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目の前にまた私がいた。 窓の外に海が見える白を基調とした家の中。 ティーカップに注がれたお茶。 立ち上る湯気と香気。 目の前の私は静かに優しく微笑んでいた。 「ああ、この人の微笑みは存在そのものから来ているんだ・・・」と思った。 自然だった・・・何もかもが。 風が通り過ぎれば、ざわざわと木の葉ずれを起こす、森の木々のように。 青い空を鏡のように湖面に映し出し、石を投げ入れれば波紋を返す、清んだ湖のように。 すべてを受け止め、落ちてきた木の実を抱きいれ、やがては緑の苗床となる大地のように。 普通で、自然で、たおやかで、優しい時間が流れていた。 目の前の人は、自分とも世界とも戦っていなかった。 かといって妥協をしていたとか、諦めていた(諦観していた)とか、耐えていたとかそういうのとは違う。 ただ自分の中の調和が、外の世界への調和として反映されたような。 より言うなら、統合されていて分離も矛盾も無く、ただ存在そのものの人であった。 この平安。 にじみ出てくる優しさこそが。 答え。 目の前の人は何も言わなかったけど、沈黙の声が世界を覆っていた。 ああ、そう、私は私だった。 ただ、それだけだった。 そう、それだけだったんだ・・・。 │<< 前へ │次へ >> │一覧 │コメントを書く │ 一番上に戻る │ |