テーマ:クラシックロック(754)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
幅広い楽曲が満載された絶頂期の秀作、エルトンを聴くなら本盤からが王道
1969年にデビューしたエルトン・ジョンにとって、1973年の本作『ピアニストを撃つな(Don't Shoot Me I'm Only The Piano Player)』は6枚目のアルバムで、初めて全米・全英ともにNo.1を記録したレコードでもある。この年をエルトンの絶頂期と見なす向きも多く、同じ年にリリースされた『黄昏のレンガ路(Goodbye Yellow Brick Road)』と並んで、本盤はエルトンの最高作としてよくその名が挙げられる。なお、本作のタイトルは、1960年のフランス映画『ピアニストを撃て(英訳題:Shoot the Piano Player)』をもじったもの。 本作『ピアニストを撃つな』の収録曲で有名なのは、1.「ダニエル」と9.「クロコダイル・ロック」である。前者は全米2位(全英4位)にチャートインしたバラード曲で、ヴェトナム帰還兵をモチーフとして兄弟の愛を歌ったもの(ゲイリブの歌というのはまったくの誤解であることを共作者バーニー・トーピンが明言している)。後者は、ポップ・ロック調の名作で、先行シングルとしてアルバムリリースの前年に発売され、全米1位(全英は5位)に輝いた。 これら2曲だけを聴きたいのなら、ベストアルバムを買う方がいいと思う。けれども、この『ピアニストを撃つな』が優れた作品である理由は他にある。それは"バランスのよさ"である。上で挙げた1.「ダニエル」のようなバラード系、4.「ベイビーと僕のためのブルース」などの穏やかでスロー系の曲から、6.「罪人にあわれみを」)のようにオーケストラを配したドラマチックな曲、エルトンらしさ満開のポップチューンである5.「ミッドナイト・クリーパー」、さらにはロック系の上記9.「クロコダイル・ロック」、シンプルながら雄大さを伴う10.「ハイ・フライング・バード」。(余談ながら、筆者は永らく本盤はレコードしか持っていなかったのだが、この10.「ハイ・フライング・バード」を手軽に聴きたいがゆえに、CDを買い足した。) このような多用な楽曲がバランスよく配置されていて、聴き手を飽きさせずにエルトンの魅力を存分に伝える点こそが本盤の存在意義ではないだろうか。一つのコンセプトや音作りに特化して作り出される名作もあれば、様々なものをバランスよく配置して成功するアルバムもある。こうした観点からすれば、『ピアニストを撃つな』は明らかに後者のタイプである。なおかつ、それが佳曲を適当に詰め込んだものではなく、バランスのよさを保ったままアルバムとして成立しているところが名作といわれる所以であり、同時に、初めてエルトンを聴く人への入口としても"王道"になるのだと感じる。 [収録曲] 1. Daniel 2. Teacher I Need You 3. Elderberry Wine 4. Blues for My Baby and Me 5. Midnight Creeper 6. Have Mercy on the Criminal 7. I'm Gonna Be a Teenage Idol 8. Texan Love Song 9. Crocodile Rock 10. High Flying Bird ~以下、1995年リイシュー時のボーナス・トラック~ 11. Screw You (Young Man's Blues) 12. Jack Rabbit 13. Whenever You're Ready (We'll Go Steady Again) 14. Skyline Pigeon (piano version) 1973年リリース。 ピアニストを撃つな +4/エルトン・ジョン[SHM-CD]【返品種別A】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019年02月26日 15時21分42秒
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