政策活動費 首相かたくな(12日の日記)
自民党で秘密裏に裏金を党から議員個人に支払っていたことが発覚して以来、国会では政治資金の透明化について議論が続けられているのだそうだが、野党各党が主張する常識的な対策(案)が提案されているにも関わらず、長年莫大な「裏金」で潤ってきた自民党は、政治資金の透明化には絶対反対を主張していると、2月18日の神奈川新聞が報道している; 自民党派閥パーティー裏金事件を受け、政治資金透明化の議論の中で「政策活動費」に焦点が当たっている。使途を報告する義務がなく、かねて不透明さが指摘されてきた。自民以外の各党が廃止や使途公開を主張する一方、岸田文雄首相は「政治活動の自由」を盾に指摘を受け止めず、かたくなな姿勢を通す。■合法的裏金 政策活動費は、政治資金規正法など法令で位置付けられたものではない。政党から党幹部ら主に個人に宛てた支出のことで、費目として便宜的に政策活動費と呼んでいる。寄付とは別の扱いだ。 受け取ったのが政党支部や政治団体なら、政治資金収支報告書で支出をうかがい知ることができる。だが個人で受領していれば、使途の報告義務はない。ブラツクボックスと呼ばれるゆえんだ。 裏金事件では「派閥から還流された金は政策活動費だと思った」と収支報告書に記載しなかった釈明にも使われた。 5日、立憲民主党の岡田克也幹事長は衆院予算委員会で「領収書が要らない巨額の合法的裏金だ。政治資金を国民が不断に監視するという規正法の考え方に反している」と廃止を訴えた。■自民が突出 2022年分の政策活動費を各党の収支報告書で見ていくと、突出していたのが自民党だ。執行部15人に計14億1630万円が渡った。筆頭は茂木敏充幹事長の9億7150万円で、遠藤利明選対委員長(当時)、麻生太郎副総裁らが並ぶ。 野党が目を付けるのは二階俊博元幹事長。16年8月~21年10月の在任期間中に受け取った額は約47億8千万円に上る。衆院予算委では「果たして使い切ったのか」「幹事長を通じて派閥に渡ったのではないか」などと疑義が呈された。 桁は小さいが野党にも支出はあった。事件を受けて立民、日本維新の会、国民民主党は廃止や禁止を主張。公明党と社民党は使途公開を唱える。■「適切」処理 「歴代の党幹部は党勢拡大など適切に処理していると認識している」。14日の衆院予算委で首相は、選挙買収に充てたことはないか問われ、確認していないが正当だという曖昧答弁に終始した。 立民の階猛氏から、まず資金管理団体に入金して収支報告書に記載するよう促されても「政治活動の自由との関係、個人のプライバシーや企業秘密」を理由に事実上拒否。「政策の方向性が外部の勢力や外国に把握される」とも付言した。 「党に代わり役職者が党勢拡大や政策立案、調査研究のため支出する」(首相)という使途。複数の政党幹部や関係者は実態について(1)選挙の陣中見舞い(2)国会対策として与野党議員の会食(3)無所属議員の支援(4)報道関係者と会食-などと証言する。陣中見舞いは候補別に額が異なるので、収支報告書に載せないよう念を押すという。 政党には税金を原資とする政党交付金が投入されている。自民ベテランは「内閣官房報償費(機密費)と並ぶ『最後の聖域』だが風当たりは強い。手付かずで済むとは思えない」と漏らした。2024年2月18日 神奈川新聞朝刊 7ページ 「政策活動費 首相かたくな 『自由』盾に指摘聞かず」から引用 「政治活動の自由」という概念は、権力の座にある者が己の統治支配の体制を強力なものにするために反対勢力の活動の自由を奪うときに、弱者の側が自分たちの権利を守るために主張する概念である。それを、権力の座にある者が自分の不正を隠す目的で「政治活動の自由」を言うなどは、噴飯ものと言うほかはない。例えて言えば、岸田首相が「政治活動の自由」と言うのは、泥棒が「窃盗活動の自由」を主張するようなものだというポイントを、しっかり認識した上で、野党は論戦を挑むべきだと思います。立民の岡田幹事長のような「合法的な裏金だ」という表現は、それ自体が矛盾した言葉であり、その矛盾を強調して「問題である」とアピールする作戦かも知れないが、いかにも弱い表現で、岸田首相にしてみれば黙って受け流せばそれで終わりという楽な論戦である。そうではなくて、政策活動費などという法律の規定にない用語をでっちあげて裏金を正当化する策略を粉砕するために、野党は「自民党の政治活動の自由は、泥棒の窃盗活動の自由と同じだ」とズバリ切り込まないことには、岸田首相の理屈にならない理屈を容認する結果になる危険性が高いと思います。