|
カテゴリ:日本映画(2007)
佐藤江梨子、水野美紀、加藤晴彦という面子がそろったホラー映画ならば、ホラーファンとしては見に行かねばなるまい。ということでワーナーマイカル・シネマズ板橋にて鑑賞(2007/4/1)。
『口裂け女』 評価:☆☆ ご存知の通り「口裂け女」は1970年代の終わりに広まった都市伝説。いろいろバリエーションはあるが、簡潔には次のようなもの。 人気のない道路を小学生が通ると、物陰にいたコート姿で口を白いマスクで覆った女性が出てきて、「わたし、きれい?」と小学生に尋ね、「うん」と答えるとこれでもか?」とマスクを外す。すると、女の口が耳まで裂けていて、驚いた小学生の口を持っていた刃物(ハサミ)で切り裂く……。 当時も何でこんなたわいもない話が広がるのか不思議に思っていたが、それを映画にしてしまうとは。しかも、なぜ今「口裂け女」なのか? その疑問は、映画を見て納得。児童虐待問題を絡めて、現代のホラーとして描き出している。 この児童虐待を絡めるというのは、着眼点として悪くない。よくあるパターンと言えなくもないが、親による児童虐待(と殺人)が改めて社会問題となっている昨今、これはホラーを捉え直す点でも卓見のように思う。 口裂け女がなぜ口“裂け”女になったのか、なるほどと思う展開でもあったし。 それだけに、脚本の練り込み不足がもったいなかった。 (以下、微妙にネタバレあり) 一つは、なぜ彼女ら(複数形に注意)が口裂け女になったのかの説明がほしかった。 女性が無差別に変わってしまうというのは、逆に恐さを感じさせにくく、とくに親子もありの設定なので、取り付く対象は当該地区でも数百人はいるはずだから、取り付かれることに何らかの理由付けがあった方が、日常に潜む恐怖を浮き上がらせることが出来たのではないか。 例えば、本当の虐待まではいかなくても、その日たまたま悪さをした子どもを母親が叩いてしまっていて、その心のやましさに突け込んだ、とかのエクスキューズが入れてあると、ラストの衝撃度がより増したように思う。 また、本家口裂け女と息子との関係で、なぜ子どもたちを虐待していたのか、もう少し背景描写というか物語を作って描いた方が、彼女の執念なり怨念なりを感じさせるものになり、「口裂け女」伝説が単なる荒唐無稽な物語ではなく、鋭い問題提起になったのではないか。 映画のままだと、単におかしい女性が…ということにしかなっていない。 役者的には、佐藤江梨子は、惹かれる部分はあるものの、いま一つだったかな。おとなしい教師造形がラストの効果を高めていたとも思うが…。 それよりも水野美紀が、自ら口裂け女役を買ってでただけあって、その迫力はすごかった。積極的に演技の幅を広げる姿勢には大変好感がもてる。今後がますます楽しみ。 あと川合千春が、夫を亡くしてから娘に辛くあたってしまい、娘が連れ去られると心配と後悔の間で深く悩む母親を好演していた。 ホラー映画ファンや、佐藤、水野、加藤のファンであれば、善しにつけ悪しにつけ見た方がよいとは思うが、それ以外の方はお好みで。 『口裂け女』 【製作年】2006年、日本 【監督】白石晃士 【脚本】横田直幸、白石晃士 【撮影】森下彰三 【音楽】和乃弦、藤野智香 【出演】佐藤江梨子、加藤晴彦、水野美紀、川合千春、桑名里瑛 ほか 公式サイト http://www.kuchisake.com/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.04.02 10:07:17
コメント(0) | コメントを書く
[日本映画(2007)] カテゴリの最新記事
|
|