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![]() イヌやネコに代表されるコンパニオンアニマルは、家族の一員としてなくてはならない存在となっており、医療技術の進歩で長生きできるようになりました。 しかし一方で、ヒトと同様にガンや糖尿病などの疾病が増加しています。 ガンや感染症の診断を支援する先端の遺伝子検査技術や、またがんの免疫療法に用いるリンパ球の培養技術の提供で、動物たちが適切な診断を受け最適な治療を受けられるよう支援します。 ケーナインラボの日記 [全28件]
錦秋とはよく言ったもので、街中でも少しずつ木々の葉が色づき始め、秋の色を感じるようになりました。朝晩はさすがに冷え込んできましたね。食欲の秋、先日遅まきなが新米を頂きました。炊き上がりの色艶と良い、香りも味も最高、いや美味しかったです。 一方で、新型インフルエンザも衰え知らず、ぼちぼち季節性のインフルも流行る時期、地道に手洗いウガイの励行を心がけましょう。 「ネコ肥満細胞腫でのc-kit遺伝子変異とメシル酸イマチニブの効果」について、待ちに待った論文が発表されました。(日本獣医生命科学大学、盆子原誠先生のグループ。我々も微力ながら協力しました。) 本題の前に、少し解説します。 肥満細胞腫は肥満とは関係ありません!(常套句)このあたりは調べてください。 細胞の表面には、細胞の増殖因子(カギ、としましょう)を受け取る受容体(カギ穴、としましょう)があります。増殖因子(カギ)が受容体(カギ穴)に結合すると、細胞増殖のスイッチがはじめて入ります(ドアが開く、ということですね)。ここで言う受容体はKITタンパクといわれ、タンパクを作っている遺伝子をc-kitと言います。通常は、増殖因子がKITタンパクに結合して初めて細胞増殖のスイッチが入るわけです。 ところが、c-kit遺伝子に異常のあるKITタンパクには、増殖因子が結合しなくても勝手にスイッチを入れてしまう異常なものがあります。カギがなくても、勝手にドアが開いてしまうわけですね。 肥満細胞腫は、肥満細胞がいろいろな原因で癌化し異常に増殖しますが、その原因の一つとして、このようなc-kit遺伝子の変異もあるわけです。 では、メシル酸イマチニブと言う抗癌剤はどのように効くか、というと、c-kit遺伝子に異常があるKITタンパクが勝手に入れた増殖のスイッチを切ってしまう、と言う訳です。 これまで、イヌの肥満細胞腫でc-kitという遺伝子に変異があった場合、メシル酸イマチニブが良く効く事が報告されていました。実際に、大学病院やいくつかの動物病院では、イヌの肥満細胞腫でc-kit遺伝子の変異を遺伝子検査で確認し、変異が陽性の場合メシル酸イマチニブを使って治療を行っています。やはり良く効くようです。 ネコはどうか、というと、イヌに比べて肥満細胞腫の患者さんが少ないようで、なかなか研究が進んでいなかったようです。 今回の論文報告では、ネコの肥満細胞腫でもイヌと同じようにc-kit遺伝子が変異している場合が存在すること(変異の場所はイヌと違うようです)、メシル酸イマチニブが良く効くこと、が報告されています。なんと、c-kit遺伝子に変異があった8頭のネコにメシル酸イマチニブを投与したところ、7頭で良く効いた、と言う報告です。多分、ネコでは初めての報告ではないでしょうか。 この数字は、本当に凄いです。 このような薬剤を「分子標的薬」と呼びます。 聞いたことがある方も多いと思います。 つまり、異常のある遺伝子など小さい分子をを標的にしてピンポイントで効果を上げる、という薬剤です。 人の抗癌剤だと、肺癌の治療薬「イレッサ」、慢性骨髄性白血病の治療薬「グリベック」、乳がんの治療薬「ハーセプチン」、B細胞性白血病の治療薬「リツキサン」など、他にも多種多様な薬があります。また、現在も研究が続けられています。 現在、抗癌剤の開発ではもっともホットな分野です。 詳しくは、これも調べてみてください。わかりやすい説明がたくさんあります。 話を戻しますが、ネコの肥満細胞腫でもc-kit遺伝子の変異とメシル酸イマチニブの効果の関連が証明されたと言うことは、新しい治療の選択が出来るようになった、と言うことです。 ネコにも飼主さんにも朗報ですよね。 ネックは薬の値段が多少高いと言うことでしょうか。 では、実際に肥満細胞腫を疑った場合、どうすればよいか。 日ごろ、良く身体を触ってあげることが早期発見の第一歩、です(受け売り)。 何かおかしいイボを見つけたら、迷わず掛かり付けの獣医さんを尋ねる。 いろいろ原因は考えられるでしょうが、肥満細胞腫の可能性を疑ったら、少し組織を採って細胞診断や病理診断、これでわかります。 肥満細胞腫と診断されたら、この先の治療法は獣医さんと相談です。 選択肢の一つとして、c-kit遺伝子の変異を遺伝子検査で調べます。 もし、遺伝子に変異があった(陽性)場合は、メシル酸イマチニブを使う価値は大いにあり、と言うことになります(私だったら迷わず使います)。 これらの検査や治療は最先端の方法ですので、まだまだ情報が行渡っていないのも実情です。 ですから、逆に飼主さんからの獣医さんへの情報提供も大切です。 飼主さんは、自分の可愛い動物たちのことなので、皆さん良く調べて勉強していますね。私も教えられることが多々あります。 先生方も、それを真摯に受け止めて、治療に生かして欲しいです。 いつものように、話が脱線しまくってしまいました。 文章が長くなるので、最初に書いたことがだんだん忘れてしまうのでしょうか。 健忘?気をつけなくては・・・。 我が家のメタボナナちゃん、クッシングの治療薬が1クール分なくなったので、今日検査してきました。結果が良好であれば、暫く薬を中断してみましょう、と言う話になっていますが、そうなることを期待しています。結果は1週間後くらいです。 どんな病気もそうですが、この検査結果待ちの時間と言うのは、本当に嫌ですね。何もわからない、どうしていいかもわからない、不安ばかりです。 こんな飼主の気持ちを知ってか知らずか、相変わらずビールをせがみます。 可哀相なので、隠れて飲むしかないですかね。 それか、焼酎は嫌いなようなので季節柄お湯割にでもするか、です。 (飲まない、という選択肢はありません)
めっきり秋らしくなって、天高く・・・・、ですね。 食欲、運動、何にもよい季節になってきましたが、私は睡眠欲が勝ってきました。気持ちよく寝れます。 さて、先月末鳥取での獣医学会に参加してきました。 我々も一つ演題を発表してきましたが、詳しくはHP学術発表をご覧ください。 蛇足ながら、学会や論文などの学術発表も仕事の一つ。 学術的に評価されるデータを出すことで、信頼性のアップに繋がると考えています。任された若い職員は大変ですが、これも訓練ですからね。 「生みの苦しみ、がんばれ!」と、はっぱをかけます。 ところで、先回紹介したFIPの治療薬に関してですが、田中先生のグループから発表がありました。公の学会での発表でしたから公表しても問題ないと思いますので・・・。 一般名「サイクロスポリンA」という薬で、免疫抑制剤として認可されている薬です。発表された内容は、先回お話した内容とほぼ同じでした。 この免疫抑制剤がなぜFIPに効くのか、メカニズムは私にも良くわかりませんが、実験データからすると、ウィルスの増殖を抑えることでFIPの進展を抑制するようです。 ただ、試験管のなかのデータが主で、実際の臨床効果のデータが少ないので、本当に効果があるのかどうかは今後の研究に期待したいところです。 FIPは、免疫機能が低下することも発症の一つの原因とされていますので、治療に免疫抑制剤を使うことは、メカニズムがはっきりしない限り、なかなか使いにくいかな、と言うのが私の印象です。 でも、薬と言うのは主作用と副作用と言う二面性があって、時として副作用が思っても見なかったような病気に効く場合もあります。 いづれにしても、今後の研究成果に期待です。 私も、サーチを続けたいと思います。 この先も学会がいろいろあります。 私の興味の範疇になりますが、最新の情報を届けます。 期待してください。 ところで、我が家のメタボナナちゃん、クッシングの症状は全く落ち着きました。餌の量も制限していますので体重もやや減少、良いことです。ただ、空腹なんでしょうね、我々の食卓にへばり付いて、悲しそうな眼で見つめてきます。悲しそうな声で鳴きます。そんなときは・・・、です。飼主の悲しき性・・・、と自分に言い訳しています。
昨日の台風は丁度通勤時間帯で、大変混乱しました。 そうかと思ったら、今日は蒸し暑い夏に逆戻り、身体が追いつきません。 動物たちも辛いんでしょうね。 先週の土曜日に、「予防動物医学研究会」が開催されました。 この会のことは、以前設立した際に紹介したと思います。 一言で言えば、病気になる前に早期に診断するための検査や、早期の治療に関しての研究推進が目的です。(興味のある方は、検索してHPを見てください) 今回の演題の中で私が注目したのは、「リアルタイムPCR法による抗FIPV薬の薬効評価について」と題した発表です(共同研究者である日獣大田中先生が発表者)。 リアルタイムPCR法とは、我々が実施している検査方法と同じ方法で、血液や胸水、腹水などからウィルスの遺伝子を検出する精度、感度とも極めて高い技術です。この方法を使って、「抗FPIV薬」つまりFIPVに効果を示すような薬の効果が評価できるかどうか、という内容です。 ちなみに田中先生は、通常存在し得ない血液や胸水、腹水に存在し、FIP発症の起因となるコロナウィルスを「FIPV」と呼んでいます。繰り返しになりますが、未だ遺伝子レベルではコロナウィルスもFIPVも区別は出来ていません。検査では、我々と同じように(というか、我々は田中先生の技術を導入していますので、同じな訳です)正確にはコロナウィルスを検出していますが、この発表では「FIPV」と使っていましたので、以降FIPVと表記します。 まず、試験管内での実験結果です。 強い毒性を持ったFIPウィルス株(多分、重篤なFIPを発症したネコから分離したウィルスを株化したものだと思います)をネコのある種の細胞に混ぜると、感染細胞は死んで形が変わることから、明らかに感染していることがわかります。そこに、ある種の薬剤を入れると、感染を阻害することがわかりました。つまり、感染して細胞が死ぬのを抑えたわけです。 ただし、これだけでは体内に投与して本当に効くのかどうかはわかりません。 その後は、現在研究を継続している段階のようですが、一症例だけ報告がありました。 腹水が溜まり臨床的には既に重篤なウェットタイプのFIPを発症、リアルタイムPCR法で測定したウィルス値は100万個以上、既に治療方法も無いということで、飼主さんの同意を得てこの薬を試してみたそうです。 投与後数日で食欲は回復、腹水も減り、徐々に元気を回復したそうです。そのときのウィルス値も徐々に減少していました(ゼロにはならず)。 この症例は、ある時一気にウィルス値が上昇し、残念ながら亡くなったそうです。 このあたりの原因は、薬の効果と合わせて解明すべき課題ですね。 この研究は未だ始まったばかりですが、いろいろなことを教えてくれました。 1)この薬剤または類似の薬剤が、FIPの治療薬として期待できる可能性がある。 2)薬を投与した後元気が回復してFIPV(コロナ)の値が下がった、ということは、「FIP発症とFIPV(コロナウィルス)感染」は関連している。 3)リアルタイムPCR法で感染している「ウィルス値」まで検出することは、臨床症状の把握と薬の効果を評価する方法として優れている。 1)は、まさにその通りですね。いい結果が得られることを大いに期待したいと思います。 2)と3)は、我々の検査の有用性を裏付けてくれていると思います。 我々の臨床研究の結果でも、FIPを疑う臨床症状がある場合でも、血液または胸水、腹水からコロナウィルスが検出されるのは約25%、つまり残り75%は他の原因によるものだと考えられます。「臨床症状は明らかにFIPなのにコロナウィルスが検出されない場合はFIPでは無いの?」という疑問の声も多く聞かれます。 2)の結果、つまり臨床症状が治まりコロナウィルスの値も低下してきた、ということは、明らかに「コロナウィルス感染とFIP発症」には関連性があることを示すと考えます。 さらに言うなら、FIPを疑う臨床症状があってもコロナウィルス感染が無ければ、それはあくまで「FIPに類似した臨床症状」であるといえるのではないかと思います。 技術的なことですが、リアルタイムPCR法には「定性的(感染が陽性か陰性か判断)な方法」と「定量的(感染しているウィルスの量を数値化する)な方法」の2つがあります。 我々は、田中先生と検査開発当初から「定量的」なリアルタイムPCR法を応用してきました。つまり、感染しているウィルス量を正確に検出することで、臨床症状の重篤度や予後の判断に役立つであろうと考えてきた訳です。 今回の3)の結果は、まさにウィルス量と臨床症状の関連性を表している結果だと考えられ、感染しているウィルス量を正確に把握し、継続的にモニターすることで、病状の把握や予後の推測に大いに役立つと考えています。 今回の講演は、今後検査を進めていく上で、我々にとって大いなる味方を得た、というような内容でした。オーバーかもしれませんが、聞いていてそう思いました・・・。 FIPは大変複雑な病気ですが、鋭意研究している先生方がたくさん居ます。 FIP発症とコロナウィルス感染の関連性は間違いの無いことだと思いますが、この先コロナウィルスが変異したとされる「FIPV」の正体解明、感染や発症のメカニズム解析、ワクチンや治療薬の開発など、日進月歩で進んでいくと思います。 大いに期待したいです。 秋は学会シーズン、今月末の獣医学会を始めこれからいろいろな集まりが各地で開催されます。 また、新しい情報がありましたら提供していきます。 日が落ちるのが早くなりましたね。 日中暑くても、日が落ちると涼しくなりました。 日中は蝉の最後の大合唱でしたが、今の時間は秋の虫が鳴いています。 まさに季節の変わり目ですね。 皆さん、体調管理には気をつけてくださいね。 かく言う私も、夏の暴飲暴食が祟ってか、やや胃袋が疲れ気味。 ここ数日、胃薬の御世話になってます。 メタボナナちゃんのクッシングは、薬のおかげか今のところ落ち着いています。 相変わらず、食欲旺盛、散歩大嫌い、ですが・・・。 本当に病気か?と聞きたいくらいなのです。 なんと答えるやら・・・。
引越しもやっと落ち着いて、何とか仕事も動き出しました。 環境が変わるとなれるのに時間がかかりますが、でも気分も一新、スタートです。 FIP(伝染性腹膜炎)とコロナウィルスの関係、またコロナウィルスの遺伝子検査の意義などについて、引き続きいろいろなお問い合わせやご意見を頂きます。 ウィルスの変異やFIPとの関係など、学術的にもわからないところが多い中で、実際に治療される臨床現場の先生方の中にも、遺伝子検査の意義や有用性をどう理解したらよいか、今ひとつ疑問視されている先生方も確かにいらっしゃいます。 我々も、検査の現場でいろいろな角度からデータの解析を行っていますので、少しでも臨床現場に役立つよう逐次情報を提供していきたいと考えております。 FIPについていろいろな先生と話をする中で、なるほど、と思える話を伺いました。 ここで、二つ紹介します。読み流して頂いても結構です。 一つ目は、FIPについて研究されている先生のお考え。 「FIPとコロナウィルスの関係について、簡単にどう考えたらよいか?」という私からの質問に対して、「あくまで私の考えですが・・・」と言う前置きで、次のように説明してくれました。 「コロナウィルスとFIP」の関係は、一言で言えば、HIV(ヒトエイズウィルス)とAIDS(エイズ)、FIV(ネコエイズウィルス)とネコエイズ、の関係に似ているのでは、と言うことです。 ご存知のように、HIVやFIVはウィルスのことで、エイズは病名です。HIVやFIVが感染することによって極度に免疫機能が低下し、それが原因で日和見感染している他のウィルスや細菌が原因の肺炎や肉腫を発症し、重篤な場合死に至ります。このような症状(病状)のことを、エイズ(AIDS:後天性免疫不全症候群)と呼びます。 ただし、HIV(以下、HIVで話を進めます)が感染したからといって、かならずエイズが発症する訳ではありません。 ニュース等でも、「HIV感染者は○人」と「エイズ発症者または死亡者は○人」という表現を使って別けていますね。 つまり、HIVに感染した場合はあくまで「HIV感染」です。 そして、HIV感染が原因で発症する様々な臨床症状の総称を「エイズ」、このことは間違いありません。 忘れてならないのは、「エイズ」と同じような症状はHIV感染以外でも起こりうる可能性がある、と言うことです。発症原因は極度の免疫機能の低下、ですから、何かの原因で免疫機能が低下すれば、同様の症状が起こる可能性は大いにあります。その時に「エイズ」か「エイズに似た症状」かを判定するのが「HIV感染」の有無、つまりHIV感染陽性なら「エイズ」、陰性ならエイズを否定、と言うことです。 こう考えたときに、「コロナウィルスとFIP」の関係は、と考えてみましょう。 「コロナウィルス」はウィルスのことで、「FIP」は病名(臨床症状)です。 「腸コロナウィルス」は多数のネコで感染しているといわれていますが、血液中には存在しないと考えられています。それが何かの原因(ウィルスの変異?免疫機能の低下?その他?)でマクロファージに感染、増殖し、血液中で悪さをしてFIPを発症するといわれています。 では、FIPを発症していないネコで血液中からコロナウィルスが検出されるかどうか。 我々の解析でも、健常(FIPを発症していない)ネコの検査依頼は少ないですが、稀に僅かな量のウィルスが検出されることがあります。この場合、発症するリスクは高いと考えられます。 学術的には、健常ネコでも10%程度でコロナウィルスが検出される、という報告もあるようです。 そう考えると、血液中から検出される「コロナウィルス感染」は、ほんの僅か、または現在の検査技術では検出できないレベル(検出限界以下)の感染、が起こっている可能性はあると考えられます。 つまり、これらの症例は、「コロナウィルス感染症」ですが、FIPは発症していない、というケースと理解できます。 一方、何度か御話していますが、FIPを疑う症状があった場合でも、血液や腹水胸水からコロナウィルスが検出される確率(陽性率)は約25%です。他の75%は、コロナウィルス感染ではない、他の原因で発症したと考えられます。これは、「FIPに似た症状」ということになるでしょうか。 この先生曰く、「私の考えでは」という前置きで、「FIPはコロナウィルス感染が起因である。血液中への感染は少なからず起こっている可能性が考えられ、現在の検査技術レベルで検出されないような量かもしれない。何かしらの原因でウィルスが爆発的に増殖することが原因でFIPを発症するのではないか。」ということでした。 この話を聞いたときに、コロナウィルス感染とFIPとの関係についての考えかた、が少しわかった様な気がしました。少し霧が晴れた、というような感じです。 次に、二つ目。動物病院を開業されている臨床現場の最前線に立つ先生の話です。 「臨床現場では、FIPとコロナウィルス感染について、どう考えますか?」と質問しました。 帰ってきた答え、なるほどな、と思いました。 「臨床現場では、目の前に居るネコちゃんの治療が最優先。極端な話、コロナウィルスが感染していようがいまいが、FIPであろうが無かろうが、まずは苦痛を取り除いてあげることを考える。腹水、胸水が溜まって苦しそうなら抜いてあげる、痛みがあるようなら軽くしてあげる・・・。その後に、症例にあった治療を選択する。」ということでした。 この話を聞いたときに、我々の無力さを感じました。 FIPに対する治療法が無い現状で、臨床現場にとって感染を明らかにすることがどれほどの有用性があるのだろうか、と考えてしまいました。 一方で、先の話で「HIVとエイズ」の関係を考えたときに、この先画期的なコロナウィルス感染治療薬やFIP治療薬が出てきたときの検査の有用性や、出来るだけ早期発見で対処的な早期治療を進められる健康診断的な位置づけの検査としての重要性、は間違いないかな、とも思っています。 FIPとコロナウィルス感染の関係は、わからないところが多いのも事実です。 でも、「FIP発症はコロナウィルス感染(FIPV?)が起因」という考え方は確かにあります。 そう考えたときに、血液や腹水胸水中からコロナウィルス感染を検出することは、FIP確定診断やこの先の発症リスクを推測上で、大変重要であると、考えています。そう考えて(確信して)、検査しています。 何やら、またまたわからない話をずらずらと書いてしまいました。 悪い癖で、話し出したら止まらない、というやつです。 あくまで、私の考えや、御話くださった先生方の個人的なお考えを紹介しました。 読んで下さる方は、その旨了解して下さい。 我が家のメタボナナちゃん、「クッシング症候群」と診断されて約1ヶ月、薬を飲み続けていますが、症状や検査結果は大分落ち着いてきました。というか、落ち着き過ぎ、というような印象もあります。このまま落ち着いているようなら、一度薬をやめてみましょうか、と主治医の先生。それで再発するなら明らかな「クッシング」だし、そのまま正常なら何が原因だったのか????一過性のクッシング様症状???? 病気と原因、わからないことが多いですね。
すっきりとした夏空を早く拝みたい毎日ですね。 この天候で野菜も大幅に値上がり、また米の収穫も激減が予想されています。 家計に大打撃、これも地球温暖化のせいでしょうか。 さて、先週先々週と我が社は引越しでした。 検査室をやや広いところに移し、一緒に本社も移転しました。 詳しくはHPをご覧下さい。 落ち着きましたら、皆様への情報発信を頻繁にしたいと思います。 生来の筆不精ですが、今後ともよろしくお願いいたします。 我が家のメタボナナちゃん、診断結果は「クッシング症候群」でした。 現在内服薬で治療中です。 この先、病気とは長い付き合いになりそうですが、飼主として出来る限りのことをしてあげたいと思っています。
7月に入り、気温と湿度が高く不快な毎日が続いています。 毎朝仕事場に着くまでにぐったりです。これが満員電車だったりしたら、もう我慢できずに途中下車してしまうかも。 でも、もう2週間くらいで梅雨明けでしょうか。 我が家のメタボナナちゃん、ここ一ヶ月くらい元気が無く、散歩もあまり歩かなくなり、ちょっと心配で病院に連れて行きました。 とりあえず、7歳にもなったことだし、いい機会なので健康診断もかねての診察です。 もともとメタボなので腹は張っていたのですが、水を多く飲むようになり、オシッコの量も多くなり、かといって食欲は旺盛で、でもぐったりした感じで、と言うような、飼主が感じた症状でした。 半日預けて、血液検査、レントゲン、腹部エコーを実施、夕方迎えに行き検査結果を聞きました。 特に大きな異常はないものの、血液ではGPTとALPが基準値より若干高め、エコーとレントゲンでは胆泥の可能性と、やや肝肥大、との指摘。とは言っても、すぐにどうこうする状態ではないので、とりあえず肝機能改善薬を飲んで様子を見ましょう、と言うことになりました。 まあ、とりあえずよかった、と家に戻ってきたのですが、ふと思ったのが、「何か元気がなくなったのは、餌を変えてからかなぁ」。 銘柄は全く変えていないのですが、新しい袋をあけて与えた時期と、なんとなく一致します。 家内と・・・、「では、ちょっと食べてみようか」となり、家内は古い餌と新しい餌をパクリ、カリカリ。 「思ったより塩辛いね。」 私も躊躇しましたがパクリ、カリカリ。 「本当だ、しょっぱいね。こんなの食べているんだね。人間なら高血圧食だな。」 別に塩分が異常に多いわけではないのでしょうが、嗜好性を高めるための成分配合なのでしょう。 初めての経験でしたが、皆さんはどうでしょうか? 愛犬や愛猫の餌を食べたことがありますか? 手作りの方は当然かもしれませんが、ペットフード、特にドライフードを上げている場合は、なかなか口にはしないと思うのですが、そう思うのは私だけでしょうか。 「飼主なら当然!」と、怒られそうですね。 でも、新発見でした。 メタボナナちゃんは、今経過観察中です。 飼主から見て、他に少し疑わしいところもあるので、他の検査をしてもらおうと考えています。 ヒトと一緒、早めは早めの検査は大事ですね。 思わず自分の胴回りを見てしまいました・・・。
「いや〜、今日も暑いですね!」が朝の挨拶になってきました。 この先3ヶ月予報では、夏の暑さは平年並み、とのことですが、それはあくまで相対的なもの、絶対的に「暑いものは暑い!」ですよね。 さて、10日ほど前になるでしょうか、「イヌの肥満細胞腫に対する抗がん剤がアメリカFDAで認可された」という記事が新聞に掲載されました。 もう皆さんご存知ですよね。 医薬品名は「パレイディア(Palladia)」、ファイザー・アニマル・ヘルス社の製造です。 記事では、がん細胞を殺す効果と共に、がん細胞に栄養を運ぶ血管の新生を抑制する効果もある、と書かれていました。 血管新生抑制効果、つまりがん細胞の増殖に必要な栄養を枯渇させて殺してしまう効果です。兵糧攻めみたいなものでしょうか(余計わからない?)。 新聞情報では、イヌの肥満細胞種の60%程度に効果があったとありました。すばらしい成績ですね。 で、どんな薬かなと調べると、一般名が「リン酸トセラニブ(Toceranib Phosphate)」と出ていました。 あれ?トセラニブ?なんかイマチニブに似た名前だなぁ(少し強引)、と思いながら、引き続き調べました。 で、わかったことは、このトセラニブはイマチニブと同じように、c-kit遺伝子異常で起こるチロシンキナーゼの異常な活性化を抑える作用を持つ分子標的薬だったのです。 それ以外に、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)や血小板由来増殖因子受容体β(PDGFRβ)の異常で起こるチロシンキナーゼの異常な活性化を抑えることで異常な血管の増殖を抑える効果があるようです。すこし難しいですが、詳しくは調べてみてください。(「異常」の繰り返しですが、結局がんは異常が重なって発生するものなのでしょうね) つまり、パレイディアは今流行の分子標的薬であり、c-kit、VEGFR2、PDGFRβの異常に関連するチロシンキナーゼ活性を阻害することから、「マルチキナーゼ阻害剤」とも呼ばれています。 引き続き調査。すると同じファイザー社の薬で「スーテント(Sutent) 」というヒト用の抗がん剤がありました。化学構造は、なんとパレイディアとほんの一部が異なるだけで、マルチキナーゼ阻害剤です。多分ファイザー社は、スーテントを基本にパレイディアを開発(誘導体)したのでしょう。 次に、スーテントを調べてみました。(ファイザー社HP情報から抜粋) 製品名:スーテント(Sutent) 一般名:スニチニブ リンゴ酸(Sunitinib Malate) 効果効能:イマチニブ抵抗性の消化管間質腫瘍(GIST) 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌 既に日欧米で承認されており、昨年6月に発売されています。 ということでした。 注目は効果効能の「イマチニブ抵抗性の・・・」と言うところです。 GISTはイヌの肥満細胞腫と同じように、c-kit遺伝子変異によってチロシンキナーゼ活性が高まる事が、発症の一つの原因とされており、臨床現場ではイマチニブ(グリベック)が使われています。 c-kit遺伝子変異があった症例では、イマチニブが良く効くことが確認されていますが、耐性の問題も出てきています。つまり、再発の場合などにはイマチニブが効きにくくなります。 このような時にスーテントを使うのですね。 分子標的薬の効果の発現は、鍵と鍵穴のような関係をイメージしてください。 例えば、分子標的薬Aが「鍵」、それに対応するチロシンキナーゼが「鍵穴」だとします。Aがジャストフィットする鍵穴にはまると扉が開きます(効果が発揮されます)。ところが、その鍵穴が何かの原因で無くなったり、形が変わったり、するとAははまらなくなり扉が開かなくなるのです。「耐性」です。ただ、扉を開けるには(チロシンキナーゼ活性を抑えるには)他の鍵穴もあるので、その鍵穴にはまる鍵Bをうまく作ってあげれば、また開ける事が出来ます。つまり、Aがイマチニブ、Bがスーテント、と言うわけです。(説明が長い!) ここまで長々と話してきて思ったことは、これってイヌの肥満細胞腫に応用できないの?、 つまり、グリベックを使って、再発で効かなくなったらスーテントを試してみる。どうなんでしょうか、臨床現場の獣医の先生方。 (ど素人の浅はかな考えでしたら、どうそご批判をください) でも、パレイディアは来年秋ごろには発売されるでしょうから、最初からパレイディアを使うほうが賢明でしょうか。 でもでも、パレイディアの認可はアメリカのFDAの話。 まだ農水省認可の情報が無いですから、ということは日本での発売はまだまだ後でしょうね。残念・・・。 ヒトの抗がん剤も、効果の高い分子標的薬がたくさん出てきています。 これらの良い所は、効果も高いのですが、副作用がこれまでの抗がん剤と比較すると弱いことです。 また、例えば「c-kit遺伝子変異があるとイマチニブが良く効く」ように、遺伝子変異を検査することによって薬の効果が予測できる、つまり無駄な治療を回避できるので、病気の治療の面でも経済的な面でもメリットは多いにあります。 「遺伝子検査と分子標的治療の一体化」、これからの方向性を如実に物語っている例だと思います。 検査の位置づけも大変重要になってきます! 動物医療もここに来て急速に進歩しています。 可愛い動物たちのために、我々も飼主さんも、情報収集しましょう! それより、農水省さん、ファイザーさん、パレイディアが早く日本で認可されて使えるようになるよう、お願いします。 今仕事場で書いていますので、可愛いメタボナナちゃんは傍らには居ません。 毎日暑いせいか、家では魚の開きのように腹ばいになって伸びています。これからつらい季節なのでしょうね。 こんなときは水浴びでもさせてやろうかと親切心で思うのですが、実はシャンプーが大嫌い。「風呂・・・」と言うと、逃げていきます。 梅雨もあと一ヶ月くらいでしょうか。 風呂上りにベランダで、冷たいビールと枝豆、ラジオからはプロ野球中継・・・、夏の風物詩ですよね。って、時代が違います? (今回の情報は、ファイザー社のHPをはじめ、いろいろなサイトから使用させていただきました。ありがとうございました) |一覧| |
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