テーマ:Jazz(1958)
カテゴリ:ジャズ
ブルース感覚溢れるテナーを楽しむ ~その1~ ブルース感覚に溢れたテナー盤という漠然とした言い方をすると、該当盤は星の数ほどありそうなのだけれど、今回は個人的な独断と偏見を存分に盛り込んで、ブルーノート4000番台から2枚を挙げておきたく思う。1回目の今回は、“幻の”という形容詞が常に付きまとうテナー奏者、ティナ・ブルックス(Tina Brooks)の1枚である。 ティナ・ブルックス(Tina Brooks)は1932年生まれで、本名はハロルド・フロイド・ブルックスという。ティナというのは、“タイニー”もしくは“ティニー”に由来し、若い頃に小柄だった彼に与えられたあだ名から来るらしい。録音期間があまり長くなく、リーダー作が少ないということもあり、“幻”という形容が長らくされてきた。実際、死後(1974年死去)だいぶたってから『バック・トゥ・ザ・トラックス』がリリースされるまで、唯一のリーダー作として珍重されてきたのが本盤『トゥルー・ブルー(True Blue)』であった。 演奏を実際に聴いてすぐにわかるように、本盤のテナーは派手にブロウするわけではない。せいぜい表題曲4.「トゥルー・ブルー」や5.「ミス・ヘーゼル」の演奏が収録曲中で派手な方といった程度だ。その意味では、かなり地味な盤であると言ってもいいかもしれない。もう一人の管楽器(トランペット)で参加しているフレディ・ハバートに関しても同様のことが言え、派手さはない(むしろおとなしめで地味である)。しかし、ティナ自身の言では、ハバートは“自分の作品が持つムードを見事にとらえてくれた”とのことで、この雰囲気はアルバム全体としてティナが表現したかったものという意図が見て取られる。大半の曲(6曲中1.~5.の5曲)を自作曲でかため、アルバム表題(=収録曲4.のタイトル)にあるように、“真のブルー”をゆったりした雰囲気の中に示そうとした。 実際、R&Bバンドにいた時に鍛えられたであろうブルース感覚が本盤でのティナのソロの端々に滲み出ている。その意気込みはジャケットにも見事に表現されている。ジャケットにはいろんな色調のブルー(青色)が並んでいて、それぞれに一言添えられている。“Too Blue(青すぎ)”、“Blue or False(青か偽か)”、なかには“Blue Note”なんてのもある。そして、そのうちの一ヶ所だけがティナ・ブルックスの小さな上半身写真で、その箇所には“True Blue(真のブルー)”と記されている。つまり、“われこそが真のブルー”を自負するさりげないデザインになっているというわけだ。 個人的な好みは、1.「グッド・オールド・ソウル」、3.「ドリスのテーマ」、6.「ナッシング・エヴァー・チェンジズ・マイ・ラヴ・フォー・ユー」のややまったり系のブルージーさ。とはいえ、この手の曲ばかりを6曲並べるのではなく、起伏をつけたところが正解なのだろう。あと、あらぬ想像でしかないのだが、この盤でホレス・パーラン(次回~その2~を参照)がピアノを弾いていたなら、もっと強烈な大名盤になっていたのではないかと思ったりもするのだが、いかがだろうか。 [収録曲] 1. Good Old Soul 2. Up Tight's Creek 3. Theme For Doris 4. True Blue 5. Miss Hazel 6. Nothing Ever Changes My Love For You [パーソネル] Freddie Hubbard (tp) Tina Brooks (ts) Duke Jordan (p) Sam Jones (b) Art Taylor (ds) 録音:1960年6月25日 Blue Note 4041 関連記事: ブルース感覚あふれるテナー(その2)へ ティナ・ブルックス『バック・トゥ・ザ・トラックス』へ 【送料無料】トゥルー・ブルー+2 [ ティナ・ブルックス ] 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013年07月11日 06時18分32秒
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