テーマ:ブルース・ロック(62)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
英国ブルース・ロック胎動の熱さを示すブルース・カヴァー盤
サヴォイ・ブラウン・ブルース・バンド(Savoy Brown Blues Band)-後により短くしたバンド名でサヴォイ・ブラウン(Savoy Brown)-は、1966年にロンドン近郊で結成された。中心人物はウエールズ出身のギタリスト、キム・シモンズで、他のメンバーは時とともに変化していくことになる。当初の本盤発表時のメンバーは、5人編成中2名が黒人。ただしこのメンバー編成には次の第2作ではごっそり入れ替わってしまう。いずれにしても、このサヴォイ・ブラウンは、英国三大ブルース・バンドの一つなどと称されることになっていく。 デビュー作に当たる本盤では、オリジナルはほとんどなく、ほぼ全編がブルース曲のカヴァー。その意味では、決して新鮮味に溢れたものというわけではない。悪く言ってしまえば、模倣の域を出ていないという言われ方もあながち外れてはいない。取り上げているのは、ウィリー・ディクスン、ジョン・リー・フッカー、B・B・キング、アルバート・キングといったブルースメンの楽曲。しかし、取るに足らないカヴァーというわけではないと思う。何よりも、パワーと勢いが満ち満ちている。 本盤の聴きどころはと訊かれれば、何よりも2人のギタリスト(キム・シモンズとマーティン・ストーン)の演奏が一番に挙げられる(4.「ハイ・ライズ」なんかは非常におすすめ!)。ブルースに向けられた憧れとそれをどう表現するかという努力の結果としての熱気は、ピーター・グリーン率いるフリートウッド・マックなど同時期のブルース志向バンドと共通するものがある。演奏に雑い部分があると指摘する向きもあるかもしれないが、ここで話題にしている“熱気”は、お上品な型にはまった演奏からはなかなか生まれ得ないものだ。誤解を恐れずに言うならば、ある種の“雑さ”ゆえにこの“熱気”が伝わるという結果になっているように思う。 こうした勢いと熱気は、後々ブルース・ロックとして固定化されていくジャンルの胎動という意味でとても興味深い。ブルースの模倣の中から、ブルース・ロックという別物が現れ出し、やがてはハード・ロックなるものへもつながっていくというのが、一般的によくなされる説明である。この盤も、まさにそういった化学変化を起こしつつあった時代の“熱さ”をよく体現していると思う。サヴォイ・ブラウンそのものに関して言えば、本盤の3.「ブラック・ナイト」なんかは後々の方向性を模索する上で一つの重要なきっかけになっているのではないだろうか。もっとイケイケな1.「エイント・スーパースティシャス」や8.「リトル・ガール」などのナンバーは既存のものをどんどん吸収していっている感じがする。本盤に関してだけ言えば、後者の勢いが個人的には心地いいと思うのだけれど。 【送料無料】 Savoy Brown / Shake Down 【SHM-CD】 [収録曲] 1. I Ain't Superstitious 2. Let Me Love You Baby 3. Black Night 4. High Rise 5. Rock Me Baby 6. I Smell Trouble 7. Oh! Pretty Woman 8. Little Girl 9. The Doormouse Rides the Rails 10. It's My Own Fault 11. Shake 'em on Down 1967年リリース。 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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