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音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2011年08月03日
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テーマ:洋楽(3285)
代表作ではないが一聴に値する実験盤


 トッド・ラングレン(Todd Rundgren)は、何かとマニアックな人である(過去記事『ミンク・ホロウの世捨て人』参照)。マニアックといっても、別に悪い意味で言っているわけではないのだが、ふつうの人間なら嫌になったり、気が遠くなったりするような作業もきっと楽しんでやってのける、そういうタイプの人なのだろう。そして、そんな彼のマニア度が、ある意味存分に発揮された1枚がこの異色盤『ア・カペラ(A Capella)』(1985年)である。

 さて、この盤の特徴であるが、このアルバムでは実は楽器が使用されていない。要するに、トッド自身から発せられる音(声)を組み合わせてアルバム全体が出来上がっているのである。21世紀を迎えた現在では、声をサンプリングして音楽に組み立てていくという手法はさして珍しいことではない。しかし、この盤がリリースされた1980年代半ばにおいては、事情はまったく違っていた。70年代に開発が進み、ようやく80年代初頭に実用化されたエミュレータ(E-mu)という機械の技術を取り入れての革新的・前衛的・実験的レコーディングであった。冒頭でふれた“マニア”なトッド・ラングレンという話題からすると、こうした実験的な音づくりを、ふつうの人なら気の遠くなりそうな作業をおそらくは黙々と取り組むことによってようやくできあがったのだろう。

 そのようなわけで、タイトルの『ア・カペラ』というのは、コーラス隊みたいなのがいて“ドゥー・ワップ”とやっているのを想像する方も多いかもしれないが、そうではない。念のためにはっきり言っておくが、そういう伝統的“アカペラ”のイメージとは、本盤は全く異なる。少々単純化することを承知で言ってしまえば、いつものトッドのような楽曲を、楽器に代わって上記の技術でやってのけたというサウンドである。なので、曲によっては声で演奏ができあがっているようには思えないものすらある(ただしちゃんと聴けばそれが声であることもすぐわかる)。

 こういう盤なので、トッド・ラングレンを初めて聴いてみよう、などという人には間違っても薦められたものではない。けれども、何枚かのトッド盤を聴いたことがあり、マニアックな変わったアーティストであるとの感想を持ち始めた人には、試しに聴いてみる価値が十分にある盤だと思う。相変わらず、ソング・ライティングの実力の発揮度は折り紙つき。筆者の好みとしていくつか曲を挙げると、3.「プリテンディング・トゥ・ケア」は相変わらずのバラードの実力が存分に発揮されたナンバー。5.「失われた地平線」や6.「サムシング・トゥ・フォール・バック・オン」、8.「ロック・ジョウ」など、それぞれタイプの違う曲を並べて聴いていると、アカペラ企画というのを思わず忘れて聴けてしまう。その意味では、実に“音の魔術師”らしいアルバムということになる。ありきたりな結論だけれども、やはりソングライティングの段階からしてレベルが高いからこそ、音作りの面での実験性が単なる実験にならず、聴く価値のある“演奏”としての質を提供することになっている、ということだろうか。





[収録曲]

1. Blue Orpheus
2. Johnee Jingo
3. Pretending to Care
4. Hodja
5. Lost Horizon
6. Something to Fall Back On
7. Miracle in the Bazaar
8. Lockjaw
9. Honest Work
10. Mighty Love

1985年リリース。




 ​
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