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音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2013年01月17日
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プログレに取り込まれたムソルグスキー


 エマーソン、レイク&パーマー(Emerson, Lake & Palmer, 略してEL&P)は、キース・エマーソン(キーボード)、グレッグ・レイク(ベース)、カール・パーマー(ドラム)の3人が結成したイギリスのプログレッシヴ・ロック・バンド。1970~71年にかけて2枚のアルバムを発表した後、1971年末にリリースされたのがライヴ録音(録音そのものは第二作『タルカス』発表前の3月)による本盤『展覧会の絵(Pictures At An Exhibition)』であった。

 筆者が初めてEL&Pを聴いたのは、なぜだったかはもう記憶にないが、このアルバムだったので、まずはこのアルバムを取り上げてみる。熱心なファンからは“最初が『タルカス』じゃないなんて!”との声も聞こえてくるだろうし、冷静に考えれば、本盤をEL&Pの代表作と呼ぶには憚られる部分もある。けれども、彼らの特徴をわかりやすく示しているというのも確かなように思う。

 『展覧会の絵』というタイトルからわかるように、19世紀ロシアの作曲家ムソルグスキーによるクラシックの組曲を取り上げたライヴ演奏である。アナログA面にあたる1.~6.は概ね原曲となった組曲の筋に添いながらも、途中の4.「賢人(The Sage)」はグレッグ・レイクのオリジナルで、元の組曲の「ビドロ(Bydlo)」の進行を取り入れたもの。また、6.「ブルーズ・ヴァリエイション」はEL&Pの3人がクレジットされているものの、元の組曲の「古城(古い城,Il Vecchio castello)」の主題によるもので、なおかつジャズ・ピアニスト、ビル・エバンスの「インタープレイ」が引用されている。

 旧アナログB面にあたるアルバム後半では、引き続きムソルグスキーの組曲の続きが展開されるが、8.~10.は、原曲の「鶏の足の上に建つ小屋 - バーバ・ヤーガ」を元にしながらも、9.「バーバ・ヤーガの呪い(The Curse Of Baba Yaga)」はEL&Pのクレジットとなっていて、前半に収められた2.「こびと(The Gnome)」の引用も含まれる。ちなみに、アルバムの末尾を飾る12.「ナットロッカー(Nut Rocker)」だけは、ムソルグスキーではなく、同じくロシアの有名な作曲家チャイコフスキーの、これまた有名な「くるみ割り人形」の中の行進曲(マーチ)をロック風にアレンジしたもの。

 以上のように、題材は基本的にクラシック一辺倒である。プロムナードのあの主題が静かに始まる部分は確かに“ん?クラシック?”と思わせる雰囲気がなくもない。けれども演奏が進み、盛り上がるにつれ、演奏は完全に“プログレ化”している。当時、発達の真っ只中にあったプログレッシヴ・ロックという音楽的創造性がこれらすべてを飲み込んでいけるだけのパワーを秘めていたということだろうか(無論、それを演奏していた彼らの技術のすごさももちろんながら)。筆者お気に入りのジャケットが、白紙の絵というのも、このあたりの創造性とよくマッチしている。

 ちなみに、このアルバムの発売はそもそも予定されていなかったという。バンドのリハーサルの腕ならしとして「展覧会の絵」をプレイし、ライヴでも演奏し始めたところ、海賊版が出回る。グレッグ・レイクは“レコードとして発表するつもりはなかった”が、マネージメント側の強い説得があり、オフィシャル版のリリースに至ったというのがどうやら真相のようだ。

 ともあれ、過去のシーンを振り返ってみれば、EL&Pは、キング・クリムゾン、イエス、ピンク・フロイドと並んで“プログレ四天王”と呼ばれたり、あるいはこれらにジェネシス(ポップ路線化する前のジェネシス)を加えて五大バンドと呼ばれたりする代表的なプログレ・バンドの一角をしめる。彼らに共通するのはとにかく圧倒的な演奏能力の高さで、その緊張感や演奏の完璧さ(どちらに力点があるかはバンドや作品によって異なるにせよ)は、どれも甲乙つけがたい超ハイレベルなものである。そんな中、クラシック曲をそもそもの主たる題材とし、独自の消化を経た新たな(プログレッシヴ=“進歩的、革新的な”)音楽として提示した彼らの底力と志向性がよく反映された名盤が『展覧会の絵』だと思う。



[収録曲]

1. Promenade
2. The Gnome
3. Promenade
4. The Sage
5. The Old Castle
6. Blues Variation
7. Promenade
8. The Hut Of Baba Yaga
9. The Curse Of Baba Yaga
10. The Hut Of Baba Yaga
11. The Great Gates Of Kiev
12. Nut Rocker

1971年リリース。




 
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Last updated  2013年01月17日 07時40分35秒
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