テーマ:Jazz(1958)
カテゴリ:ジャズ
確信的なギターとオルガンの共演 ケニー・バレルとブラザー・ジャック・マクダフ・カルテット(Kenny Burrell with the Brother Jack McDuff Quartet)名義で1963年初頭に吹き込まれたのが、本盤『クラッシュ!(Crash!)』である。形式上はこの名義になっていて、実際にドラムやサックスはジャック・マクダフのお抱えメンバーなのだけれども、実態としては、ギターのケニー・バレルとオルガンのジャック・マクダフの二人の双頭バンド的な顔合わせによる演奏と考えてよいだろう。 これら2人の共演はこれが唯一というわけではなく、この前にもジャック・マクダフ名義の盤にケニー・バレルが加わっていた。よって、すでに何度かの録音によって勝手は分かっているような感じだったのだろう。パーカッショニスト(レイ・バレット)を加えた点もそうだけれど、ソウルでファンキーなマクダフのオルガン演奏とこのテンションに合わせたバレルのギター演奏のイメージがある程度でき上がったうえでの録音だったのではないかと想像する。つまり、手探りで“やってみてどうなるか”よりも、ある種確信犯的に“やってみたらきっとこうなるだろう”という感じが演奏者側にあったのではないかと思う。 だからと言って、すべてが予定調和というわけではもちろんない。上で述べたような段取りと見通しがあるからこそ、マクダフのオルガンが自在に駆け回った後にバレルのツボを押さえたギターがそれを受け継いで展開されるなどといった流れも生まれてくる。全体を聴いてケニー・バレルが控えめに思われる場面があるのも、ソロで出てきた瞬間にハッとさせられるような場面があるのも、そういう全体構想の中での役割を彼が十分に踏まえていたのだろうと思う。 特に聴き逃せないと思うお気に入り曲を一つだけ挙げると、3.「ニカズ・ドリーム」。アップテンポな軽快なアレンジで、ハロルド・ヴィックのさらりとしたテナーからオルガンが徐々に絡んできて、ジャック・マクダフのオルガン・ソロ。いつまでこの調子が続くのかと思わせたところで、すかさずケニー・バレルのギターの入ってくる瞬間が何とも言えない。他の曲の演奏でもそうなのだけれど、ギター・ソロの始まる瞬間が何とも言えないのと、続けて聴いていくと、その間のオルガンが一気に控えめになる傾向が見られる。最後にテーマに戻ったところも、テナー、オルガン、ギターが絶妙に絡んでいる。この曲に見られるように、すべてが段取り通りなわけではないものの、下手をすれば噛み合わない演奏になり得たものをどうまとめるかのイメージがジャック・マクダフとケニー・バレルの、さらには他のメンバーとの間で共有されていたのだろう。結果、その演奏は見事に噛み合っている。 [収録曲] 1. Grease Monkey 2. The Breeze and I 3. Nica's Dream 4. Call It Stormy Monday 5. Love Walked In 6. We'll Be Together Again [パーソネル、録音] Kenny Burrell (g), Jack McDuff (org), Harold Vic (ts), Eric Dixon (fl., 5.), Ray Barretto (conga), Joe Dukes (ds) 1963年1月8日、2月26日録音。 【メール便送料無料】Jack McDuff Featuring Kenny Burrell / Crash (輸入盤CD) 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016年08月20日 20時16分40秒
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