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音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2011年10月16日
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一抹の寂しさを残すエルトンの名曲たち(2)


 エルトン・ジョン(Elton John)のバラードには温かさが伝わってくる曲も多分にある。けれども、一部の(決して少なくない数の)彼の曲からは、どこか寂しげな気配が伝わってくる。1970年代の楽曲にとりわけその傾向が強いように思うけれども、後々のエルトンの作品群にもこの手の曲はときおり顔を覗かせる。

 「ビリーヴ(Believe)」は、1995年発表のアルバム『メイド・イン・イングランド(Made in England)』の冒頭を飾る曲である。1970年代前半に人気絶頂を迎えたエルトンは、1980年代後半から90年にかけて、喉の手術、友人や知人のエイズによる死去、さらには薬物依存とアルコール依存、過食症とトラブルを抱えていた。91年のアルバム『ザ・ワン』で何とか復活を果たすが、この流れの中で、気合の入ったアルバムとして出てきたのが『メイド・イン・イングランド』だった。このアルバムでエルトンは原点に立ち返り、ちょうど70年代前半の作品群(『ホンキー・シャトー』、『ピアニストを撃つな!』、『黄昏のレンガ路』)と同じ方法でこのアルバム制作を進めていったという。

 前回の「悲しみのバラード(Sorry Seems To Be The Hardest Word)」では、愛の絶望が主題となっていた。その時から20年近く経ち、上で述べたような経緯を乗り越えた46、47歳のエルトンは、今度はこの「ビリーヴ」では、“僕は愛を信じる”、“僕たちにはそれしかない”と堂々と歌う。この曲での“愛”というのは、いわば人類の、人としての“愛”である。

 だからといって、決して明るいトーンで愛を説くわけではない。1990年代半ばの世界を見ながらの悲痛な叫びにも聞こえる。第二次大戦を引きずった二大大国の冷戦構造が消えて平和な世界が訪れたかというと全くそうではないし、多くの国々が数十年前とは違う豊かさを手に入れても差別や殺し合いは消えない日常がそこにはあった。結局、この状況って、エルトンがこのアルバムを作った後、21世紀に突入した今も変わってはいない。つまり、この楽曲でのエルトンの“愛”は、自信を持ちたい気持ちはあるものの、どこかそれにすがるような心地といったところであろうか。

 実際、この曲の発表よりも後の例は枚挙にいとまがない。“テロリスト”を創り出し国民感情を煽って盛り上げた少し前の米国。人類が未経験の放射能事故を前に思考不全に陥り“風評”を創り出して同じく国民にそれを支持させようとした日本。そこにほんの少しの“誠意”や“愛”があれば、とつくづく思う。エルトンの「ビリーヴ」が単に明るい希望の曲に仕上がらず、寂しさと空虚感の中の一筋の希望の曲に仕上がっているというのは、こういう現実を日々見ている(あるいは見てきた)現在のアメリカ人や日本人(もちろんそれ以外の世間の虚しい現実を見つめる人たち)へのメッセージにもなっているような気がする。


[収録アルバム]

Elton John / Made in England (1995年)
Elton John / Elton John’s Greatest Hits 1970-2002 (2002年)*ベスト盤



[関連記事リンク]

 一抹の寂しさを残すエルトンの名曲たち(1)
 一抹の寂しさを残すエルトンの名曲たち(3)
 一抹の寂しさを残すエルトンの名曲たち(4)






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Last updated  2011年10月20日 08時58分54秒
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