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加藤浩子の La bella vita(美しき人生)

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December 16, 2014
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 東フィルの次は、新日本フィルの新体制のお知らせです。

 クリスティアン・アルミンクの後、空席だった音楽監督のポストに、上岡敏之さんが就任することになったと、本日(16日)の記者会見で発表されました。

 上岡さんといえば、ドイツを拠点に、日本人では珍しい歌劇場叩き上げの指揮者として、そしてもちろんオーケストラ指揮者として着実にキャリアを築き、さらに歌劇場のインテンダント!として、また教授活動も行うなど、多方面で活躍している国際的なアーティストです。ドイツでのキャリアは、キールを振り出しに(コレペティトゥールも兼任)、エッセン、ヘッセン、そしてヴッパータール、ザールランドと、まさに叩き上げの正統派。それだけ、実力がある、ということでしょう。

 日本でもここ数年、振る機会が増えていますが、個人的には新国立劇場で振った「椿姫」が印象に残っています。日本人指揮者が振るととかく無味乾燥になりがちな「椿姫」ですが、上岡さんはまったく違い、表情がとても豊かでした。さすが歌劇場叩き上げだけのことはある、と感じさせられた経験でした。

 現在でも、ヴッパータール歌劇場の音楽監督兼インテンダント!、つまり歌劇場の芸術面、運営面両方のトップという要職にあり、しかも任期は2021年まで。超多忙なわけですが、新日本フォルのほうからどうしても、ということで、アーティスティックアドバイザーを経て、2016年から音楽監督に就任されることになりました。

 なぜ、上岡さんなのか。

 コンサートマスターの崔文殊さんは言います。

 「初めて共演した時の印象は、なんと引き出しが多い指揮者なのだろう、と。さらに、同じ価値観、方向性を共有できる、数少ない指揮者だと思いました。いつか音楽監督になってくれたらなあ、という思いはあった」

 上岡マエストロの新日本フィル評。

 「とても器用で、何でもできるオケだと思いました」

 上岡マエストロ、(語弊があるかもしれませんが)口が達者、という感じではありません。立て板に水、でとうとう、というタイプではない。言葉を選びながら、とつとつと、温厚に話されます(ドイツ語のほうがお得意かもしれませんが)。でもそれが味があって、好感が持てるのでした。

 で、どんなオケにしたいか。

 「人に感動を与えることができる、一音をきいただけで、新日本フィルとわかるようなオーケストラにしたいなと」

 それが実現したら、これは凄いことです。

 質疑の時間、いくつかの質問へのマエストロの回答をきいて、音楽への誠意、誠実さを感じました。同時に、ただ純粋なだけでない、それこそインテンダントも兼任する立場からの実際的な視点も。

 日本の作曲家の作品、とくに若い作曲家の紹介は、「同時代に生きる演奏家として当然の義務」と語る一方で、「とはいえ、オケとして採算がとれるプログラムも必要」とはっきりおっしゃる。

 「日本のオケは、団員が国際化していない」

 と投げかけられれば、

 「国籍に関係なく、いい音楽家を集めたい」

 ともっともなことを返し、

 「日本のオケは楽器がよくない。この点について妙案は」

 と尋ねられれば、

 「楽器云々より、何もないところから音楽を作り出せるプレーヤーがいるほうが僕は幸せ」

 と、うなずかされる言葉を淡々と返されていました。

  「凝った演奏をしますよね」の質問には、「自分にはそういうつもりはなく、楽譜を読んでいたらそういう結論にたどりついたのでやっているだけ」

 と、これも、言われてみればしごくごもっとも、な回答。

  さりげなく、淡々としているけれど、本質的なことをきちんとおっしゃる。リハーサルの時なども、そんな感じで進めて行かれるのかな、と、想像してしまったことでした。

 新日本フィルの今の体制は、ハーディングとメッツマッハーという世界的指揮者が、客演のような立場で定期的に来ている、というシステムなのですが、いくら有名どころとはいえ、客演はやはり客演。「音楽監督のいないオーケストラは、やはり問題」だという発言もあった今回の記者会見。 それがかなえられ、なおかつ「日本人でほんとうに幸い」という関係者の言葉は、今後への期待を十分に抱かせてくれるものでした。

 上岡新音楽監督とのプログラムはまだ発表にはなっていませんが(最初はふだん取り上げられないものから始めたい、というのが監督の意図のようでした)、とりあえず、このクリスマスイブには、コンサートマスターの崔さんとのデュオ(マエストロはピアノ!)のコンサートがあります。ラフマニノフの協奏曲も弾いてしまうという腕達者なマエストロと腕ききコンマスの崔さんとの激突、とても面白そうです。

 コンサートの詳細はこちらです。 

http://www.njp.or.jp/archives/category/program?meta_key=date&pr_year=2014&pr_month=12&pr_day=24  

 






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最終更新日  December 17, 2014 12:24:41 AM


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