テーマ:Jazz(1961)
カテゴリ:ジャズ
長尺でじっくり聴かせるライヴ演奏 ホレス・シルヴァー(Horace Silver)は1928年生まれの米国のジャズ・ピアノ奏者。“ファンキー”な奏者として知られるが、本盤は人気絶頂の中での1961年のライヴ録音(ヴィレッジ・ゲートでの録音)盤。ホレス・シルヴァーは、もともとアート・ブレーキ―のもと(ジャズ・メッセンジャーズ)で頭角を現し、『バードランドの夜』のような有名盤を残したほか、1954年にはマイルス・デイヴィスの『ウォーキン』にも参加している。 まもなく彼はアート・ブレーキ―のところを離れ、独自のクインテット(ザ・ホレス・シルヴァー・クインテット)で活動を展開していく。そのメンバーは時とともに入れ替わっていったものの、『6ピーシズ・オブ・シルヴァー』、『ザ・スタイリングス・オブ・シルヴァー』、『フィンガー・ポッピン』、『ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ』、など次々と吹き込みを行い、高い評価を得ていった。 そんな中で企画されたと思しきライヴ演奏盤がこの『ドゥーイン・ザ・シング』というアルバム。原題の『Doin’ The Thing, The Horace Silver Quintet At The Village Gate』を見ればわかるように、ヴィレッジ・ゲート(1958年にオープンし、ジャズ界の大物たちが多く出演したNYのクラブ)でのライヴ演奏である。 元来のLP盤に収録されたのは、9~12分程度とわりにまとまったボリュームの4曲で、ノリはいいのだが、じっくり時間をかけて聴かせるタイプの演奏だと言える(下記収録曲中の3.と4.はCDでの追加曲で、各曲の演奏時間自体は他に比べて短めである)。ライヴならではなのは、曲の冒頭にMCが入っていて、ホレス自身が曲の紹介をしているところ。例えば、1.では“架空のいかがわしい人物”のことを書いた曲との紹介で聴衆の笑いを誘ったりしているが、MCの内容以前に、この部分まで収録したのは“ライヴ感”という点で非常にいい効果が出ている。 実際の演奏内容を見ても、ライヴならではの荒い部分(必ずしも悪い意味ではなく)をそのまま含んでいるのが本盤の大きな魅力になっているように思う。上述の1.では、特にトランペットのブルー・ミッチェルがいい勢いで飛ばしていて、その勢いが続く他の楽器のソロにもいい影響を及ぼし、最後のリフまで観客の心をとらえている感じが印象的。勢いという点では、6.(表題の「グリンゴ」というのは、“アメ公”とでも訳せば適当な感じの、中南米人が米国人を指す時の表現)も引けを取らない。この勢い―それはそのまま“グルーヴ”と言い換えてもよい―こそが本ライヴ盤の大きな魅力だと思う。 上記以外でお気に入りは表題曲の2.「ドゥーイン・ザ・シング」。マイナー・ブルースの曲だが、アップテンポに進んでいき、ここでもやはり“勢いのよさ”が発揮されている。そもそもジュニア・クック(テナーサックス)のソロは個人的にいい感じに思えるのだけれど、そのソロを刺激して勢いを増させる周りのメンバーとの絡みが、聴いていて非常に気持ちいい。パーソネル間のやり取りが音楽を作り上げていく、それもライヴ演奏というのがジャズの本質を突いているとも言える演奏で、グル―ヴィーなままひた走る本盤のハイライトになっているように感じる。 [収録曲] 1. Filthy McNasty 2. Doin' the Thing 3. It Ain't S'posed to Be Like That (CD追加曲) 4. Cool Eyes (CD追加曲) 5. Kiss Me Right 6. The Gringo/The Theme: Cool Eyes [パーソネル・録音] Horace Silver (p) Blue Mitchell (tp) Junior Cook (ts) Gene Taylor (b) Roy Brooks (ds) 1961年5月19日・20日録音(ニューヨーク、ヴィレッジ・ゲートでのライヴ録音)。 【送料無料】ドゥーイン・ザ・シング+2 [ ホレス・シルヴァー ] 下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013年05月26日 21時28分24秒
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