リスク回避
12/10から松下電器がファンヒーター回収のTV-CMを流し始めた。12/19まで流すらしい、経費は200億円。この間一般製品のCMは全てストップしているらしい、ボーナス商戦真っ盛りのこの時期に、なんと思い切った良心的な事を!と思っていた。そうした目で見られている方も多いと思う。が、実は既に、この製品で既に死者2名、被害事件5件も発生しているとのこと。それも今年の1月に最初の事件が起きていたらしい。この件と今巷を賑わせている「耐震問題」、どこが違うのだろう。松下電器は対象製品を1台五万円で引き取ると言う。恐らく購入費用の半額程度だ、一方くだんの偽造マンションは、買った金額プラスαで買い取るとの意志表示を販売側がしている。自社の製品による被害を出さない、食い止めるといった観点では同じ事。しかし対応方法と世間の評価は随分違う。ひとつには原因の発生の仕方がまるで違うからだと思う。ファンヒーターは、安全性について、法的な基準について準拠して製造されたが部品の経年劣化によって事故に繋がる可能性が出てきた。一方のマンションは建てる前から法的な基準を満たさない代物だった。国会で証人喚問が繰り返されているが、ここに引き出された人達は事後のリスク回避に終始している。つまり「自分に責任が来ないように」。「法令を破ってまで鉄骨量を減らすよう強要はしていない。」当たり前だ。だが一方で実際に設計した側では「これ以上は出来ない」と言っていた。彼に足りなかった一言は「法令を遵守出来ない。」の一言。そして減量を強要した側に必要だったのは「法令の範囲内で減量方法を考えろ」の一言。法令を遵守する気持ちを最近では「コンプライアンス」という言葉で表現することが多いようだ。特に数年前の☆印の牛乳事件から強く言われるようになってきた。減量を強要した側にこの「コンプライアンス」をきちんと確認する制度、常に意識する制度があったならこの事件は起きていただろうか。人は常に社会的な活動を行う時には「法律を犯さない」をどこかで意識している。しかし、それが複数の人間で行動する場合「誰かが法律を犯さないよう意識しているはず、みんながやっているなら大丈夫。誰も異を唱えないなら大丈夫」になってしまう。某プロ野球球団の優勝騒ぎなんかが良い例かもしれない。でも、法律は法律。その場にいる人間が何も言わないからと言って法律的に合法とはなり得ない。そうした面が自分の会社に起きていないのか確認する必要があると思う。特に今年制定された「個人情報保護法」これはかなり遵守するのが厳しい法律だ。お客様の発注伝票、作業員の巡回予定表などが他の人の目につくところに置いてあったり、そのまま捨ててしまったりしていないだろうか?少し話がそれてしまったが「コンプライアンス」と当たり前と思っていたことの再確認が今、最大のリスク回避方法なのかもしれない。