藤崎慎吾/田代省三/藤岡換太郎
『深海のパイロット 六五〇〇mの海底に何を見たか』
光文社新書
この地球上に宇宙よりも調査が遅れている場所がある。深海の神秘の魅力への水先案内。
本書では、日本の潜水調査船、しんかい2000としんかい6500のエピソードを中心に、飽和潜水や世界の潜水調査船開発の歴史などが面白く紹介されている。宇宙開発では大きく遅れをとっている日本も、海洋国家の威信をかけて深海の調査についてはトップを走っている。ただ、あまり国民に知られているとはいいがたい。私は、子供の頃に読んだジュール・ベルヌの『海底二万里』で深海の魅力を知り、しんかい2000のマグカップを愛用しているのだが、恥ずかしながら本書を読むまで具体的な話はほとんど知らなかった。
印象に残ったのは、深海に行くことは宇宙に行くのに匹敵するほど困難であるにもかかわらず安全性はかなり高いという話、必ずしもしんかい6500がしんかい2000よりも優秀というわけではなく一長一短があるという話、深海の調査も宇宙開発と同じように科学上の必要性と経費が天秤にかけられ無人の調査船が有人の調査船に取って代わるようになっているという話、それでも有人の潜水調査船でなければならないという話だ。
海底資源の絡みも含めて、海洋国家日本にとって深海を調査することの意義は今後ますます大きくなると思う。最近話題の地球深部探査船「ちきゅう」も含めて、今後の調査に注目していきたい。
Last updated
2007.07.08 00:50:06