カテゴリ:洋ロック・ポップス
人気絶頂期の金字塔 ジャーニー、スティクス、TOTO(参考過去記事)、フォリナー…。70年代末から80年代にかけて“産業ロック”と呼ばれたバンドたちの代表格である。情緒的で親しみやすいメロディ、大げさなアレンジと厚みを出した音、歌い上げるヴォーカル、管理されたバンド・マネージメントなんかが一般にその特徴とされるが、今となっては、それも一つの時代的な流れだったかのうように思える。その後のMTV時代を見た後で、そもそも“売れ筋を狙って何が悪い”と開き直られれば、もはや反論のしようもないかもしれない。 そんな“産業ロック”の代表的アルバムの一つと言ってもよいのが、このフォリナー(Foreigner)の『4』(1981年リリース)である。1978年のバンド第二作『ダブル・ヴィジョン』で既に大きな成功(全米3位、500万枚の売り上げとされる)を収めていたが、4枚目のアルバムとなる『4』は遥かその上を行き、10週連続でチャート1位、1500万枚を売り上げる大ヒット作となった。 繰り返しになるが、ヒット作だからと言ってはなからバカにするなかれ。バンドの金字塔とも言える好作である。同じスタジオでアルバム制作をしていたダリル・ホール(ホール&オーツ)によれば、彼らがアルバムを完成させて1年間のツアーをし、次のアルバム制作のために戻ってきても、フォリナーの本盤の制作は続いていた。それどころか、その次作を仕上げて次のツアーに出る時もまだアルバム作りをやっていたという。 途中にメンバー脱退(元キング・クリムゾンのイアン・マクドナルド、キーボード担当のアル・グリーンウッド)があったにせよ、時間をかけて出来上がった作品だった。その出来栄えはというと、キャッチ―だがチープでない、と言えばよいだろうか。つまり、上で言う“産業ロック”の典型なのだが、聴き手の感覚には“カッコよく、気持ちいい”がストレートに伝わってくる。ハードだがポップな出来上がり具合は相当に考えて作り込まれたという印象がする。 捨て曲ほとんどなしの好盤だが、筆者の好みでいくつか聴きどころを挙げてみよう。まずは、シングル曲としてヒットした4.「ガール・ライク・ユー」と6.「アージェント」。いずれもアルバム全体の中ではよりキャッチーで、短時間にして聴き手の心をつかむタイプのシングル向きの曲でもある。それ以外で特に気に入っているのは、2.「ジューク・ボックス・ヒーロー」(これもシングルだったが大きなヒットとはならず)で、案外この辺りがフォリナーらしさ全開と個人的には思う。ヴォーカルのルー・グラムのよさが特によく出ていると思う曲の一つは、8.「ウーマン・イン・ブラック」。ギターとヴォーカルのカッコよさが文句なしに炸裂している。アルバムを締めくくる10.「ドント・レット・ゴー」の小気味よさとこれまたヴォーカルのカッコよさもいい。世間にはアルバム前半の方がいいという人もいるが、個人的には後半の起伏ある展開が意外と好きだったりする。 [収録曲] 1. Night Life 2. Juke Box Hero 3. Break It Up 4. Waiting for a Girl Like You 5. Luanne 6. Urgent 7. I'm Gonna Win 8. Woman in Black 9. Girl on the Moon 10. Don't Let Go 1981年リリース。 Foreigner フォーリナー / 4 (Expanded / Remastered) 輸入盤 【CD】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013年02月21日 07時23分32秒
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