テーマ:アメリカン・ロック(103)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
ブランクを感じさせない、鬼気迫るライヴ・パフォーマンス~E・ストリート再集合(その3) E・ストリート・バンド復活時の曲、第3回目は、「マーダー・インコーポレイテッド(Murder Incorporated)」。おそらくは、スプリングスティーンのファンの間ではライブなどでよく知れた曲だったのだろうけれど、正式リリースはこのリユニオン時のベスト盤が最初。ただし、ベスト盤に収録されたこの曲のスタジオ・バージョンは、『ボーン・イン・ザ・USA』制作時の1982年の音源(アウトテイク)なので、別に90年代に入ってからのこの時の復活とは関係がない。 ところが、この同じ年(1995年)に、この曲のライブ・バージョンが2テイク立て続けにリリースされている。一つめは、シングル「シークレット・ガーデン」とのカップリング(米盤5曲、日本盤6曲のミニアルバム形式)として収められたもので、同年2月21日にニューヨークのトランプスで録音されたもの(同テイクはEP「ブラッド・ブラザーズ」にも収録)。 もう一つは、「ハングリー・ハート」(1980年、『ザ・リバー』に収録された、初のTOP10入りシングル)が同ベスト盤からのシングルとして再リリースされた際にカップリングされたテイク。5曲入りのミニ・アルバム形式でリリースされた「ハングリー・ハート」の5曲目には、再結成メンバーでの「マーダー・インコーポレイテッド」(4月5日、ニューヨークのソニー・スタジオでTV番組向けに録られたもの)が収められている。 個人的には前者(「シークレット・ガーデン」収録)の方がリアルな再結成の臨場感があると思うが、後者(「ハングリー・ハート」収録)の方が、ライブ・テイクらしく荒いという印象だが、その分出来がいいようにも感じる。とりわけ、後者のテイクのギター・ソロ(途中のギター・ソロではなく、曲の終盤のソロの場面)では、弦が切れるというハプニングもありながら、鬼気迫る演奏がそのまま収録されている。 この表題を直訳すれば、“殺人株式会社”。もともとは1920年代の表現だそうだが、80年代にレーガン大統領の政策が弱者を切り捨てていく中でこの「マーダー・インコーポレイテッド」は作られ、いったんはアウトテイクとなったものの、90年代、クリントン政権への失望からこの曲の再登場があったんだろうと想像される。 いずれにしても、ここからE・ストリート・バンドは文字通り“復活”した。数年前にはキーボーディストのダニー・フレデリシが亡くなり、昨年はサックスのクラレンス・クレモンズが死去した。先頃出たB・スプリングスティーンの新譜(『レッキング・ボール』)はE・ストリートの名義ではなく、全メンバーの全面参加と言うわけでもなかった。今後のE・ストリート・バンドはどこへ向かうのか。B・スプリングスティーンはすっかりアメリカ音楽界の大御所となってしまったものの、彼だけではなく今後のバンドそのものの行く末も、ぼちぼちではあるが見据えていきたいように思う。 ↓今回は最新のライブ(今月初め、NYCでのライブから)の映像です。相変わらずパワーいっぱいのパフォーマンスですね。↓ [収録アルバム] Bruce Springsteen / Greatest Hits (1995年)←オリジナルのスタジオ・バージョン Bruce Springsteen / Secret Garden (1995年、EP)←95年、NYトランプスでのライブテイク Bruce Springsteen / Blood Brothers (1996年、EP)←同上 Bruce Springsteen / Hungry Heart (1995年、EP)←95年、ソニースタジオでのライブテイク [関連記事リンク] E・ストリート再集合(その1)「ブラッド・ブラザーズ」へ E・ストリート再集合(その2)「ディス・ハード・ランド」へ 下記ランキングに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012年04月28日 07時47分57秒
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