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カテゴリ:その他のアジア映画
1970年代のイスラエル南部のキブツを舞台にした、13歳の少年とその母をめぐる物語。
昨年11月に開催されたアジア・フィルムフェスティバルで上映された際にチケットを購入していたのだが、当日体調を壊して行くことができなかった。今回、 アテネ・フランセ文化センターで開催されたイスラエル映画祭2007で上映されたので、ようやく鑑賞できた(2007/3/24)。 『甘い泥』 評価:☆☆☆ 「大人は共同体によりよく貢献するため親の義務から解放される。1980年代まで子供は「子供の国」で育てられ、そこで生活と勉強をした」とは、映画冒頭に入る字幕だ。
豊かな自然を背景にした、淡い初恋あり、盗みを働くなど不良性あり、母親への慕情と葛藤あり、近所の人とのトラブルありと、いわゆる「少年時代もの」の秀作。 それだけでなく、キブツ――相互扶助や平等を理念に、厳格なルールに支配された共同体――というとイスラエル建国の礎となった程度の認識しかなかったが、映画の後半はかなり痛烈にキブツ批判を展開している。 キブツというと、その昔、地理の授業で習っただけで具体的なイメージはまったく湧かなかったが、映画を通して(映画がある程度正しく映し出しているとして)何となく理解できたように思う。、 現代のイスラエル社会におけるキブツの位置付けなどまったくわからないが、イスラエル社会についてほとんど何も知らない身にとっては、当時アメリカの庇護下にあった(と言ってしまうとまずいかもしれないが)国に、映画で描かれていたような共産主義的システムが存在していたというのが非常な驚きだった。 なお本作は、日本のNHKやロバート・レッドフォード主宰のサンダンス・インスティテュートなどの援助によって製作された。第57回ベルリン映画祭クリスタル・ベアー受賞。 『甘い泥』 【製作年】2006年、イスラエル 【監督・脚本】ドロール・シャウル 【撮影】セバスティアン・エドシュミット 【音楽】トゥープ・フィロソフ、アディ・レナート 【出演】トメル・シュテインホフ、ロニット・ユドケビッツ、ヘンリ・ガルシン ほか お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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