文楽小説断片集 「頑 固 な 奴 」 2005年 10/12
♪ 頑 固 な 奴 ♪ 怒りぽっくて頑固で薄情な どうしょうもない男であった。 人の話を聞き入れない男だとは 転勤前の友人からの連絡で知っていた。 「 今度そちらに行く片山という男は とんでもない堅物だからな!! 」 そういった連絡だった。 M大学卒業の38歳の片山鉄治は その名のとおり融通のきかない 頑固一徹な奴であった。 高校を出た温厚な43歳の 吉川良夫とは、対照的な性格である。 鉄治は一度いいだしたら人の意見を 聞きいれない男であった。 大ベテランで上司や同僚からも信頼 されている班員の良夫が親切に・・・ 「 班長こうやった方がいいいですよ!! 」 と切り出しても絶対「はいわかりました」 とは言わないない男であった。 こんな班長とは、いい上下関係を築くことは できないと良夫も半分しらけた気分である。 「今まで長いこと班長と付き合ってきたが こんな不出来の班長は見たことがない!!」 と日頃あまりボヤクことのない良夫でも ボヤクことがあった。 なんであんな性格が生まれたのだろう?? 赤ん坊として生まれた時からあんな 性格ではなかったはずだ。。。 こんな班長の下で働くのは嫌だ・・・ 前の班長は、よかったなぁ~ 部下はみんなそんな思いである。 部屋のムードが鉄治がきてから 暗くなったみたいだ。 情愛もなく人との付き合いも淡白で 中身の濃い男同士の交流もできない 超自己中心主義の性格だった。 班員が残業し、業務に苦しんでいても われ知らず、時間がくればサッサと 帰り支度をして「 帰るぞうー”” 」 といって先に帰るような男であった。 鉄治は,男同士のケンカは今まで いくつもやってきたと自ら吹聴した。 この職場に7名の部下をもつ班長として 着任した2日目に早くも班員と 口ゲンカをしたのである。 「まったくやりにくい班長が来たもんだなぁ~」 部下はそう言ってため息をついた。 髪の毛の短いふっくらした 丸い顔に太い眉毛がのっている。 小さなサバの腐ったような瞳と タラコのような口元。 顔の一つ一つのパーツは 誰が見ても冴えない見苦しい 男であるのだが・・・ 一見すればダルマさんみたいな 顔立ちをしているものだから 早くも部下から「”ダルマの鉄”」 というあだ名をつけられた。 はいストップ!! 「ダルマの鉄”」というあだ名の 片山鉄治は、頑固一徹の男である。 新しい職場での仕事ぶりは はたしてうまくいくのでしょうか? さあ~ここからは、あなたに おまかせしたいと思います。 よろしくお願いします。 m(__)m * この小説に登場する 人物の名前は仮名です。