テーマ:Jazz(1958)
カテゴリ:ジャズ
グリフィンの本当の魅力とは ジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)と言えば、“リトル・ジャイアント(小さな巨人)”というニックネームの印象から、小柄な体がテナー・サックスと一体になったかのようなオーバーブロウ、さらには勢いそのままにスピーディーな演奏といったものをイメージする人も多いかもしれない。この印象は確かにその通りだし、かつて“もっとも速いサックス奏者”と呼ばれたことも確かなのだけれど、果たしてそれこそがグリフィンの本当の魅力だろうか。実は、以前、筆者はグリフィンがなかなか好きになれなかった。それは、豪快なブロウにばかりに耳が行っていたからだったと今では思う。 その辺の考えが変わったのは、『ザ・コングリゲーション』や『ザ・ケリー・ダンサーズ』といった盤を気に入り始めた頃と一致する。これらの盤の特徴は、強烈なブロウ(単純化して言えば、音のでかさや勢い)よりも、グリフィンの“歌いっぷり”(もちろん、サックスっで歌うという意味)が前に出ている点である。つまりは、独特の音色を持ちながらも、その真髄はフレージングや歌心にあるとも言えるのかもしれない。 さて、本盤『ウェイ・アウト!(Way Out!)』は1958年のリバーサイドへの吹き込み。時期的に言うと、上述の『ザ・コングリゲーション』の数ヵ月後であるが、この間には所属レーベルの変化があって、ブルーノートからリヴァーサイドへと活躍の場を移した。そのリバーサイドでの最初のリーダー盤は『ジョニー・グリフィン・セクステット』で、ドナルド・バード(トランペット)とペッパー・アダムス(バリトン・サックス)を含めた三管編成だった。実は、本盤『ウェイ・アウト!』は、この録音の翌日と翌々日に吹き込まれ、バックのメンバーは同一だが、管楽器はグリフィンのテナーのみという編成で演奏されたものである。 グリフィンの故郷であるシカゴ(彼は1928年シカゴ出身)色が強い作品で、複数の曲がシカゴの作曲家によるもの。グリフィンだけでなく、本盤に参加の個性的なベーシスト、ウィルバー・ウェアも同じくシカゴの出身。何よりも、グリフィンの演奏に関して、力の抜けた部分と豪快なブロウとのバランスがうまく詰め込まれている。最初に述べたイメージからすると4.「チェロキー」の豪快でスピーディーな演奏が彼の本領だと言うことになってしまうのだが、むしろ筆者は、軽快なフレージングの1.「ホエアズ・ユア・オーヴァーコート、ボーイ?」、感傷的な3.「サニー・マンデイ」の方が好みである。あと、外せないのはケニー・ドリューのピアノで、とくに6.「リトル・ジョン」では、安定したフィリー・ジョー・ジョーンズのドラミングにのって抜群の跳ね具合のピアノ演奏を披露している。 最後に余談ながら、このジャケットの前衛的過ぎる絵(下記商品リンクのうち上のもの)はいったい何なのだろうか。オリジナルのライナーによれば、現代オランダの彫刻家によるチューリップの描写(??)ということだが…。芸術性のカケラも持ち合わせていない筆者には、やっぱりどうもよくわからない。まあ、リバーサイドは一目でそうとわかるこういう斬新なジャケットを作っていたので、リバーサイドらしいということで、何だっていいのだけれど(笑)。 [収録曲] 1. Where's Your Overcoat, Boy? 2. Hot Sasuage 3. Sunny Monday 4. Cherokee 5. Teri's Tune 6. Little John [パーソネル、録音] Johnny Griffin (ts) Kenny Drew (p) Wilbur Ware (b) Philly Joe Jones (ds) 1958年2月26・27日録音。 JONNY GRIFFIN / WAY OUT 新古品 【送料無料】ザ・コングリゲーション+1 [ ジョニー・グリフィン ] 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012年11月03日 07時00分28秒
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