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2010年06月06日
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カテゴリ:政治問題
 ついこの間まで「最低限でも県外」と言っていた鳩山首相(当時)が、5月になって急に「抑止力」などと言いだしたときには、「やっぱりそんなことを言いだしたか」という印象だった。5月14日の東京新聞は、海兵隊が存在することによる「抑止力」の真偽について、次のように報道している;


 沖縄・普天間問題で鳩山由紀夫首相が5月末決着の先送りを明言した。首相の腹案が辺野古への『覆』案だったことには驚かされた。理由は抑止力というが、その詳細は明らかにされていない。仮にそうだとしたも、沖縄にしわ寄せがいく構造は変わらない。県民たちはいま、「本土防衛の捨て石」「アジア・太平洋の要石」という歴史を貫く「沖縄差別」からの脱却を訴えている。(出田阿生、篠ケ瀬祐司)

 鳩山首相は今月4日の沖縄訪問で、米軍普天間飛行場の県内移設方針を表明。県外への一部分散などの可能性を探り、鹿児島県・徳之島の三町長にも協力を求め、12日には平野博文官房長官らが鹿児島市入りしたが、功を奏してはいない。

 一方、民主党有志議員団は同飛行場の誘致決議をした米自治領・北マリアナ諸島を訪問。だが、首相は「抑止力の観点から(全面的な県外移設は)難しい」と明言、この案に乗り気ではない。

 首相が「学べば学ぶにつれて分かった」という抑止力とは何か。首相の言動には、橋本内閣で沖縄担当首相補佐官を務めた外交評論家、岡本行夫氏の影響が色濃いともいわれている。その岡本氏は月刊誌で「沖縄から海兵隊が引けば、中国は尖闇諸島に手を出してくる」と指摘している。

 この「中国脅威」を前提とした抑止力論について、愛知大学の加々美光行教授(中国問題)は

 「中国による尖闇諸島占拠は国際的、国内的にもコストが高すぎ、可能性はゼロに近い」と語る。

 「尖閣諸島を占拠すれば、中国は国際社会の信用を失う。日本で反中国感情が高まり、それを受け中国内でも反日運動が起きる。民主化運動家が紛れ込めば、反政府運動につながりかねない」

 加々美教授は日米安保条約が中国を仮想敵としている以上、安保論議を欠いた普天間問題の解決はないと主張する。

 「中国の太平洋での軍事力強化は、中国を仮想敵とした米国のミサイル防衛や日米同盟への対抗策だ。中国の軍拡を止めるには、日本が『核なき世界』を目指すオバマ米大統領と中国の双方に軍縮を働き掛け、沖縄の米軍基地縮小につなげることを目指すべきだ」

 軍事専門家たちは、沖縄の米海兵隊の抑止力をどうみているのか。

 桜美林大学の加藤朗教授(安全保障論)は「海兵隊は米国人の救出部隊だから、それ自体に抑止力はないが、海兵隊が攻撃されれば海軍、空軍が黙っていない」という。

 米軍は「不安定の弧」と呼ばれる中東を核とする紛争多発地域を主戦場としており、沖縄は本土との中継基地として不可欠という指摘もある。

 この点について、加藤教授は「海軍、空軍にとってはそうでも、海兵隊にとっては疑問。沖縄では砂漠地の訓練はできない。むしろグアムに拠点を置き、オーストラリア北部の砂漠地で訓練する方法もある」と話す。

 軍事ジャーナリストの前田哲男氏も「冷戦下よりも沖縄の『要石』としての役割は小さくなっている。『不安定の弧』には沖縄よりグアムやテニアンの方が展開力を発揮できるはず」という。

 抑止力についての議論は種々あるにせよ、首相の姿勢は「国益のために沖縄は泣いてくれ」ということだ。これを是としてよいのだろうか。

 首相の「最低でも県外」発言は「沖縄のパンドラの箱を開けた」といわれる。この数カ月の間で現地では「沖縄差別」という言葉が復活した。

 2004年に米軍ヘリが構内に墜落した沖縄国際大の富川盛武学長(経済学)は「沖縄には、戦後ずっと我慢を強いられてきた県民感情のマグマがある。鳩山さんは自分の発言がマグマに火を付けることを認識していただろうか」と話す。

 大田昌秀・元沖縄県知事は「日米安保条約は全国どこにでも基地をおけるという内容で、『基地は沖縄につくる』なんてどこにも書いていない。安保体制が国益にかなって、アジアの平和と安定に役立つというのなら、全国で負担を引き受けるべきだ。だが、沖縄以外の人々は『ニンピー』(NOt ln My Back Yardの頭文字=必要だが、自分の裏庭にはあってほしくない)。人ごとと目を背ける」と本土市民の姿勢にも批判の目を向ける。

 計722人の国会議員のうち、沖縄県の選挙区選出議員はわずか6人。「すべての自治体は地元での基地建設に反対。国政は多数決の論理で動くので、民主主義の名の下で構造的に差別が続く事態になっている」

 さらに大田元知事は「(移設先とされる)辺野古一帯の米軍基地建設は44年前からあった計画で、普天間返還とセットにするのは口実にすぎない。米国のシンクタンクや政府高官の一部なども、グアムに普天間の機能を移転させられると言っている。抑止力の一言で片付けられる議論ではない」と訴えた。

 沖縄国際大の照屋寛之教授(政治学)は「抑止力の理屈は後付けだ。結局は沖縄が軽んじられているとしか思えない。県民感情は我慢の限界だ。私は沖縄がゼネストをやればいいとすら思っている」と言い切った。

 現地では抑止力議論に出てくる地政学的な理由より「戦後に占領された『国内植民地』ゆえに基地建設がしやすかった結果」が現在の事態を招いたという見方が強い。

 本土の市民が沖縄への負担を軽く見る根拠の一つが「沖縄経済は基地依存で返還は困難」という『定説』の存在だ。

 しかし、米軍基地関係の収入が県民総生産に占める割合は1957年当時は50%を超えていたが、今はわずか約5%。富川学長は「基地は予算の範囲内でしか運営されないから、経済拡大のしようがない。いわば、基地という『異物』のせいで正常な市場経済の発展が阻害されているともいえる」と解説する。

 鳩山政権は現在、辺野古での「くい打ち桟橋方式」による新滑走路建設などを有力案とする最終案をまとめつつある。だが、現地の識者たちは「急ぐな」と注文する。

 照屋教授は「これは沖縄だけの話ではなく、全国民の問題。鳩山政権は普天間返還を前提に米国と交渉する。その結果、防衛力低下などの問題が出てくるのであれば、そこで安保のあり方について、国民全体が議論を深めればいい」とする。

 最近では、約束違反から首相の退陣を求める声もある。だが、前出の大田元知事はこう話す。

 「鳩山さんは、普天間問題を解決する責任を果たすまで辞めるべきじゃない。もし辞めたら、末期の自公政権と同じになる。最近のメディアは鳩山たたきがひどすぎる。もっと長い目で見て、日本の将来にとって何が一番良いのか、今こそ国民全員で考えるときだ」


2010年5月14日 東京新聞朝刊 11版 24ページ「『抑止力』という陥穽 沖縄・普天間問題」から引用

 「沖縄から海兵隊が引けば、中国は尖闇諸島に手を出してくる」とは、まるでおとぎ話の世界である。海兵隊が沖縄に常駐して周辺海域に睨みを効かせているならまだしも、実際にはアフガンやイラクに出撃していて、ほとんど不在なのだから、海兵隊のおかで尖閣諸島が守られているなどとは、あまりにも非現実的なこじつけである。






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最終更新日  2010年06月06日 19時05分22秒
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