就学について~普通級に決めたわけ~

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就学について~普通級に決めたわけ・ようの場合~


ふたば
ようが2才で自閉症と診断されたときの医師の話しには
普通学級で学べるという可能性はゼロでした。
幼稚園でさえ無理と言われました。
そんなようが幼稚園3年間を経て今、小学校の普通級で学んでいます。
夢のようです。

ふたば


無理だと言われた幼稚園。
その3年間でのようの成長はめざましかった。
特に言葉。
二語文すら出ていなかった入園当初からは夢のような成長ぶりでした。

お友達とも精神面では遅れは目立つものの楽しい会話をし
うまく遊べるようにもなってきた。

先生方のお力が第一にありますが
お友達の中で学んできたものは何にも換えがたい成長促進剤でした。

そしてようもお友達が大好き。
仲良く遊べるお友達も出来ました。

小学校へ行ってもいろいろなお友達とたくさんの関わりを持って欲しい。

この事を振り返って年長の1学期が終わった頃から
普通級で学ばせたいと私の中で考えるようになりました。

でも不安はずっとつきまといます。

授業参観ではフラフラと教室を歩き回り、先生に抱きついたり
普段、下級生にいじめられ大声で泣いていたり、叫んだり
順番が守れず非難囂々
発表会では舞台の上では緊張感もなくあくびや鼻をほじったり・・

その3年間ずっとようを見守って下さった幼稚園の先生方にまず相談をしました。

先生方も意見は分かれます。

特殊学級の方が落ち着いて学べていいのでは・・と言う意見と
普通級で少し配慮があればやっていけるのではないか・・と言う意見。

そして当時お世話になったとても信頼できるクリニックの先生からは

「低学年の頃はやはり周りもようのことを理解することは難しいし
ようも上手く意志が表現できないであろうから戸惑うことが多いでしょう。
ようのような子(知的にハンディがない)は
4年生頃から次第に泣く回数も減り、精神面も知的な面で
補っていけるようになると思う。
たくさんのお友達と関わって延びる子だと思いますよ。
普通級でやってみてはどうですか?」

とアドバイスを頂きました。

そして10月。一般的な就学検診の前に
「発達に障害があると思われる子のための就学相談会」
というものがありました。

教育委員会の方へ電話をして予約を取りました。

相談会の日はようも同伴で面接も行われました。
相談員は2名(教育相談センターの方と小学校の教員)。

その前に児童相談所でも就学相談もかねて知能検査を受けていたので
その資料を基に相談が行われました。

そこでのようの様子はとても落ち着いていて
知能検査の結果もIQ106と出ていたので
「落ち着いているしちゃんと目を合わせて会話も出来るし・・
普通級でいけるんじゃないですか?」
と簡単に言われました。

その後、社会性や精神面での遅れについて話し
普通級で大丈夫!と言う確信の持てないでいる私に返ってきた言葉は

「普通級に入るか入らないかはお母様の希望で結局は決まるんです。
お母様がどうしても入れたいと言われれば
学校側は”ノー”とは言えませんから」・・・・・。

私の取り方が屈折しているのかも知れませんが
”ようにとって一番”を探し求めているのにまるで
”私の希望”というように誤解されているように思えた。

親が体裁を気にしてとか見栄を張ってなどとでも思っているかのように。
最悪だぁ・・。

そして結局、結論は
「一般の就学検診を受けて
通れば普通級でやってみる。
何か問題がありまた教育委員会の方へ名前が挙がれば
また相談する・・・」ということになった。

結局相談しても迷いは消えず
言われるまま一般の就学検診を受けることになりました。

就学検診の日、親と子供は別々の行動をとらなければならない。
初めての場所で動揺しないように前もって見学させて
頂けるようお願いしました。

いつでもどうぞと言うお返事を頂き数回お邪魔しました。
その時特殊学級の見学もお願いし、その印象はとてもよかった。

でも・・・
ようは入学前には愛知から千葉へ引っ越すことが決まっていました。
その見学は参考程度にしかすぎませんでした。

就学相談当日、事前見学のかいもあり
先生にはお話しもしてあったため
何とか何事もなく検診は終了した。

同時期に、転居先である千葉の市の教育センターへも相談をしていた。
出来るだけ早くようの様子を見たいと言うことでしたので
就学検診の結果を特別に早くいただけるようお願いしました。

結果は「問題なし」でした。

早速それを持って千葉へ出向きました。
もう12月に入っていた。

そこで最初に言われたことは

「ようくんにとって一番ふさわしい学ぶところを見つけましょうね。」

愛知とは全く違う・・・。

私はその言葉にあふれ出す涙をこらえ切れませんでした。

いろいろな思いが流れ出ました。
今までの悩んで疲れていた頭と身体が一気に快復する感じ。

やっとこれで決められる・・と思いました。

千葉の方でもやはり面接を行い、2日に分けて発達診断を行いました。

結果はやはり同じで

「精神面での遅れはあるものの
お友達の中で延びていくタイプなので普通級を薦めます。
逃げ道を作ってあげると楽なので特殊学級がある小学校がより望ましい。」

と言うものでした。

そしてやっと「普通級」に席をおこうと決めました。

その後、一年先に単身赴任しているパパの住居(そこが転居先)の
学校区の小学校について初めて調べる。

その小学校には特殊学級はありませんでした。
少人数で一学年一クラスか二クラス。

周りを梨畑に囲まれた空がとても広く高く感じる
のどかな田舎の学校。

そして学校区外で隣町にはとてもいい(教育相談センターの方も絶賛)特殊学級のあるマンモスで都会的な学校。

引っ越すことも視野に入れこの2校を私・主人・ようの3人で見学をしました。

もちろんそれぞれの校長先生ともお話ししました。

いろいろなことを考慮した結果、3人の意見は一致。

「田舎ののどかな学校」に決まりました。
ようにとって過ごしやすい環境だと思えました。

事前に通級学級や言葉の学級などのお話しは
センターの方から聞いていたので
何か問題が起きたらそれを逃げ道にしようと考えました。

決めてからは就学説明会に参加したとき
校長先生とご挨拶程度のお話しをしただけで入学式を迎えました。

今思えばその時にもう少し自閉症の特性についてお話ししておけば
入学当初の苦難は減っていたのかも・・。


今、3学期が始まり、普通級での学校生活もやっと軌道に乗り始めたように思います。
入学以来、ようも苦しい、辛いこともたくさんあったでしょう。
でも間違えなく楽しいこと、嬉しいことそして学んだことの方が多いと思います。

何より、学校で、ようを取り巻く周りの環境が変わったこと。

まずは、スクール・サポート・スタッフの先生が付いて下さったこと。

それによって担任の先生にも余裕が出来
ようのことを理解しようとして下さり、
少しずつわかってもらえるようになってきたこと。

私も信頼できるクリニックの先生に出会え、今までよりずっと
適切な対応がしてあげられるように思えること。

そしてようにお友達が出来たこと。

きっと、これからも同じような凸凹道だと思います。
でも、たった一年足らずでこれだけ周りが理解してくれて、ようも成長した!

明るい未来を信じて壁にぶつかりながらも立ち上がって
私のペースでずっとようを見守っていこうと思っています。

今、普通級を選んだことに後悔はありません!!





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