フランス暴動 ド・ヴィルパンの意表をつく対策
|
[ 日常生活 ]
|
フランスの暴動で暴れている青少年達に対し、鎮圧するだけでなく、今後彼らに対して救済策を打ち出さなければいけないという話も当然されているわけだが、そこでド・ヴィルパンが7日に打ち出した驚きの対策(まだ実行段階には入ってはおらず、具体的なことはなにも発表されてないようですが)。
「義務教育の年齢を現在の16歳から14歳に下げる」
より正確には
「学校に行きたくない子には14歳から見習い就業を可能にする」
(フランス語の読める方用にドヴィルパンの言ったことの引用。こうできるようにしたいとのことです→ "de pouvoir proposer l'apprentissage des 14 ans a des enfants qui, visiblement, n'ont pas le gout, n'ont pas l'envie ou qui ont quitte l'ecole")
ド・ヴィルパンも随分思い切ったものだ。
一瞬「えっ」と思ったがよく考えると納得のいく対策である。
暴徒たちの殆どは、勉強する気も失い、既に学校にも不登校の少年たちだ。
学校に来ないから時間はあるけどお金もないので、つまらない。
マクドナルドで働こうと思ったって16歳未満だと働けない。
こうした少年たちが、街で徒党を組んで悪さをするよりも、もっと早くから職業訓練をしながら働き始めることができるように、ということなのである。これを可能にするには、もちろん労働法なども改正しなくてはならない。
1960年代以降、義務教育レベルを上げることが底辺層の生活の向上につながるとずっと信じられてきた。実際、フランスの教育は、最初から最後まで公立と国立で通せば確かにかなり安上がり。貧しくてもバカロレアをとり、大学を出ることは大変ではあっても不可能ではない。
だがフランス白人ですら普通に大学を出ても就職することができない人がわんさかいる現状で、苦労して大卒になることにどれほどの意味があるのだろうか。
一般には、お金をもたらしてくれる職とつながった学歴を身につけるには、日本と同様、フランスでもやっぱりそれなりにお金がかかる。本人が物凄く優秀で環境が貧しくても一人で勝手に勉強して授業料免除や奨学金を取りまくりながらどんどんグランゼコールに行ってしまった場合などはまた話が別であるが、やっぱりこういう人は現実に存在はしていても、どちらかといえば少数派だ(知的にも経済的にも貧しい家庭に生まれ育って、幼稚園から高校まで全部地元の公立校で、塾にも全く行かなかった人が東大に現役合格するぐらいの割合、とイメージすれば分かりやすいと思う)。
また、フランスの学校教育は、日本の学校と違い、基本的には、生活面(ミシンの使い方や日曜大工のやり方など)・モラル面・情操面の教育がない(関連:「
フランスに家庭科の授業は無いらしい?」)。それこそ、フランス語だの数学だのといった、お勉強が全ての世界だ。日本の学校のように「算数だの国語だのは嫌いだけど図工や体育が楽しみだから学校に来る」なんてことはきっとないのだろう。
生活面モラル面情操面の教育は各家庭にまかされており、そのために水曜日が休みなわけだが、実際に水曜日に家庭で教育しているうちは、今回暴動が起きているような地区では一体どのくらいあるだろうか。習い事に行かせている家では一応それが情操教育になっているのだろうが、今回問題になっているような子たちの家庭が習い事にやるようなお金や心構えがあるとは思えない。街でふらふらするだけだ。
つまり、フランスの学校は、子ども本人にフランス語だの数学だのといった学科のお勉強を続ける気が全くないのなら、その子にとっては来る意味があまりない場所だとも言える。
下手すると今まで「非行少年層」だったものを「文盲層」にまで引き下げるリスクもはらんでいるド・ヴィルパンの案だが、時間とエネルギーをもてあましていて学業にも興味ない青少年が、年齢のためにまともに労働することもできず、遊ぶ金ほしさに窃盗を働いたり麻薬の取引をしたりするよりは遙かにましだろう。
ただ、この案には一つ大きな穴があると思う。
それは学校をドロップアウトした思春期の扱いにくい年頃の子どもを合法的に雇ってくれるところがどれほどあるのか?ということ。全員がファーストフード店でバイトというわけにもいかないだろう。今後、おそらく学校に戻ることがない彼らには手に職がつくようなタイプの仕事のほうがいいだろうし。「
それに、フランスというのは、日本などおよびもつかないほどの、ものすごい職能学歴社会。職種に対応した学歴がないとその職にはつけないことが多くなっているし、その傾向はますます広がっている。「企業が人材を育てる」という習慣のない現在のフランス企業は、ホワイトカラーの職業だけでなくブルーカラーの職人仕事や肉体労働についても免状や資格を求めるところまで来つつある。町の小さな修理工などは、徒弟をとるときに免状や資格を求めないが、こうした家族経営レベルの小さな修理工は、家族以外はノワール(闇)でしか雇う余裕がないところが殆どだ。
このへんは一体どうするのかと思うが、まだ余り具体的なことは打ち出されていないようなので、毎日楽しみに新聞を見ることにしよう…。
Re:フランス暴動 ド・ヴィルパンの意表をつく対策(11/10)
|
コキンヌさん
|
もし義務教育を14才に下げたらもっとひどい事になると私は思います。
学校をドロップアウトしてしまう子供達は大勢いるけれど、16歳未満だったら何とか学校に戻らせようとしたりもしくはドロップアウトした子供達用専門の学校(?)があるじゃないですか。
とにかく16歳未満であれば、一応国が義務なので世話をしようとしますよね。
この国では16歳になったら義務じゃなくなるので何の世話もしなくなるじゃないですか。
実は以前私の元甥っ子がこんな目にあってしまったのです。
義妹夫婦が夏に引越しをしてその当時甥っ子は16才。
サッカー選手になる夢をもっていた子でした。
9月から新しい学校に通うと思って新学期前に転校手続きしようとしたら、学校側は
「クラスに空きがありません。もうお子さんは16歳で義務教育年齢過ぎていて、無理にクラスに入れる義務は無いので来年又来てください。」
と言われてしまったのです。
そして甥っ子は途中まで来年度を待っていたのですが、結局1年は長すぎて学校に行くのをやめてしまいました。
もちろんサッカー選手になる夢も、そこで止まってしまいました。
義務教育年齢が下がると言う事は、働く事が出来る年齢は早くなるかもしれないけれど、学校に行きたくっても行けなくなる子供も増えるって言う事になると思うのです。
元甥っ子のように、ちょっとタイミングがずれたために色々可能性があったと思える将来の芽を潰されてしまう子が多くでてしまうと思うのですよ。
ただでさえ学歴社会のフランスなのに、義務教育年齢を下げるかもなんて、、、、短絡的思考としか言いようが無いと私は思います。
つけたしとして、、、学校によって義務教育年齢内でも職業勉強している学校もありますよね?
学校でスタージュやらせている所もあるじゃないですか。
それなのになんで義務教育年齢を下げるの???と不思議に思います。(^^;ゞ
(2005年11月10日 14時56分12秒)
元甥っ子の話で付け足しなのですが、もし彼がまだ誕生日が来ていなく15才だったら、クラスに空きが無くっても転入出来たはずなのですよ。
義務教育年齢だから、絶対に学校側は受け入れなければいけないから。
そして学校での職業訓練の話ですが、知り合いの子供は確か14才ぐらいでどのコースに行くか決めていました。
そして彼が決めたのはパティシエで、15才くらいから学校でその勉強を始めていて、スタージュにも行っていました。(お金はもらっていなかったと思うけど。)
この話は5年ほど前の話なので、古い話ではないですよね。
確かに学校にも行かない、働く事も出来ない、家にはお金もない、、となると、盗みでもするしかない状況になってしまうのは分からないでもないけど、義務教育年齢を2才下げた所でどれだけこの効果があるのかしら??と思ってしまいます。
読み書き計算がまともに出来ない子供を正規で雇う所ってどれだけあるのかしら?って。
早くに学校をドロップアウトしても、今なら16歳未満なら学校に戻る事が出来るじゃないですか。
復帰する時間チャンスがあるのですが、もし14歳未満になってしまったら、学校に戻りたいと思っても時間的にもうチャンスがほとんど無いじゃないですか。
義務教育年齢を下げるのは、やっぱりどう考えても子供のチャンスの芽を摘んでしまうようにしか思えないです。
あ、、書き忘れたけど、元義姉がドロップアウトした子供達を学校に復帰させる為の仕事をしていたのです。
そこで立ち直った子供達の話しも聞いているので、だからこんな事を書いています。
でもそれも14歳未満となってしまうと、ドロップアウトして立ち直るチャンスはほとんどなくなってしまう気がしまうのですよ。m(_"_)m
(2005年11月10日 15時22分26秒)
私の書き方が悪かったですが正確には
「義務教育年齢を14歳に下げる(それ以降は国は面倒みない)」というより、
「絶対就学してなければならない年齢は14歳までとし、それ以降、希望者についてはapprentissage見習い就業ができるようにする」というのを検討しているようです。
甥っ子さんのケース、本当に災難ですよね。一生が違って来てしまう。
…狸さんが「カカ!」と騒いでるのでまたあとでレスします。
(2005年11月10日 17時20分35秒)
Re:>コキンヌさん(11/10)
|
コキンヌさん
|
ごめんなさい。
ド・ヴィルパンのこの話を聞いていなかったので、早とちりを私はしてしまったようですね。m(_"_)m
でもやっぱり、、、って思います。
絶対義務教育年齢を14歳未満であとは希望者、、って、抜け道を沢山作ってしまうと思うのですよ。
今なら問題ある児童でも学校側は一生懸命対話して受け入れようとしているけど、14歳以上は希望者のみ、、と本当になってしまったら、学校側はうまく問題児童を切り捨ててしまうのでは、、とも思えちゃいます。
14歳未満、要するに13歳いっぱいって日本で言う中学1~2年生ですよね。
まだまだ思いっきり子供なのに(本人は大人のつもりかもしれないけど、考え方はまだまだ子供)、、、、って思っちゃいます。
この先どういう風にしていくのか、私も興味もって見ていきます。ヾ(´▽`*;)ゝエヘヘ (2005年11月10日 19時10分24秒)
Re:フランス暴動 ド・ヴィルパンの意表をつく対策(11/10)
|
iqcotさん
|
はじめまして。
suzuran-rachelさんと仲良くさせていただいているパリのiqcotと申します。
今朝、新聞でこの内容の記事を読んでなるほどなーと思い、いろいろ考えながら会社に来たので、思わず書きこみさせていただきます。
14歳から見習をやれるっていうのは、悪いアイデアじゃないですよね。
対象となる人達は、この年齢ですでに学校をドロップアウト、または行っていても勉強をしているわけではないという人が多いみたいですし。
ただし、日記にも書かれているとおり、ちゃんと働き口が見つかればの話ですよね。
例えファーストフード店だって、お金を扱うわけですし、その他備品もあることでしょうし、どこまで子供達を信用できるかですね。
制度は作ったは、結局就職口はないはだとまた問題が起きそう・・・。
またときどきお邪魔します。
(2005年11月10日 20時09分22秒)
>絶対義務教育年齢を14歳未満であとは希望者、
>、って、抜け道を沢山作ってしまうと思うのですよ。
>学校側はうまく問題児童を切り捨ててしまうのでは、、とも思えちゃいます。
これは絶対あるでしょうね。ただでさえ移民系が多く子だくさんな地区の公立校は満員だからなるべく人数減らしたいわけだし。うーん、難しいなあ。
ただ、勉強に全く興味もない子たちにとって、勉強以外の選択肢ができるというのはいいことだと思います。選択で学校内の課外活動や学科以外の科目を増やすという方向はドヴィルパンは考えてないんでしょうかね。(2005年11月11日 04時29分37秒)
はじめまして。
>制度は作ったは、結局就職口はないはだとまた問題が起きそう・・・。
そうですね。「Bac+5の人たちを研修という名のもと無料または激安で使ったあとにポイ」というのはフランスでは職種によってはよくある手ですから、未成年の見習いさんたちがそういうふうに使い捨てされないという保証はどこにもないですよね…。(2005年11月11日 04時34分00秒)