分太郎の映画日記

　連ドラは未見、スペシャル（があること自体、パンフで初めて知った）も未見。でも、結構面白かった。
　ワーナーマイカル・シネマズ板橋にて鑑賞。

　『アンフェア the movie』　評価：☆☆☆

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【あらすじ】
　警察内部の不正を記すという極秘文書を追っていた警視庁公安部の警部補・雪平夏見（篠原涼子）の車に爆弾が仕掛けられ、娘の美央を学校に送ろうとしていたベビーシッターが犠牲になる。美央も怪我を負って、豊洲警察病院に運びこまれる。
　美央を看護師（加藤ローサ）に託した雪平は、ベビーシッターの遺族に会いに行くが、その間に病院は戸田（成宮寛貴）らテロリストに占拠されてしまった。現場で指揮を執る管理官（寺島進）のもとに雪平が駆け込んだとき、人質が解放されるが、その中に美央はいなかった。
　密かに検査入院していた警察庁長官が人質になっていることから、警視総監（寺田農）と警察庁次長（大杉漣）はSATの突入を指示。危険にさらされる美央を救うため、雪平は、警視庁の検死官・三上薫（加藤雅也）の引き止めにも関わらず、病院に潜入する。
　突入したSATからの連絡が途絶えた。テロリストのリーダー・後藤（椎名桔平）は、交渉役に雪平の上司・斉木（江口洋介）を指名すると、警察庁がプールしている裏金80億円を要求する。
　病院内部に入りこんだ雪平は、SATの第二部隊が待ち伏せを受けて全滅するのを目撃し、警察内部にテロリストたちへの内通者がいることを知ってしまう……。

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　話が次から次へと転がるので観客を飽きさせることがなく、私のように連ドラ未見の人にも人物関係がそれとなくわかるように説明がさりげなく入っており（濱田マリを除く。彼女が映画冒頭、篠原と加藤の会話に出てきた蓮見とは途中まで気がつかなかった）、篠原涼子はきびきびした動きが格好いいし（でもヒールの音はちょっと勘弁。相手にバレバレでしょう）、加藤雅也の二枚目半ぶりも意表をついていてgood、濱田マリも他作品とは違っていて好演……と、映画を見ている間は割と楽しめた。
　まぁ、度重なるどんでん返しは、ちょっと作り込みすぎの感はあったけど。

　けれど、映画を見終った後に、あまり残るものがない。
　その一番の理由は、主人公の篠原涼子が単なる狂言回しに終わってしまっていること。
　もちろん、彼女の娘を助けたいという思いが周囲を動かし、また話を転がしているわけだが、そして彼女自信もかなり動いてはいるのだが、○○を●●するところや□□を■■するところなど、肝心な場面はすべて傍観者にしかなっていないのは、作品としてかなり痛い。唯一ブービートラップを仕掛ける場面があるが、結果的には下っぱの敵を４人倒しただけで、大局には影響していないし。
　なので、鑑賞後に感情移入して振り返るポイントが散漫になってしまっている。
　せめてクライマックスで雪平の銃弾が…とか、細菌の◎◎阻止は彼女が…とか等の演出は出来たのではないかと思うのだが。

　あと、テロリストのリーダー役の椎名桔平が東京都民を人質にとるやり方は、その蜂起の理由からは絶対に有り得ないだろう。やるのであれば、警察庁、警視庁に対して仕掛けると思うのだが……。
　その辺のツメも何だかちぐはぐな感じだ。

　付け加えれば、成宮寛貴の設定が少し変。病院を占拠してリーダー然としていたのが、本当のリーダー役が現れると突然ドジになって失敗を繰り返すのは、かなり不自然だった。
　また阿部サダヲの出番も、連ドラ的には必要なのかもしれないが、映画的にはまったく不要。出演させるなら、せめて捜査本部の一員として加えて、裏切り者候補を増やす役割でも持たせるべきだったのではなかろうか（というか警察側の裏切り者候補が少なすぎ）。
　加藤ローサの出番は少なすぎだが、特別出演だから仕方ないか。

　……と不満な点をあげたが、連ドラファンが観てどうなのかは分からないものの、先に書いたように、私的には（鑑賞中は）結構楽しめたので、迷っているのであれば（良かれ悪しかれ）見た方が良いのではないかと思う。
　連ドラがかなり気になったので、そのうちDVDをレンタルしてみようかな。

　なお、エンドタイトルの後にもおまけ映像があるので、早々と席を立たないこと。


『アンフェア the movie』

【製作年】2007年、日本
【製作】関西テレビ放送、フジテレビジョン、東宝
【配給】東宝
【監督】小林義則
【原作】秦 建日子
【脚本】佐藤嗣麻子
【撮影】大石弘宣
【音楽】住友紀人
【出演】篠原涼子、江口洋介、椎名桔平、寺島進、加藤雅也、成宮寛貴、濱田マリ、大杉漣、寺田農、阿部サダヲ、加藤ローサ　ほか

公式サイト
http://www.ktv.co.jp/unfair/