テーマ:Jazz(1961)
カテゴリ:ジャズ
素材の良さを生かした二人だけの奏者のコラボ 1970年代、デンマークの名門レーベル、ステープルチェイス(1972年にコペンハーゲン大学のとある学生が立ち上げたジャズレーベル)から出された1枚がこの『アイ・コンセントレイト・オン・ユー(I Concentrate On You)』。特殊な演奏形態なので、万人好みする類の盤でないのは確かにそうかと思うのだけれど、個人的にはわりと好きでときどき引っ張り出してきては聴いているアルバムである。 この作品の何よりも最大の特徴は、演奏者がたった二人だけということ。サックス(アルト)奏者のリー・コニッツと、ベース(ただし当初未収録、CDで追加のうちの1曲ではピアノも弾いている)のレッド・ミッチェル。つまり、ベースとアルトだけの演奏というわけである。ジャズ愛好者の間では、二人だけの“対話的”演奏からは、トリオ(3人)あるいはそれ以上の人数(楽器数)による演奏から生まれるジャズ特有の相乗効果やスリリング感が生まれないと考える人もいる。一般論として、実際、それはその通りかな、とも思う。つまり、本盤で繰り広げられているのは、あくまで“二人の対話”なのである。これを好むか好まないかは、聴き手次第で、それゆえ万人向けではないかもしれない。 ただ一つだけ、上のような意見に対して付け加えさせてもらうならば、“だから退屈”というのは、必ずしも言えないようにも感じるということ。3人以上のプレイヤーが組み合わされた時、特にジャズでは意外な即興演奏(単なる組み合わせでは想像できない結果)が飛び出してくる。それに対し、2人の対話になるとそういう偶発性はあまり望めない。でも、その偶発性に期待しない演奏というのもあってもいいように思う。変に何が飛び出してくるかわからない緊張感で聴くのではなく、顔が割れている二人の、予想違わぬ見事な対話にじっくり耳を傾けるというのもまたよい。 ちなみに、リー・コニッツと言えば、“クール”という言葉がよくつきまとう。いわゆるクール・ジャズの歴史的モーメントに立ち会ったの、代表作の一つが『ヴェリー・クール』(ただしこれもまたクール期の録音というわけでもないが)という表題だったりする。けれども、初期はともかく、コニッツの長いキャリアの演奏を短い言葉でまとめるのなら、むしろ“ウォーム”の方がしっくりくる。この盤でも、2人だけの演奏で暗かったり寒かったりするかと思いきや、むしろ温かさが特に前面に出ているという風に感じる。 [収録曲] 1. Just One of Those Things 2. *Just One of Those Things (take 7) 3. Easy to Love 4. It’s Alright with Me 5. *Everytime We Say Goodbye (take 1) 6. Everytime We Say Goodbye 7. You’d Be So Nice to Come Home to 8. Love for Sale 9. In the Still of the Night 10. *Night and Day (take 1) 11. *Night and Day 12. I Love You 13. I Love Paris 14. I Concentrate on You *2.、5.、10.、11.はCD化に際して加えられた追加収録曲。 [パーソネル・録音] Lee Konitz (as) Red Mitchell (b; 10.のみp) 1974年7月30日、コペンハーゲンにて録音。 【送料無料】 Lee Konitz / Red Mitchell / I Concentrate On You 輸入盤 【CD】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012年08月20日 07時44分27秒
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