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音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2012年10月09日
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テーマ:洋楽(3280)

“酔いどれ詩人”の転身1枚目


 トム・ウェイツ(Tom Waits)は、1949年生まれの米国のシンガーソングライターで俳優。昨年(2011年)にはロックの殿堂入りも果たしている。“酔いどれ詩人”のイメージも強い彼は、70年代にデビューし、アサイラム・レコードで活動した。やがて実験的な音作りを志し、アイランド・レコードに活躍の場を移す。ちょうどその際に、アイランドでの第1弾として発表したアルバムが本盤『ソードフィッシュトロンボーン(Swordfishtrombones)』であった。

 セールス面では90年代以降に幅広い人気を得たものの、アーティスト像としては、70年代の都会の場末のバーで弾き語っている“酔いどれ詩人”というイメージがこの人につきまとうのではないだろうか。筆者自身も70年代の諸作(例えば『土曜日の夜』、『娼婦たちの夜』、『ハートアタック・アンド・ヴァイン』など)が大のお気に入りである。その一方で、80年代のアイランド・レーベルでの作品群(スタジオ三部作+ライヴ盤『ビッグ・タイム』)も、これらとは違った意味で異彩を放っていて個人的には手放せない名盤ぞろいである。本作『ソードフィッシュトロンボーン』は、80年代のこれら三部作の最初の一枚である。

 収録されているのは全15曲で、当時としては曲数が多いが、2分前後の曲が多いためで(インスト曲3曲を含む)、アルバム全体としては収録時間は決して長いわけではない。初めてのセルフ・プロデュース作で、個性の強さをそれまでの諸作にも増して発揮している。言い換えると、一般受けすることはまったく考えていないアルバムと言えるかもしれない。けれども、その“わが道を行く”という徹底ぶりが本盤の魅力なのだと思う。

 70年代の作品との大きな違いは、“スタジオ的”ということ。これまでは、スタジオ作であっても、どこかにライヴのイメージを抱かせる(あるいは抱かせ得る)作品作りがなされることが多かった。けれども、本盤の音は明らかにスタジオでの作品というイメージである。考えてみれば、トム・ウェイツはカリフォルニア州出身。ニューヨークのような都会のどこか片隅で歌ってそうなイメージから、もっと創造的で自在なステージへ飛躍したのが本作(および本作発表に際してのアイランドへの移籍)と言えるのかもしれない。

 本盤でのトム・ウェイツの新しい音のイメージは1.「アンダーグラウンド」に典型的に現れていて、ここから始まる三部作(フランキーZの三部作)に見られる新しいトム・ウェイツの世界を代表している。5.「A 30.6(原題:16 Shells From A 30.6)」や11.「地獄に落ちた男の歌」もあらたな音世界の一端をよく表している。その一方で、70年代からの彼らしさというものも維持されている。インスト曲の3.「ブッチャー」や弾き語り調の9.「ワイルドなフランクの歌」に見られるけだるさは従来のトム・ウェイツのよさをちゃんと受け継いでいる。また、4.「イリノイ州ジョーンズバーグの町の歌」や7.「イン・ザ・ネイバーフッド」、あるいは12.「ジンびたりの男」なんかの曲の美しさも70年代からの彼の得意な部分がちゃんと残されている。

 どれを勧めるのかと言われれば、正直迷うのだけれども、トム・ウェイツの本盤『ソードフィッシュトロンボーン』、これに続く『レイン・ドッグ』と『フランクス・ワイルド・イヤーズ』は屈指の名盤群なので、ぜひともその一枚は試していただきたい。逆の言い方をすると、これらのうちどれでも1枚を聴いてみてピンと来なければ、3枚とも聴く必要はないかもしれない。でも、1枚でも聴いてみてこれと思ったならば、3枚とも(さらにはライヴ盤『ビッグ・タイム』も)、聴くべき世界は確実に広がるに違いない。



[収録曲]

1. Underground
2. Shore Leave
3. Dave the Butcher
4. Johnsburg, Illinois
5. 16 Shells from a Thirty-Ought-Six
6. Town with No Cheer
7. In the Neighborhood
8. Just Another Sucker on the Vine
9. Frank's Wild Years
10. Swordfishtrombone
11. Down, Down, Down
12. Soldier's Things
13. Gin Soaked Boy
14. Trouble's Braids
15. Rainbirds

1983年リリース。





  
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Last updated  2012年10月09日 22時58分16秒
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