テーマ:洋楽(3275)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
シンプリー・レッドとスティーリー・ダンの意外な共通点(?) 唐突かもしれないが、実は筆者にとってこのシンプリー・レッド(Simply Red)というグループは、スティーリー・ダンと似た関係にある。やってる音楽に共通性が多いとか、そういう意味ではない。形式的なことを言えば、個別のミュージシャンが指揮をとり、バンドとしては必ずしも固定された平等な関係ではなく、“指揮者”がバンドという形態を動かしている部分、とでも言えばよいだろうか。 そういう形式のグループというのなら他にいくらでもあるではないかと反論される向きもあるだろう。けれども、筆者にとっての共通点はそれだけではない。感覚的な言い方しかできないのだけれど、聴いた時の印象というか感覚というか、それが共通しているのである。筆者にとって、両者の作り出す音楽は、思わず体が動くとか、カッコよすぎて無条件にしびれるとか言うのではない(そうだというファンの方々はお許しを)。聴きながら、あるいは聴いた後に、とにかく感銘を受け、感心し、凡庸でないことにひたすら驚嘆するというパターンなのだ。 1991年発表の本作『スターズ(Stars)』は、上記のような感想を持っている筆者にとって、シンプリー・レッドの典型作であり、実際、このグループがもっとも売り上げた作品でもある。前作(『ア・ニュー・フレイム』)に引き続き2作続けて全英1位を獲得した。アメリカでの売れ域はさほどでもなかったが、特にヨーロッパでの人気は高く、イギリスでは2年続けて売上No. 1の座をキープするアルバムとなった。同様に、リリース年から翌年にかけて5曲もの収録曲がシングルとしてチャートインした。 以前にもちょっと書いたように(過去記事『ピクチャー・ブック』を参照)、シンプリー・レッドの中心であるミック・ハックネルの言動を見ていると、この人は自分のことを本当に天才だと思っているかのようだ(そしてまた、本当に彼は天才なのだけれど)。これに反して、と言えばいいのだろうか、ハックネルが創り出す音楽には嫌味な部分がない。そしてどの曲も、特にこのアルバムでは、洗練された都会的響きがする。こういう部分が、筆者の中では、上で述べたスティーリー・ダンと重なり合っているのだ。 収録曲はどれもレベルが高くよくできているのだが、とくに印象が強いのは表題曲の2.「スターズ」。きれいなまとまりの中にもサッチャー(かつての英首相)に批判的な運動をしていたハックネルが反サッチャリズムの意味を込めて作ったとされるもの。他には1.「サムシング・ゴット・ミー・スターテッド」、4.「ユア・ミラー」、8.「ハウ・クッド・アイ・フォール」、10.「ワンダーランド」といったあたりが特に高い洗練度で好み。 [収録曲] 1. Something Got Me Started 2. Stars 3. Thrill Me 4. Your Mirror 5. She's Got It Bad 6. For Your Babies 7. Model 8. How Could I Fall 9. Freedom 10. Wonderland 1991年リリース。 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012年05月22日 07時33分30秒
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