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テーマ:社会関係の書籍のレビュー(95)
カテゴリ:政治
日本が国連分担金の恒常的滞納国であることを、貴方はご存じだろうか。 平均6ヶ月、ひどいときは14ヶ月。日本は、期日以内に分担金を納めたことがない。アメリカと並ぶ確信犯的分担金滞納国。国連財政を悪化させた主犯は日本だった!!!! この驚愕というべき「知られざる国際的常識」を語る本書は、今や日本が北朝鮮よりもはるかに世界に害を及ぼしながら、アメリカ以上に自覚がない恐るべき外交を展開する、世界の問題国家であることを徹底的に暴きだしている快著なのです。皆さん、ぜひ図書館ならびに本屋に走って欲しい。これを読まずして日本外交は語れません。 一体、日本は何のために滞納していたのか? 実は、「為替相場の良い時」に払うためなんだという。しかも為替相場の悪いとき、国連分担金を納付しても責任を採ったことがない。外務省は、「わずかな利益」で法を踏みにじっているだけでなく、経済的合理性・政治的合理性さえ欠く行為で、日本の国家的威信・国際的信用を傷つけているといわざるをえない。そればかりか、「分担金を誠実に払っている日本」「にもかかわらず影響力がない」ウソは、外相・外務省官僚にまで罹病しているらしく、キチンと払っているロシアを「払っていない大国」と逆に誹謗をおこなうなど、集団的ヒステリーの様相さえ帯びる始末なのです。 「6番目」の常任理事国といえる程の大きな力を安保理にもち、拠出金を通じて「国連へ決定的影響力」をもち、国連予算決定について拒否権をもち、国連事務局幹部職員と日本の外交担当者との重複もすすむ。それでありながら、日本外交は、政府答弁もウソと詭弁だらけ、大臣や官僚が問題を適切に認識しているかすら定かではない状態。これでは周辺諸国が、常任理事国入りに反対するのも当然なのだ。一体、日本は何のために常任理事国入りを目指したのか。これと、国連改革とは、どのような関係にあるのだろうか。 そもそも、日米安保条約は日本国憲法に抵触する。そのため、国連憲章を根拠に締結したのですが、日本の「国連中心主義」外交とは、対米協力のカモフラージュにすぎないという。国内法と国際法を都合良く使い分け、法を二重基準の下に置くことが、外務省の役目らしい。武力行使は、安保理が認定した侵略者に対して国連として対処するか個別的・集団的自衛権しか許されていない。アメリカは加盟国だから以上の基準を満たさない戦争はしない、だからアメリカを支援しても国権の発動たる戦争ではない ……… アナン国連事務総長までアメリカを批判すると、このロジックは破綻してしまう。2003年3月以降、日本の右翼ジャーナリズムは、いっせいに「対米協力のカモフラージュとしての国連中心主義」の否定に走り出すが、意外なことに外務省は当初静観していたという。ところが2003年9月以降、内閣・外務省は、自衛隊派遣の理由にならないため―――従来はODA予算を財務省からぶんどるため、テロの原因として「貧困」を掲げていた―――答弁をいっせいに翻す 。アナン事務総長の発言をイラク戦争を支持するため批判しながら、その戦争を支援するためイラク特措法を国連に関係づける泥縄ぶりは、当初、自衛隊派遣を想定していなかったことの証拠。イラク戦争支持は正しくとも、判断を誤った証拠であるという。 もともと、日本の常任理事国入りの動きは、1993年頃にまで遡れるらしい。リベラル・クリントン政権では、「国連重視」をかかげたため、米国の都合が悪い国連にならないように「国連改革」を行わなければならなかった。当時日本は、その動きに呼応する形で、常任理事国入りを目指したものの、道具としての国連利用にたけた共和党は、国連利用が難しくなる局面が現れるのなら、日本だけ常任理事国になるのは好ましくないとして反対していたという。外務省の暴走は、「イラク戦争」で頂点に達します。日頃安保条約の重要性を述べていた読売新聞や与党が、北朝鮮とイラクをリンケージ。あろうことか米国が安保条約を守るとは限らないと公然と不信感を述べ、日本政府の米国支持を正当化した破綻ぶりは記憶に新しい。日本政府は当然、イラク問題と北朝鮮問題を公式には絡めません。「知人だから犯罪に協力」という論法は、法的整合性がないばかりか、北朝鮮問題が解決するとイラク対応を変えねばならなくなるからです。国会内・外で二枚舌を使い、世論を煽ってゆく外務省・与党の姿。そのひとつが、イラク戦争参加に使われた「石油確保」論。欧米では,イラク戦争の当否が,問題の正当性や正義か否かで語られ,公式では語られることのなかった「石油確保」が横行した日本。イラク戦争で最も利己的な国家、石油のための戦争をした国家は、米国ではなく日本であったという衝撃の事実には、驚く他はないでしょう。 しかし反戦の立場をとるメディアでさえ,日本が「やむをえず」ブッシュ政権を支持したものと考えているらしい。安保理の外で巨大な経済力を使い国連を軍事的方向に動かすため、激しい工作を仕掛けた「イラク戦争」の当事者であることが、まったく認識されていないばかりか、「安保理常任理事国入り」とはこの国連加盟国工作の失敗を糊塗するためのものというから、驚くではありませんか。あくまで、その目的に従い、国連中心主義を対米重視に従属させるため「常任理入り」をもとめた読売・産経に対して、「常任理入り」を対米自立・憲法理念を活かすためと捉える朝日・毎日の論調の蒙昧さ。靖国参拝・改憲・イラク戦争支持・集団的自衛権の容認などと連動した日本の「常任理入り」に対して、中国・韓国などで反対運動がおきるのは、ある意味当然のことでした。ところが、毎日新聞にいたっては、妄想がエスカレート。まさに廃棄されようとしている、9条・集団自衛権放棄の平和主義なる理由で、常任理事国入りを正統化して、中国・韓国の批判に反論する、信じられない痴性ぶりを示したのだから呆れる他はない。社説を書き政府諮問委員をつとめた記者が、政府の説明を額面どおり受け取って、政治的言動に関する政治感覚すら欠落させているとは!! (長くなりましたので、<2>に続きます。暖かい応援をおねがいします) 評価 ? 価格: ¥693 (税込) ←このブログを応援してくれる方は、クリックして頂ければ幸いです お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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