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2005/08/31
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カテゴリ:なんでもお試し
 各党の政策/マニフェストを読んでみる企画、第3回は社会民主党(社民党)です。

 社民党は、「社民党総選挙政策2005」「社民党総合政策ガイド2005」なる文書を公表しています。「社民党総合政策ガイド2005」は全部で82ページ。けっこうがんばっています。でも、これを何回かに分けて全部紹介しようとすると、最後の自民党までたどり着きませんので、さわりだけ紹介しようかと思います。

○基本方針
 「社民党総選挙政策2005」では、小泉政権が進めてきた政策を、「大企業のための、強い者のための、アメリカのための、弱肉強食の「競争社会」を目指す」ものと批判した上で、「平和憲法の理念を大切にした、誰もが安心して暮らせる「共生社会」」を、目指すべき社会像として提示しています。
 誰もが安心して暮らせる「共生社会」の核として、「政策ガイド」でも大きな紙幅が咲かれているのが、年金(社会保障)雇用地域再生です。ここではこの3つを中心に紹介したいと思います。他には、「護憲」「消費税率据え置き」など、耳慣れた主張もありますが、これはここで紹介するまでもなく、ご存じの方が多いでしょうから、省略します。

○年金
 社民党が提案する年金制度のおおざっぱな内容は、以下の通りです。
 ・月8万円の「基礎的暮らし年金」と「所得比例年金」で構成する
 ・「基礎的暮らし年金」の財源は、防衛費や公共事業などの歳出削減と、
  所得税の累進の強化、および法人税の課税強化
などによってまかなう
 ・所得比例年金は、職域(自営、会社員、公務員)にかかわらず共通料率とする。
  ただし、企業が賃金総額に応じて負担する保険料率は、大企業と中小企業で差をつける
 一元化への方向性は、民主党などと共通するものですが、一元化までの期間(5年間)や移行措置を(不十分ではあるものの)明示している点は、評価してよいかと思います。ただ、財源の確保方策については、そもそもそれでまかなえるのか、という話は別としても、いかにもお約束通りの発想という感じがするのは否めません。

○雇用・労働政策
 さすがに元々が労働者の党だけあって、雇用・労働政策には力が入っており、かなり細かいトピックまで書き込まれています。
 解雇制限ルールの厳格化や、労働基準監督の強化といった、ある意味伝統的な政策はもちろんあります。が、雇用のセーフティーネットとして、失業手当よりも職業能力の開発支援が中心に位置づけられているのは、正直少々意外ではありましたが、評価できることではないかと思います。また、研修・教育訓練などの成果をポイント化し、企業を移動しても客観的なスキルを示すことが可能になる「能力開発マイレージ制度」は、実際の制度化は簡単なものではないとしても、ユニークなアイディアかと思います。
 ただ、男女雇用機会の実質的な均等化をはじめとして、女性の労働に対する施策も充実しており、それは良いのですが、女性の社会進出の障害ともいわれ、以前は田嶋陽子氏(当時は社民党の参議院議員)も国会質問で廃止を要求していた配偶者控除や配偶者特別控除にについては全く触れていません。おそらくは「大増税」と批判している政府税調の案を、たとえ一部であっても肯定したくないということなのでしょうが、これはちょっと姑息なやり方ではないのかなあ、と。

○地域振興
 地域振興に関しては、金融機関に対して、中低所得者や女性、中小・ベンチャー企業に対する一定割合の融資を義務づける「地域再投資法」の制定・活用を中核に据えています。この法律を活用して、地域に「職・食・住・遊・学」といった場所をつくり、そこに関わる人材を育成し、雇用につなげていくというシナリオが想定されているようです。金融機関にそんなことを義務づけて採算が合うのか、という話もありますが、先に導入したアメリカでは地域コミュニティと共生するビジネスモデルを確立し、一定の収益をあげているとのことです。
 地域の住民が中心となって地域のニーズを充足する「コミュニティビジネス」の育成を通じて雇用を創出するという発想は、どの程度の成果が期待できるかは未知数であるにせよ、企業誘致や国の補助金に頼らない地域振興の方向性として、心意気は評価できるのではないか、と考えます。

○まとめ
 さすがに歴史のある党だけあって、エキスパートもいらっしゃるのでしょう。雇用や地域振興については、意外に新鮮な(と少なくとも私は感じる)提案もあります。ただその一方で、「"五"十年一日」とでも言いたくなるような発想も根強いようです。福島党首の最近の演説からは、「金持ち」や「大企業」に対する敵意をあおって庶民の味方を印象づけようとする意図を強く感じてしまいますが、これこそ「"五"十年一日」の代表か思います。
 「社民党総選挙政策2005」では、資産と所得の格差拡大を問題にしており、おそらくはそれを反映して、所得税の累進強化が提示されています。でも個人的には、世代の中での、ある意味一時的な格差が広がることよりも、現在すでに存在してしまっている格差が次の世代にも受け継がれ、格差が固定化してしまうことの方がよっぽど問題なのではないかと思っています。しかし、社会民主党の政策にはそうした問題意識は感じられませんし、実際、固定化を防ぐために効果的と考えられる施策も、奨学金・育英制度の拡充や、何を意味しているかあいまいな「『社会的引き継ぎ』が可能な資産課税の適正化」ぐらいしかありません。
 そもそも、フェアに働いて「金持ち」になった人、人々の役に立ちながら「大企業」になった会社を敵視する社会が、果たして「一人一人が輝くやさしい社会」といえるのかどうか? 庶民対金持ち、中小企業対大企業などというわかりやすい図式に単純化して、後者が前者から搾取している、という扇動をするのは、もうそろそろ終わりにしても良いような気がします(これは社会民主党だけではなく、国民新党にも、おそらくは共産党にもいえることです)。庶民がフェアな手段で金持ちになれること、中小企業がフェアな手段で大企業になれること。もちろんそれが全てだとは思いませんが、金持ちや大企業を目指す機会が誰にも開かれていて、成功したら素直に祝福できる社会が本当の「共生社会」だと思うのですが、大甘ですかね?





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Last updated  2005/08/31 09:04:11 PM
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