テーマ:Jazz(1961)
カテゴリ:ジャズ
名手たちの参加によるスウィンギーなご当地組曲 本名アンソニー・アッレッサンドリニ(Anthony Alessandrini)ことトニー・アレス(Tony Aless)は、1921年ニュージャージー出身のジャズ・ピアニスト。没年にいくつかの説があってよくわからないが、1985年に亡くなっているとすれば、64歳で死去していることになる。 本盤『ロング・アイランド組曲(Long Island Suite)』は、トニー・アレスが作編曲者としての手腕を発揮した1955年の録音のルースト盤である。ノネット(9人編成)を指揮してスウィンギーな演奏を全編にわたって繰り広げている。ニューヨークから海側に伸びる長い島(ロング・アイランド)がテーマになっていて、収録の8曲はいずれもロング・アイランド内の地名が付されている。ジャケットのデザインは一見すると何だかわからない模様だけれど、実は上半分のこの形がロング・アイランド島である。よく見ると、白い印と黒字の文字が散りばめられていて、これらの地名が各収録曲のタイトルとなっている。 ロング・アイランドには行ったこともない(ジャケ地図には含まれていない西端のJFK空港だけならあるか…)ので、具体的にその光景は想像がつかないし、そもそも60年前は今とは様子も違っていただろうから、現地のイメージについては何とも言えない。けれども、ニューヨークの都会の喧騒とは違う伸びやかさが雰囲気として感じられ、どの曲も見事にスウィングしている。 トニー・アレス自身のピアノのほか、注目すべき参加メンバーには、“MOE”と“JOE”とクレジットされた2人のトロンボーン担当がいる。これらはカイ・ウィンディングとJ・J・ジョンソンの変名で、前者は1.~4.、後者は5.~8.に参加している。それから、ジャケットをよく見ると小さな文字で“introducing seldon powell: tenor sax”と記されている。この録音の数か月後には自身の録音を同じルーストで行い、初リーダー作『セルダン・パウエル・プレイズ』を吹き込むことになるが、彼の名を売り出す録音となったのが本盤であった。 大人数の演奏ながら、いま述べた奏者らをはじめとして各メンバーのソロがしっかりと楽しめる構成になっている。カイとJJの同時演奏はないものの、それぞれのトロンボーンも楽しめるし、パウエル(特にスロー曲7.のソロがいい)も楽しめる。冒頭の1.からして見られるように、アンサンブルとソロのバランスの良さを取りながら、全体に流れるスウィング感を保ったのは、トニーアレスの力量ということだろうか。ハードバップ前のよき時代を体現する名盤と言えるように思う。 [収録曲] 1. Levittown 2. Corona 3. Aqueduct 4. Riverhead 5. Valley Stream 6. Greenport 7. Fire Island 8. Massapequa [パーソネル、録音] Tony Aless (p), Pete Mondello (bs), Billy Bauer (g), Seldon Powell (ts), Don Lamond (ds), Nick Travis (tp), Davey Schildkraut (as), Arnold Fishkin (b), “Moe” and “Joe”[Kai Winding & J.J. Johnson] (tb) 1955年7月録音。 【楽天ブックスならいつでも送料無料】ロング・アイランド組曲 [ トニー・アレス ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひ“ぽちっと”お願いします。 ↓ ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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