テーマ:アメリカン・ロック(103)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
流行にとらわれず自然体で演るアメリカン・ロックの力作 ボブ・シーガーのアルバムはこれまでに『ライク・ア・ロック』や『ザ・ファイアー・インサイド』といった盤を紹介してきたが、古くからのファンにとっては『ライク・ア・ロック』以前こそが本来のボブ・シーガーというイメージをお持ちの方も結構いるのではないだろうか。そこで、今回は『ライク・ア・ロック』からややさかのぼって1980年発表の一枚を取り上げたい。本盤『奔馬の如く(原題:Against the Wind)』は、ボブ・シーガーにとっては12枚目の、シルバー・ブレット・バンドを率いては3枚目のアルバムに当たる。これまでのボブ・シーガーの全アルバムの中で唯一全米1位を獲得したヒット・アルバムである。 ボブ・シーガーのアルバムはどれもジャケット・デザインがいまいちというのが個人的な印象である。けれども、本盤は例外中の例外で、5~6頭の馬が駆け抜ける光景の絵画がアルバムの表紙を飾る。ジャケット・デザインはどこかしら爽やかだが、無論、音楽の内容は決してそうではない。ボブ・シーガー・サウンドそのものの王道を行くコアなアメリカン・ロックである。『奔馬の如く』という邦題はとてもカッコいい響きだが、上記ジャケットからの連想によるものと思われ、原題は収録曲6.の「アゲンスト・ザ・ウィンド(風に逆らって)」そのままである。 このアルバムは、とりわけボブ・シーガーという人の感性がストレートに表現され、曲調のヴァリエーションもバランスよく配されていると思う。1.「地平線のバップ」や5.「長い二本の平行線」のようなボブ・シーガーのイメージ通りの典型的ナンバーがメインだが、テンポを落とした4.「誰もいない国」、6.「アゲンスト・ザ・ウィンド」、7.「大切なものへ」、10.「輝ける夜明け」がいいアクセントになっている。とりわけ、表題曲の6.は筆者の大のお気に入りで、シングルとしても全米5位(ビルボード)を記録した。ちなみにこの曲の後半でコーラスをしているのはボブ・シーガー自身だけでなくイーグルスのグレン・フライも参加している。また、他の曲(9.「ファイアー・レイク」)では、彼に加えて同じくイーグルスからドン・ヘンリーとティモシー・シュミットもコーラス参加している。 別項(『ザ・ファイアー・インサイド』を参照)でも書いたが、ボブ・シーガーは年齢の積み重ねとともにますます“自然体”に磨きがかかっていったアーティストである。本作の時点でも、肩の力が抜けきってはいない部分もあるものの、重いアメリカン・ロック調の演奏をさも自然にこなしてる感じがする。生まれつきとは言わないが、長年にわたって体に染みついてきたものを表現するからこそ、このナチュラルさというのが意識的ではなく自然に湧き出てくるのだろう。本盤を通して聴く機会がある方は、アルバムの最後を締めくくる10.にも耳を傾けてもらいたい。ギターがソロをとることはなく、本来のアメリカン・ロック・サウンドのイメージとは少し違う曲だが、サックスをフィーチャーした曲のアレンジ、バックのピアノ演奏、ギターのカッティングはそのベースになるもの、いわば典型的アメリカン・ロック・サウンドの“骨格部分だけ”のような演奏だ。その演奏の中、ボブ・シーガーの迫真のヴォーカルは、気負いすぎるのではなく、自然体でこれができることを如実に示している。 [収録曲] 1. The Horizontal Bop 2. You'll Accomp'ny Me 3. Her Strut 4. No Man's Land 5. Long Twin Silver Line 6. Against the Wind 7. Good for Me 8. Betty Lou's Gettin' Out Tonight 9. Fire Lake 10. Shinin' Brightly 1980年リリース。 【Aポイント+メール便送料無料】ボブ・シーガー&シルヴァー・バレット・バンド Bob Seger & The Silver Bullet Band / Against The Wind (輸入盤CD) 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013年07月17日 09時01分49秒
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