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テーマ:海外生活(7771)
カテゴリ:フランス・フランス人
こちらの暴動騒ぎは日本でもかなり話題になっているようだし、また私の身の回りではそれらしいことを見たり聞いたりしていなかったので、ちょっとリアリティに欠ける部分もあったので、昨日の日記でちょっと触れたくらいで留めておこうと思ったのですが・・・。
今朝の同僚との話題はさすがに暴動の話で、その同僚のご家族が被害に遭ったと聞きました。 この方はパリの北、quartier sensible(=センシブルな地区ということで、ニュアンスはお分かりいただけるでしょうか?)に住んでいらっしゃいます。 先日の夜、騒ぎで目を覚ましたら、なんと窓のすぐ下の車が数台炎を上げていたそうです。 建物の人は全員避難させられ、その夜はほとんど寝られなかったとのこと。 その後、実際に自分の車が被害に遭ってしまい、会社に申し出たところ会社から車を貸与されたので、今度はこれも鍵の掛かるガレージに入れたのですが、ガレージにも放火されてその車も焼けて使えなくなったとのことでした。 日本では車を燃やす行為というのはあまり見られませんが、フランスでは、大きなイベントがあるとよく車が燃やされます。 これまで何度か燃やされて放置されている車を見たことがありますが、ここまで燃えるものなのかというくらい、中身は空っぽ、外側もボロボロでした。 もちろん、この車が焼かれた後に駐車したのでしょうが、焼かれた車の前後にはぴったり別のきれいな車が止まっていて、異様な光景でした。 ところでこの「暴動」という言葉、辞書で調べると「徒党を組み、騒動を起こすこと」とあって、なんとなく古めかしい説明文であると同時に、「暴動」という言葉自体、先進国には過去の言葉であるような印象を持っていました。 けれどもあるんですね、こういうことが実際に。 今回の事件の発端は、パリ郊外で警察の尋問から逃げようとして発電所に入り込んだ少年達が感電死してしまったことらしいのですが、これがセンシブルな地区での出来事だったので、これまでのそういう地区での取り締まり方や、その他の差別に対する不満が一気に噴出してしまったんですね。 フランスは昔、労働者不足だったころに大量の移民を受け入れていて、その頃フランスに渡った人達やその子供、そのまた子供が今こうして、そういう地区に追いやられて暮らしているので、この問題は根強いのです。 失業問題に悩むフランスですが、これら地区の失業率は特に非常に高いのが特徴です。企業側は移民らしき名前、住所を見ただけで応募者を採用対象としないとも言われています。 もともと移民者達に対するきちんとした受け入れ態勢もなしに、労働力が足りないからとどんどん呼び寄せ、その後も移民者達に対するきちんとした対処がなされず放ったらかしにしていたため、その人々の子供、またその子供にもきちんとした教育が行き渡っていないのも問題の一つかと思います。 あげくの果てに「社会のくずを一掃する」なんてことを内相が発言したりなんかしたら、そりゃあ頭に来るでしょう。 フランス映画ってどうしてもパリ市内に豪華なアパートを持って・・・っていう人の話が多いのですが、昨年初めに公開された"L'ESQUIVE"という映画は、 珍しくセンシブルな地区が題材になっています。 同じ公団内の友達の家に行くと、お母さんが一人でがんばって子供を育てている。なぜならそこのお父さんは投獄されているから。そしてそこを訪ねた子供自身のお父さんも同じ牢獄に入っていとるというエピソードや、その地区の子供達がパトロール中の警官に手洗い扱いを受けるエピソードなどが鮮明に描かれていて、少なからずショックを受けました。 無差別に車を焼いたり、人に暴力を振るったりするのは決してよくないのはもちろんですが、こういう方法でしか怒りを表現できない人々を作ってしまったのは政府の問題だと思います。 PCゲームの「シビライゼーション」では、原始の時代から村を一つ一つ作っていって国づくりをし、領土を広げるだけでなく国内の政情安定に努めて、国民が幸せに暮らしていくようにいろいろと工夫していかなければいけません。 これがちょっと無理な行動に走ると、各町(村)ではたちまち黒煙が立ち上り、暴動が発生します。これくらい、単純な仕組みです。 フランスの場合、彼らのことをフランス国民と見なしていなかったから、これが見抜けなかったのかもしれませんが。 昨日、いよいよシラク大統領が発言しました。 「おいおい、また倒れるのか?」と思うくらい、全く内容のない発言でした。 また先ほど首相のコメントが1チャンネルのニュースで放送されたようですが、私がいつも見ている2チャンネルでは、新アルバムを発売したばかりの国民的歌手、仏版矢沢永吉ことジョニー・アリディがゲスト出演、暴動について語っていました。 おかげで首相の発表は逃しましたが、いい解決法は見つかったんでしょうか。 「こういう事件を起こした人は厳罰に処す」とだけ言っていても、何の解決にもならないと思うのですが。 フランス・・・ほんとに大丈夫なんでしょうか??? 家はパリ市内の閑静な住宅街にあるのですが、路駐している車の数がめっきり減りました。いったいどこに片付けたんでしょう!? それにヤバイ地区の上をヘリコプターがパトロールしているという話も聞きましたが、今、家の上にも飛んでいます。 こんなのが続くと戦争みたい・・・。 クリックよろしくお願いします! → も開館中。 パリの写真を毎日公開しています。こちらもよろしく! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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