴こえない。何が言いたいのかというと、前の曲があってその流れで続いてくるような曲(厳密には曲のイントロ)なのだ。これを1曲目にもってきたインパクトはなかなか大きいと思う。1曲目を聴いていながらも、聴き手は既に数曲聴いているような気分にさせられ、結果、演奏にのめりこんでしまう。他方、4.の表題曲は、『クール・ストラッティン』の表題曲に比肩する雰囲気を持っている。逆説的だが、これを1曲目(A面1曲目)に持ってきて、『クール・ストラッティン』並みの洒落たジャケットをつけたなら、本盤の方が最大の代表作に化けていたかもしれない。他の曲も質が高く、個人的には2.「スピーク・ロウ」が特におすすめである。

 さて、このアルバムをいい作品に仕上げているのは、間違いなく参加メンバーである。とりわけ三管の力による比重がとても高い。ドナルド・バード(トランペット)は、当時25歳で、ジャズ・メッセンジャーズの一員として注目を浴び始めたばかりであった。カーティス・フラー(トロンボーン)は当時まだ22歳。しかも、ソニー・クラークと同様、ニューヨークに来てまだ半年ばかりだった。ジョン・コルトレーンは既に31歳で、マイルスの・デイヴィスのグループのメンバーとして有名にはなっていたが、独自の音楽を求めてセロニアス・モンクとの共演やバンド・リーダーとしてのプレスティッジでのデビューといった模索を行なっていたのがちょうどこの1957年だ。さらに付け加えるならば、当時、ポール・チェンバース(ベース)は22歳、アート・テイラー(ドラム)は28歳だった。個人的な好みも付け加えておくならば、1.や3.のバード、2.や4.のコルトレーン、3.のフラーが耳に心地よい。

 要するに、若い血潮がみなぎっているのである。ところが、若さが変に暴発すれば、単なるブロウ合戦に終わってしまっていたかもしれない。本盤の素晴らしいところは、管楽器の三者が「抑え気味にベストをつくした」ところにあるといっていい。ハード・バップ・ムーブメントを牽引する上り調子の若者たちの、考え抜かれたプレイ。これがリーダーであるソニー・クラークの手腕なのか、はたまた彼の録音を立て続けに行なったブルーノート・レーベルのオーナー、アルフレッド・ライオンの功績なのかはよくわからない。けれど、アレンジの妙や全体の統一感を求めた結果として完成した音楽が素晴らしいことに間違いはない。

 「ソニー・クラーク」イコール『クール・ストラッティン』。ジャケットのよさも手伝い、同アルバムばかりが聴かれる傾向にある。しかしながら、この有名盤一枚だけで他を聴かないというのはあまりにもったいない、というのが筆者の感想である。



[収録曲]
1. With A Song In My Heart
2. Speak Low
3. Come Rain Or Come Shine
4. Sonny's Crib
5. New For Lulu


Donald Byrd (tp), Curtis Fuller (tb), John Coltrane (ts), Sonny Clark (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)

録音:1957.9.1
Blue Note 1576





 
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Last updated  2016年01月28日 22時24分56秒
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