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あゆみ「どうして助けてくれなかったんですか?」 なんだって? あゆみ「ご主人様はただ見てるだけでした。助けてくれませんでした。」 あの状態からどうやって助けろと言うのだろうか? あゆみ「助けてくれないのなら、あっちへ行ってください!」 「あっちへ行ってください」だって? あゆみは怒ってる。 あゆみに嫌われるのは嫌だ。 なんとか助けよう! って言っても私はピンボールがうまいワケじゃないし。 でもなんとか見せかけだけでも助けようか? あゆみ「まあ、”真ん中”に来たらもうしかたないよ。あきらめるしかない。運が悪かったんだ。 でもまだボール残ってるジャン。 さあ、気持ちを切りかえて、次のボールを打ち出してみよう!」 あゆみ「……さっきから真ん中ばかりにボールが来ますが。」 「でもさ、”台を揺らす”ことも出来るんだ。 台を揺らしたら? まあ、あれだけ真ん中に来た場合はどうしようもないけど。」 あゆみ「台を揺らす?」 私は身振り手振りで台を揺らすことを教える。 「あんまり大きく揺らしすぎると”アウト”になってしまうんだ。 やり過ぎると!」 あゆみ「じゃあ、どうしろって言うんですか?!」 「”加減”だよ。か・げ・ん!加減するんだ。そこそこなら揺らしてもOKだよ!」 私はけっこうそれらしくアドバイスする。 「ここぞと言う時に揺らすんだよ!ボールが跳ね返される瞬間に揺らす! うまくいけばある程度自分の思うようにボールを跳ねさせられる!」 こうしてあゆみの気分を和らげる。 あゆみの機嫌がだんだん直ってきた。 「じゃあ、もう一回やってみようか?」 あゆみ「はあ~い! 打った後も教えてくださいね!」 「はいはい!」 さっきとは声の感じがまるで違う。あゆみの機嫌が直った。ちょろいもんよ!(笑) あゆみは次のボールを打ち出した。 だが……、 あゆみ「きゃあああああああああああああ!!!」 はあ~~~~~~!! のっけから苦戦である。 どうやらボールに嫌われてますなあ。 「台を揺らして!」 あゆみ「きゃあああああ!!!」 あゆみは台を揺らそうと試みる。 しかし、腕だけで台を揺らすのがうまく出来ない。力も無いし。ボタンを押しながらでは台をうまく揺らせないのである。 それで台に腰を当てて揺らそうとした。ちょうどスカートの所で台を押そうとしている。 あゆみ「ああああ!!」 う~~~~~ん。 あゆみ「ああああああああああああああ!!!」 腰で台が押せるのかな? あゆみはいちいちおもしろい。発想が違う! そんなこと普通考えないジャン。 あゆみ「ご主人様!どうしたらいいいんですか?!あああ!」 あっ、いかん、いかん!それらしいこと言わないと! 私は台の上に指でボールの起動を描く。 「ここに当てて!」 するとその時、またもボールがフリッパーめがけて落ちて来た。 しかし今度は”ど真ん中”ではない。片側のフリッパーめがけて落ちて来たのだ。 あゆみ「きゃあーーーーーーーーーーーーー!!」 「落ち着いて!まず”フリッパー”のボタンを押し続けるんだ。」 あゆみ「はい?」 「”フリッパー”のボタンだよ! その”バット”のような物、”バー”みたいなやつ! 今動かしているそれだよ! それって”フリッパー”って言うんだけど。 それを動かすボタンを押しっぱなしにするんだ。」 するとフリッパーは上の方を向いたままになる。 そこにうまくボールが落ちた。ボールはフリッパーの根本の方に転がる。 そして落ちない。 あゆみは喜ぶ。 あゆみ「わーーー!ボールが落ちない!」
ピン!ピピピン! 懐かしい感じの音だな。ボールが当たると、電気仕掛けでボールが跳ね返される。 その時に発する音だ。 カガガン!ピン!ガガガ! 音が心地良い。 それにボールが勢いよく跳ね返されるのを見ていると楽しい。 これがピンボールの魅力だな。 ピンボールってのはアンティークなマシンであり、そのボールの動きを見ているとなんだか哀愁まで漂ってくるような気がする。 今の3Dゲームなんかとはぜんぜん違う。 この感じ!これが良い! でも3Dゲームでも「ピンボール」はあるけど。(笑) 3DCGでこのピンボール台を再現。 でも今目の前にあるこれは、3DCGの物とは全然違う。 本物の迫力ってやつだ。これは3DCGの物ではここまでは再現できない。 まあ、しかし…、今のこれだって実は全て”バーチャル”なんだが。(笑) あゆみ「あああ~~! あーーーーーー!!」 ガタン! あゆみのボールは、”フリッパー”と呼ばれるバーの間をすり抜けて、見事に下に落ちた。 いや、もう少しうまくすれば打ち返せたかもしれない。”振り遅れ”である。 あゆみ「……………………。」 意気消沈するあゆみ。 しかしあゆみはまた次のボールを打つ。 けっこうピンボールにハマッているようだ。 あゆみはまだ私に気付かない。おもしろいので後ろからしばらく見学させてもらうことにした。 あゆみ「はあ~~~~~!! そっちへ行っちゃダメ~~~~!!!」 大きく身体を揺らしながら、キャアキャア騒いでいる。まるで”小学生”だ。 あゆみ「あああああああ!!」 どうもあゆみの思うような方向にボールは進んでくれないようだ。 このピンボールの盤面は大きく分けて「2つのエリア」に分かれていた。 「上の方のエリア」と「手前のエリア」。 強くボールを打ち返さないと、上の方のエリアまでは届かない。 手前のエリアでのみボールが動くだけである。 あゆみのボールは手前のエリアでのみ動いていた。 ピピピピピピン!! ピン! あゆみのボールはまたしてもフリッパーに向かって降下した。 今度もフリッパーとフリッパーの間、”ど真ん中”である。 ヒュ~~~~~~! あゆみはもうどうしようもなくフリッパーをバタバタさせる。 バタバタバタバタ! しかし、健闘むなしく、 ストン! 2つのフリッパーの間をすり抜けてボールは落ちた。 かたまってそのままの格好で立ちつくすあゆみ。 あゆみ「……………………。」 おもしろいな、あゆみは。 どうやら今ので1回のゲームが終わったようである。 あゆみはしばらくそのままでいてから、やっと私に気付いた。 あゆみ「ご主人様!いつからそこにいましたか?」 「さっき、来たところ」 あゆみ「……………………。」 あゆみの顔はちょっと涙目。 どうやらゲームに負け続けているようだ。 あゆみはまたゲーム機にコインを入れる。 ほう!まだやるの? ボールが出ると、あゆみは腕まくりをするかのようなポーズを取り、 あゆみ「今度は負けません!」 と言った。 そしてボールを打つ。 勢いよく打ち出されるボール。 上の方のエリアで最初は勝手にボールが跳ねて得点をたたき出す。 あゆみ「はあ~~~!!」 しかし、その後はボールが落ちてきた。 手前のエリアに入ったボールはあまり反応せず、得点も上がらず、すぐにフリッパーめがけて落ちてくる。 あゆみ「あーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」 またもやフリッパーとフリッパーの間、ど真ん中を目指してくる。 あゆみ「きゃあああああああああああああああああ!!」 あゆみはリアクションがいちいちオーバーだ! ストン! また! ボールがストレートに落ちた。不運なあゆみ。 あゆみ「……………………。」 あゆみはまたかたまっている。 あゆみ「……………………。」 そして……、私の方を振り返らずに、ピンボールの盤面をジーと直視しながら、 あゆみ「……ご主人様、どうして助けてくれなかったんですか?」 と、言った。 はあ? │<< 前日へ │翌日へ >> │一覧 │ 一番上に戻る │ |
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