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音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2012年09月06日
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テーマ:Jazz(1961)
カテゴリ:ジャズ

甘いヴォーカル?いかにも西海岸?のその先 


 チェット・ベイカー(Chet Baker)の名を耳にして、一般に人がイメージする音楽と言えば、良くも悪くも“甘い方のチェット”ではないだろうか。優しい歌声と柔らかなトランペット…これも当然ながらチェット・ベイカーの魅力ではあるけれども、彼はれっきとしたジャズマンだった。ジェリー・マリガン、アート・ペッパーなどとともにいわゆるウェスト・コースト(西海岸)・ジャズの立役者でもある。

 けれども、そんなチェットのイメージのさらに一歩先を行っている演奏もある。本盤『チェット・ベイカー&クルー(Chet Baker and Crew)』はその典型だろう。ヨーロッパ滞在から戻り、パシフィックでの第1弾作品。もちろん、歌ものはなし(実際には14.がヴォーカル曲だが、これはCD化の際の追加曲)。バックには東海岸っぽさ、ハード・バップ真っ向勝負の雰囲気を持ち込む若きボビー・ティモンズ(ピアノ)が参加していて、このピアノが全体の雰囲気をうまく作っている。

 1.「トゥ・ミッキーズ・メモリー」は、始まった瞬間(というか要するにテーマ部分のアンサンブル)がいかにも“西海岸ジャズ”な展開を予想させる。ところが途中から何やら雰囲気が違うことに気がつく。曲の後半になってティンパニのソロが入る頃にはすっかりそんな単純な雰囲気ではなくなっていて、最後の大合奏のあたりには、もはや東海岸のハードバッパーの世界に足を踏み入れているように思える。ちなみに9.も同じ曲の別ヴァージョンだが、もしかするとこちらの方がパワフルでいいという人もいるかもしれない(たぶん音がいまいちなため、本来のアルバムのテイクにならなかったのだろう)。ハードバップ的という意味では、4.「リヴェレーション」が本盤の中では筆者のイチオシ曲である。

 他方、3.「ハレマ」や7.「ウォリング・ザ・ライフ・アウト・オブ・ミー」のように、まさしく“歌もの”風なトランペットを披露するチェットの姿がある。要するに、歌ってもトランペットを吹いても、やっていることは同じなのかもしれない。けれども、3.に特徴的なように、ボビー・ティモンズのスイングぶりが全体に違った雰囲気を加えていて、この点が普通の“歌もの”と違っている。ともあれ、筆者はどちらかというとこっち系はあんまり得意じゃないけれど、他に面白いと思う曲を2つほど挙げておきたい。一つは、2.「スライトリー・アバヴ・モデラート」。氷でできた洞窟を抜け、その先を探検しているかのようなひんやりかつファンタジックな雰囲気が何とも気に入っている。もう一つは8.「ミディアム・ロック」。こちらもどこかファンタジックな世界なのだけれど、それぞれのソロがその中で際立った個性をだしていて面白い。

 あと、CDでの追加曲はとりあえず詰め込んだ感もあるにはあるが、とにかく質が高い(ただし最後のヴォーカル曲14.はやっぱり不要)。本来の曲ではない追加曲の中では、上で述べた9.「トゥ・ミッキーズ・メモリー(別テイク)」のほか、10.「ジャンピン・オフ・ア・クレフ」と11.「チッピン」が抜群にいい。兎にも角にも、チェット・ベイカーが真剣になった時の実力の高さが存分に詰まった推奨盤。

 最後になったが、船に乗りトランペットを颯爽と構えるチェットとメンバーたちのジャケット写真(下記商品リンク)も評判がよい。“西海岸から東海岸へ颯爽と船出”とか言う人もいるが、西海岸を出航しても、船(海路)では、地球の反対側かパナマ運河でも回らないと東海岸へ行けないのでご注意を(笑)。ともあれ、メンバーを“クルー(乗組員)”と呼んでこの表紙写真というのは、なかなか遊び心にも富んでいると思う。



[収録曲]

1. To Mickey's Memory
2. Slightly Above Moderate
3. Halema
4. Revelation
5. Something For Liza
6. Lucius Lu
7. Worrying The Life Out Of Me
8. Medium Rock
~以下、CDでの追加曲~
9. To Mickey's Memory (alternate take)
10. Jumpin' Off A Clef
11. Chippyin'
12. Pawnee Junction
13. Music To Dance By
14. Line For Lyons


[パーソネル・録音]

Chet Baker (tp)
Phil Urso (ts)
Bobby Timmons (p)
Jimmy Bond (b)
Peter Littman (ds)
Bill Loughbrough (timp)

1956年7月24日、25日、31日録音。




  
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Last updated  2012年09月06日 21時23分23秒
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