テーマ:洋楽(3285)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
70年代前半のボズの魅力を再認識 ボズ・スキャッグス(Boz Scaggs)といえば、AOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)という日本特有の表現(米国ではAC=アダルト・コンテンポラリー)の代表格とされ、大人志向の甘いロック・ヴォーカルのイメージが強い(過去記事「ハート・オブ・マイン」;同曲の動画はこちら)。けれどもこのイメージが日本国内市場のセールスとして大々的に利用されたのは80年代末のことで、ボズ自身がアダルト向けロックの雄と見なされ始めたのも70年代半ばあたりからだった。 けれども、ボズ・スキャッグスの音楽的キャリアは、70年代半ばよりも前にさかのぼる。1944年、オハイオ州で生まれた彼は、父親の仕事からオクラホマ州、テキサス州へと移り住み、12歳でスティーヴ・ミラーとバンド活動をする。一時期、ボズがヨーロッパへ移り活動をしたものの、60年代後半にはスティーヴ・ミラー・バンドの初期2作品に参加している。 その活動が認められ、ボズは1969年にソロ・アルバムも発表する。デュエイン・オールマンも参加した盤で、日本では『ボズ・スキャッグス&デュアン・オールマン』の邦題で呼ばれているアルバムだった。だが、上述のAOR路線に大々的に転換してセールス面でボズが大きな成功を収めたのは、1976年の『シルク・ディグリーズ』であり、それまではある種、地道な活動をしていた。 実はその地道な頃のボズに筆者は結構魅力を感じていて、時折、荒削りかなと思うこともあるけれど、全体としてはR&B色が濃く、質の高いことをやっていた。特によく聴くのは、上記『ボズ・スキャッグス(&デュアン・オールマン)』、第二作の本盤『モーメンツ』、そして第三作の『ボズ・スキャッグス&バンド』という、1970年を挟んだ前後のアルバム群で、日本では未発売だった頃の作品たちである(日本では1972年の『マイ・タイム』から国内盤がリリースされるようになった)。 初作の『ボズ・スキャッグス(&デュアン・オールマン)』は、デュエイン・オールマンの参加によって捨てがたい魅力があるのだけれども、ボズ自身はまだ型に力が入っているというか、緊張気味な部分もある。それに引き換え、続く本盤『モーメンツ』は、曲に多少のばらつきがあるとはいえ、前作よりもやりたいことを楽しんでやれている感じがする。 前作同様、大半の曲がボズの自作曲で、10曲中7曲(4.、6.、9.以外)が彼のクレジット曲。ヨーロッパでの経験もあってか、ブルー・アイド・ソウル系に傾いた、しかしどこか泥臭いR&B志向の曲がいい感じで、5.「きみのそば(Near You)」や9.「ウィ―・ビーン・アウェイ」なんかはその好例。アルバム全体のベスト曲は、筆者の独断と偏見で、6.「ブルースを歌い続ける(I Will Forever Sing (The Blues))」に決まり。シンガーとしてのレベルの高さはもちろんのこと、バンドの演奏のまとまりも本盤収録曲中でピカイチだと思う。あと、さりげなくいい味を出しているのがアルバム最後を締めくくるインスト曲の10.「キャン・アイ・メイク・イット・ラスト」。フリートウッド・マック初期の有名曲「アルバトロス」(68年シングル発売)に匹敵するインスト・ナンバーというのは言い過ぎだろうか。 [収録曲] 1. We Were Always Sweethearts 2. Downright Women 3. Painted Bells 4. Alone, Alone 5. Near You 6. I Will Forever Sing (The Blues) 7. Moments 8. Hollywood Blues 9. We Been Away 10. Can I Make It Last (Or Will It Just Be Over) 1971年リリース。 【送料無料】モーメンツ [ ボズ・スキャッグス ] 下記ランキングに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012年08月23日 08時26分07秒
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