今週の日経ビジネスは、リクルートの特集でした。
リクルートは素晴らしい文化と仕組みを持ったベンチャー企業だと前から思っており、大変興味深く読みましたが、財務的観点から2つほど大きな違和感がありました。
まず、有利子負債を完済イコール再建完了、そして成長戦略へ、という流れを賞賛しているような論調は不可解であり、無借金経営が善であるという前提には非常に違和感があります。営業利益と有利子負債とのバランスで考えると、2004年くらいの段階で成長戦略を考え、資金を成長分野へ投資していくべきだった、というのが教科書的ではありますが適切な論評である気がします。過大な負債を完済するまでの努力の価値を否定するつもりはまったくありませんが・・・。
もうひとつは、成長分野への投資資金が必要な状況ではないのに株式上場を考えているというのはもっと違和感があります。上場で調達する株主資本は負債よりもコストが高いわけです。資金ニーズがないのに高いコストで資金調達をする、というのは説明不可能であるような気がします。既存株主への恩返し、という意味はあると思いますが、上場せずに独自の企業文化を守り続けていくほうが本質的な企業価値が高められるのではないか、と感じました。
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Last updated
2006.06.03 20:08:05
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