カテゴリ:インテリア、茶箱、クラフト、工芸、手作り
大雨、小雨、雷雨に霧雨。
選り取りみどりな雨天であったが、雨の京都はまた風情があってたまらん。 私は「和」に魅了されている。京都の古い町並みに身を置いた瞬間、心がちゃっとトリップしてしまう。 今回は夫と子供連れなので、無理な行動は慎まねばならない。 15日土曜日は夕方着いて、ホテルの部屋から雨に煙る山並みを眺め、雨音を聴きつつ、ゆっくり休む。 ウェスティン都ホテルだ。 夜はホテルで鉄板焼きを食べた。 そこで「3億年前の塩でございます」、と薄ピンク色の塩が出た。3億年!硫黄の味と香り。 そのまま舐めると変な味だが、温野菜とか、肉にほんのちょっとだけつけて食べると、ふわっとうまみが口に広がってとっても美味しい。 16日日曜日、同行した京都出身の友人に手伝ってもらって朝から皆で着物を着る。 京都在住の、友人の従姉妹という方が、ご自分もピシッと着物を着て手伝いにきてくださった。 子供と夫を着付けていただいたのだが、妙に手馴れていらっしゃる。 きけば、倉田けいこさんとおっしゃる津軽三味線の立派なお師匠さんだそうだ。 さすがに子供の頃から毎日着物で稽古をされてきただけあって、立ち姿も座った姿も寸分の隙もなくキマッている。 さて、夫と私は涼しい白地の小千谷縮。子供は浴衣。 昼間は時々の土砂降りに慌てながらも、招待してくれた着物問屋さんの案内であっちこっち買い物したり観光したり。 人の流れがすごいのであまり写真が撮れなかったのが残念だ。 例年よりはマシだということだったが、かなり蒸し暑く、汗をかいてしまった。 夕方、一旦ホテルへ戻って、全員浴衣に着替える。 夜ご飯は友人に連れて行ってもらった。 彼女の亡くなったお祖母様が、70年くらい前に仲居をしていてお祖父様に出会ったという縁の深い料亭、「鳥岩楼」というところだ。彼女自身も赤ん坊の頃からよく連れて行ってもらったそうな。 古式ゆかしき京風の建物に小振りな庭、年季の入った面白い調度品が各所に置かれ、なんとも言えない懐古的雰囲気だ。低い天井、あっちこっちに小部屋、つるつる光る廊下。 昔は芸者さんを連れて旦那方がやってくるような料亭であったという事で、当時名の通った芸者さんの扇などがそこここに置いてある。 名物の鳥の水炊きを食べた。臭みのない柔らかい鳥で、息子に言わせると「ブラジルからでも食べに来たいくらい美味しい!」そうだ。(「何故ブラジル?」「日本から一番遠いから。」・・・・) この鳥でとった出汁はこってりとしたうまみがあって、生姜汁と山椒できりっと味を調えるとこれだけで立派な一品になる。 恍惚の夕餉を済ませて、いざ出陣。 夜の街へ繰り出した。初めて見る祇園祭りだ。 鉾の見える場所までタクシーで乗り付ける。ここから先は車両通行止めだ。 にぎわう祭りの雰囲気を全身に浴びて気持ちがどんどん高揚していく。 大層な人出で、夜店だけで鉾のない烏丸通りまでぎっしりと人で埋まる。 鉾の立つ道筋を歩くと、一般のお宅が道に面した格子入りの窓を開け、年に一回この時ぞと家宝と思しき品々を美しく部屋に陳列している。 これがもうたまらなく面白い。 「江戸初期の金襴緞子の打ち掛け」 「狩野派の高弟子の絵」 「戦国時代の鎧兜」 等など・・・。 祇園祭りの由来やそれぞれの鉾の話などの解説を受けながら、もうワクワクしてたまらない。 あっという間に11時近くになってしまった。 ふと気がつくと子供達がゆらゆらしている。 疲れたんだな。 今日は終わりだ。 子供も一日中浴衣を着ていたのに文句も言わず、えらかった。 明けて17日月曜日。祭りの本番、鉾の移動だ。 が、朝から大雨。 8時半。子供達は夕べの疲れからか、寝坊している。 9時ごろ、遅めの朝ごはんを食べて部屋へ戻り、テレビ中継を観てみる。 しっかりとビニールに巻いた鉾が、ぐっしょり濡れた人々によってひっぱられている。 夕べ見た鉾がどんどん画面に現れる。 この日はもう午後の便で香港だ。 やっぱり行こう! パッキングを終えてすぐ出発。 雨のせいで少し人が少なめだ。 やや外れた所に立って、鉾を何台か見ることが出来た。 ナマで見るのは良い! 昼はやはり友人のお勧めで「閑臥庵」という「京普茶料理」を食べに行った。 後水尾法皇ゆかりのこの場所で、「禅の精神」溢れた中国風精進料理(普茶)を、見事に和風なテイストと融合させ、今の形を築き上げてきたそうだ。 ここは敷地へ一歩足を踏み入れた瞬間から別世界だ。 これ以上ないというくらい「和」の空気に溢れている。 宮様が後水尾法皇に献上したというだけあって、屋敷の作りがとても美しい。 仲居さんも雰囲気にすんなり馴染んでいる。 シェフは「庵主さん」と呼ばれている。 我々の案内された席は庭に面した角部屋だ。 雨に濡れた緑も清清しい庭を眺めての食事。 出てくる料理がまたなんとも美しい盛り付けだ。 ここでも感動感動のひと時。 帰り際、勘定場の壁を見ると、かわいらしい子供達を描いた中国刺繍が掛けてあった。 京都の旅の締めくくりに良いものを見せてもらったな。 あ~、行ってよかったよう~~。 写真は、「閑臥庵」の美しいお料理。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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