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音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2009年11月18日
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テーマ:Jazz(1961)
カテゴリ:ジャズ

晩秋の「枯葉」 ~トランペッター編(その1)~


 秋だから「枯葉」を取り上げるというのも、何ともベタな話ではあるが、今回は3回シリーズでジャズのスタンダードとなっている名曲「枯葉(Autumn Leaves)」を話題にしたいと思う。とはいっても、ただ「枯葉」というのも何なので、トランペット奏者が中心となっている「枯葉」ということに絞ってみたい。

 第1回目は、チェット・ベイカーの「枯葉」である。チェット・ベイカーは米国出身の白人のトランペット奏者かつジャズ・ヴォーカリストで、ウエスト・コースト(西海岸)を代表するジャズ・ミュージシャン。1929年にオクラホマで生まれ、1988年に没している。1950年代前半に一世を風靡するが、50年代後半には麻薬中毒で体調を崩し、60年代にはイタリアで麻薬絡みで逮捕されるわ、挙句の果てには1966年にはサン・フランシスコでドラッグがらみの騒動で前歯を折られてしまうわで、ついには休業を余儀なくされる(この辺の細かい話にはいろんな説があって詳細な真相ははっきりしていないらしい)。

 いずれにせよ、"西海岸ジャズ"や"クール・ジャズ"といったキーワードとともに1950年代にいったんは時代の寵児となったチェット・ベイカーは、時の流れとともに落ちぶれていき、活動を停止した後、70年代前半になってようやく復帰する。この復帰時に吹き込まれたのが、CTI盤の『She Was Too Good To Me(邦題:枯葉)』というアルバムで、今回の「枯葉」はこの盤に収録されている。

 この演奏におけるチェットのトランペットは、消え入るようにはかなく、哀愁に満ちた繊細な音である。演奏者自身(チェット)が、上に書いたような経緯で"一度は人生が終わりかけた"経歴だった話なども考えながら聴けばなおのこと、あまりにはかなく寂しい音色に響くかもしれない。きっとトランペットのソロだったなら、今にも割れそうな薄いガラスを手にしているようで切なくて悲しげで、1曲を通して聴くに耐え難いものになっていたかもしれないとすら思える。しかし、実際にこの「枯葉」の演奏を聴くとまったくそうではないことがわかる。枯葉が落ちていくは悲しさや切なさが表現されつつも、どこかしら聴き手の心を暖かくする力強さが同居している。

 その理由は他の参加ミュージシャンにあるのだと思う。アルト・サックス(ポール・デスモンド)やベース(ロン・カーター)の役割というのもあるが、ここではピアノとドラムに注目したい。ピアノのボブ・ジェームズが演奏するのは、通常のピアノではなく、エレクトリック・ピアノである。伴奏のピアノの電子的な音は、曲全体を暗い雰囲気に沈めてしまわないという点で結構重要な役割を果たしていると思う。しかも、このピアノ音は、ずっと目立つ音で鳴りっ放しという感じではなく、さりげなく音の隙間で聴こえてくるという具合が絶妙である。なおかつ、曲中にピアノ・ソロ部分があるり、このパートではどこかしら寂しさから希望への転換を思い起こさせるというのも効果的だ。

 そして、何よりも大きな役割を担っているのは、ドラムのスティーヴ・ガッドである。聴き手によっては、この「枯葉」における彼のドラミングはうるさ過ぎるという人もいるかもしれない。しかし、筆者はこれくらい盛り上げたドラミングが組み合わさっているからこそ、この「枯葉」の名演が出来あがったのだと思う。はかなく切ないチェットのトランペットから始まるこの演奏がずっとそのまま続けば、上述の"暖かさ"や"力強さ"は生まれなかっただろう。けれども、出だしはなるほど抑え気味にドラムを演奏し、デスモンドのサックスが入るあたりから徐々に盛り上げていき、チェットのソロ・パートが再び出てくる部分では抑え気味に戻り、また盛り上げていくという展開は、曲全体の展開を考えた見事なドラミングだと感じる。
 
 そんなわけで、この「枯葉」は、移ろいゆく季節の寂しさと哀愁を感じられる同時に、暖かさや希望といった、その先にあるものを連想させる好演に仕上がっていると言えるだろう。



[収録アルバム]
Chet Baker / She Was Too Good to Me(邦題:『枯葉』)

Chet Baker (tp), Paul Desmond (as), Bob James (p), Ron Carter (b), Steve Gadd (ds)
録音: 1974年


(参考リンク) 晩秋の「枯葉」~トランペッター編~
  その2へ     その3





 
枯葉/チェット・ベイカー[Blu-specCD]【返品種別A】




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Last updated  2016年01月28日 21時55分01秒
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