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書評日記  パペッティア通信

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Oct 31, 2005
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サブカルチャーの典型、「擬似歴史」。

大塚英司によると、1980年代以降、「大きな物語」の不在と失墜は、サブカルチャーにおける「擬似歴史」によって埋められたという。『機動戦史ガンダム』シリーズ、『銀河英雄伝説』…その反面、「歴史」の体裁をとった作品は、『虹色のトロツキー』など時折、世間の話題にのぼった作品もあったものの、成功したものはほとんどなかった。虚虚実実の境。そんな皮膜部分にこそ、面白さが宿ることを考えれば、歴史物語のもつ「偉人伝」的臭みから脱することができなかったのだろう。井上雄彦『バカボンド』の出現まで、大成功したものはほとんどなかったといってよい。


これは、たいへんな作品だ。私の秘蔵中の秘蔵コミックであり、今まで機会がなかったこともあるが、一人で密かに愛読していた本である。9月に4巻がでたばかりであるし、ぜひ紹介しておきたい。

この作品は、以下のやりとりがアルファであり、
そしてオメガではないか?


言ってみろ!お前たちはなんだ!!(ナポレオン)
大陸軍!!!(将兵)
大陸軍は!!!!
世界最強!!!!!!!


すさまじい掛け合い。この登場人物たちの熱さがたまらない。この絵のエグイまでの濃さが、世界最強のナポレオン軍将兵の熱さにピッタリ。泥濘にまみれる兵卒に、流血の戦場。敵味方、強靭な意志がうごめき、相手をねじ伏せる。

第一巻では、いきなり1805年、「アウステルリッツの三帝会戦」から物語がはじまる。クラウゼビッツの評した、「戦争芸術の天才」ナポレオンの面目躍如をみせよう、という粋な計らい。ところが、かなりブチ切れたナポレオン像の描き方に、読者は圧倒されてしまう。ロシア帝国・クトゥーゾフ将軍(モスクワ遠征時、冬将軍を利用してナポレオンを破る)の描き方もすばらしい!!。この本を読むためには、なにも準備は要らない。ただ、コミックのもつ呼吸に身をまかせればよい。つかみはバッチリ。おそらく、この1冊を読み終えた暁には、あなたは次を読みたい衝動をおさえられないだろう。実に手に入れにくいコミックなので、2度手間をさけるためにも、あらかじめ全冊まとめ買いすることをお薦めしておきたい。

むろん、第二巻以下も、真の「戦史マニア」「歴史ファン」なら、垂涎の作品というしかない。ストーリーは、「コルシカ独立戦争」の回想までとんで、生い立ちも丁寧に描かれてゆく。立憲君主制派のミラボーは、死後遺骸は引きずり出され、「人民の友」マラーは、シャルロット・コルデー嬢に殺される。第三巻は、フランス革命最大のスペクタクル、国王処刑の一コマが衝撃だ。ナポレオン・ボナパルト出世の糸口になった、「ツーロン城攻防戦」も濃厚な描かれ方がなされている。泥濘での戦闘シーンは、すさまじい。

最新刊・第四巻は、ジャコバン派の恐怖政治!!

なんてったって、革命の化身(!)ロベスピエールは、童貞として描かれているのだ!(笑)。ベルバラでもおなじみの「革命の貴公子」サン・ジュスト。「漢(おとこ)」ダントンに、急進左派エベールまで加わって、恐怖政治(テロール)が、ド迫力のこの絵で、われわれに迫ってくるのですよ。革命の獅子たちの人物像は、丁寧に描き分けられ、そこから浮きあがった革命期フランス像は、虚実の皮膜をつきぬけていてすばらしい。国民公会、公安委員会、革命裁判、断頭台にギロチン。パリやリヨンは、血の泥濘に沈む。

おお自由よ、汝の名において何と多くの罪が犯されたことか!(ロラン夫人)
人は罪なくして王たりえない(サン・ジュスト)


まれにみる名セリフの数々。これだけで、フランス革命のすさまじさが、存分に堪能できるのではないか。

そしてご存じ、怪物ジョセフ・フーシェの登場には、拍手喝さいだ!!(正確には2巻から)。次の巻では、いよいよマルクス曰く「テルミドール反動」、ジャコバン派独裁崩壊、総裁政府樹立である。「革命の季節」の終焉になることをおもえば、もう目が放せないだろう。皆さんには、ぜひ読んでいただきたい。

なによりも、「大陸軍戦報」という名前で、この本にコラムとして載せられている、ナポレオン軍・フランス革命の豆知識・解説が泣けるくらいイイ!(・∀・)。 厖大な協力者群が、この作品をささえてくれているのでしょう。なんというありがたさ。フランス革命期から、ナポレオンがフランス革命を輸出する大革命戦争期まで。その期間を「獅子の時代」と銘打ち、描きぬこうとする、本作品の心意気の壮大さは、いかばかりか!。おそらく、20巻くらいは最低でも必要とするほどの長大な歴史物語絵巻(というには、グロすぎるけど)になるはずです。それなのに、AMAZON.comでは書評がまったくついていない!。一部のファンにしか、知られていない「幻の名作」と化しているのだ!!。下手すれば、連載中止で本物の「幻」になってしまうこともありえる(実際、掲載誌を移っているらしい)かもしれない。なんたることだろう! こんな作品を埋もれさせるなんて、お天道さまが許しても、我々は絶対に許してはならない!

戦史マニア、歴史ファン、コミック好きには、ぜひお薦めしたい、至上の一品であるだけではありません。このコミックを読んで感動した皆さんには、ぜひ活発な布教活動をお願いしたい。


評価 ★★★★☆

価格
1巻 : ¥550 (税込)
2巻 : ¥550 (税込)
3巻 : ¥550 (税込)
4巻 : ¥570 (税込)


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Last updated  Dec 3, 2005 08:40:59 PM
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