シネリーブル池袋で
クリント・イーストウッド監督の
「J・エドガー」。アメリカでは評価も興行も今イチだったみたいね。でも、僕は結構面白く観れた(多少ネタバレ)。いつもよりは目立たない
レオナルド・ディカプリオの眉間の皺。晩年のフーバーの老けメイクは、こういう顔のおっさんいるよなあと思わせるものだけど、いかんせん、声がいつものディカプまんまなのが、ちと変。ディカプって童顔ながら、もう40くらいはいってるのかと思いきや、まだ(もう?)37歳なんだって。一方、相棒のトルソン役の俳優はまだ25歳?だからさすがに老けメイクはこちらの方が不自然。トルソンの方が先に倒れるのだけど、死ぬのはフーバーの方が早い。フーバーはFBIを今の地位に押し上げただけではなく、近代科学捜査の手法を確立した人でもあるみたいだ。そこまではよかったけど、バリバリの保守、異常な反共主義者故に一線を越えてしまう。ギャングたちを自らが逮捕したように見せかけたり、リンドバーグからの信頼を演出したり目立ちたがり屋の部分もあったようだ。
フーバーが、政治家たちのスキャンダルを探って大統領さえアンタッチャヴルな機密ファイルを作り上げたのはすごい。役者陣でもっとも印象に残るのは、そんなフーバーに媚びるわけではなく淡々と職務を忠実にこなす秘書役の
ナオミ・ワッツだ。後半は、フーバーとトルソンのゲイ関係のエピソードがフィーチャーされていく。男同士の嫉妬というのは、これまた凄まじいものがあるね。ダンスに誘われて動揺しちゃうフーバーの様子もおかしい。その、フーバーを動揺させるジンジャー・ロジャースの母親役は、懐かしの
リー・トンプソンであったことに後で気づいた。フーバーとドロシー・ラムーアが男女の関係だったなんてことも初めて知った。フーバー自身のスキャンダルはもっと色々下世話なネタもあったようだけど、映画は一定の節度をもって匂わせる程度にとどめている。それでも、コワモテの人物の秘めたる弱さ、人間臭さが描かれていて、評伝として見応えがあったと思う。音楽は今回もイーストウッド自身で、時代的にも彼がお好みのジャズ・エイジで、この題材を選んだのはそんな要素もあったからかも知れない。